第3話 俺の回その3

 大事にできる人数がすくない俺なんだが、そんな俺にもダチがいる。名前は青島賢治、ケンジって俺は呼んでいる。むこうは俺のことをチヒロって呼ぶんだ。ケンジはウチの中学校、南海一中学校のイケメンランキング1位しかもぶっちぎりだ。非公式ファンクラブまがいのものまでありやがる。けれど、ケンジはヤンキーってやつなんだよ。いや、ヤンキーって言うか、ヤンキーと呼ばれざるおえなくなったんだよ。なんでかっていうと、すげえイケメン、高身長、成績もそこそこ優秀、顔以外はほぼ俺とおんなじだな。そんなケンジにむかついたヤンキーやヤンキーかぶれが片っ端からケンジに喧嘩ふっかけていきやがった。けれどもケンジはめちゃくちゃ喧嘩も強かった。天は二物を与えずなんて言うけどありゃ嘘だぜ。負けなしだった。中学一年生時点で完成されている美少年ケンジに2年生3年生の女子もハマってしまい告白合戦が行われていた。それを見た面白くない上級生たち。ケンジをボコろう、あの綺麗なツラ潰してやると喧嘩をふっかけていったんだ。そして返り討ちにされて、逆に顔が矯正される上級生たち。憤慨する上級生たちはメンツなんて関係なしに徒党を組んでケンジを潰そうとしたがそれでもケンジには勝てなかった。そんな結果女子たちは喧嘩も強くて素敵。なんて言って猛烈な告白、アピール合戦が加熱していった。一部の同級生のヤンキーどもはケンジに降り、ケンジの取り巻きとなったやつが日につれて多くなった。南海一中学校はケンジが一年の時点でほぼ占めてしまっていた。しかし、ケンジへ喧嘩できなくても他に当たる不良ども、なんとなく俺がターゲットにされていた。何故かって?いつも1人で気にすることなく、過ごしている俺にむかついたそうだ。そんな奴を俺は、親父に仕込まれた技で潰したんだが、そこから続々と挑戦者が送られてくることになった。ある時は挑戦者のダチ、ある時は二年生鬱憤バラし、ある時は告白に振られてその八つ当たりなど、しょうもない理由含めてやってくる奴ら。俺はことごとく、柔道による投げ、空手による突き、蹴り、捕縛術などでとっちめてやったんだが、親父にバレる度に喧嘩で怪我もなかったのに、シゴキという名の稽古で顔を腫らしていた。

 そんな日が続いていたある日、周りの連中が、青島と、姫島どっちが強いんだっていう話しが出てきた。話は広まり、姫島の方が強いとか、青島の方がもっと強いとか周りが囃し立てる。良くない流れが生まれた。ついにはあいつら1月の冬休み中に校舎裏の神社の奥でタイマンはるらしぜ。だとか、いや12月中って聞いたぜ。部室の裏でやるって聞いたよ。だとか、話しが盛り上がり始める。ちなみに事実無根なのに何故かやらなきゃならんような雰囲気なっていた。俺もケンジもやる理由はないがいい加減この話にうんざりしていた。

 だから、12月30日の大晦日前、河川敷でやる事をケンジとキメることにした。中学一年の冬。

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