第51話 ささみと舞茸を焼くよー 3皿目

 部屋に入り、ベッドの上の洗濯袋に目をやる。


 あ、これ、ベッドに腰掛けたら、なし崩しにゴロンして寝ちゃうやつだ。

 吸引力を感じるもの。


 枕元にアイシーグリーンのパジャマを置いて、洗濯袋の中身をベッドではなく机の上に出した。


 ファストブランドの白いフレンチリネンシャツはびっくりするほどシワシワだったが、色落ちなど貰っていなかった。

 チノパンも、ワンピース型の被りエプロンも、タンクトップや靴下、そして下着も。

縮んだ感じはせず問題ないように見えた。


 まだ着れる~良かった。


 まとめてクローゼットに入れ、机の上の赤いファイルをそっと撫でてから、急いで部屋を出た。


 居間に戻ると、2人で食器を片付けてくれていた。クレールは食洗機を、エタンはツインシンクのほうで蜜蝋布と布巾を洗っていた。


「またまたやってもらっちゃってごめん~。ありがとう」 


「作ってもらって、俺ら喰ってるだけだから当たり前だろ? あと2皿も楽しみにしてる」


「ありがとう。早速焼いちゃうね」


 冷蔵庫からささみを出し、ポロポロの舞茸を手で拭ってなるべく落とす。


 今度こそ換気扇を回す。

 バリアのスイッチは点灯しているので、オンになっているということ。


 充分熱した小さめのフライパンに、オリーブオイルを垂らして馴染ませてからささみを入れると、ジュウッ! と勢いよく音が上がる。


 両面しっかり焼き色をつけて、白ワインを入れてフランベ。

 ボッ! と勢いよくフライパンに火がついたので、横で覗いていたクレールが「うわっ!」と驚いていた。


 すぐに火は収まり、漬け汁も加え蓋をして弱火にする。

 ささみはパサつきがちなので、蒸し焼きにするのだ。

 あまり火入れするとさらにパサるので、適度なとこで止めて、余熱利用。


 鍋に沸かして置いた湯の中ヘ、冷凍庫に入れて固めて置いたパスタを入れる。

 ほぐしながら、鳩の歌約13秒2回。

 湯切りして、少量のオリーブオイルとえ皿へ。

  

 これはレストランのランチとかでやるテクニック。

 仕込みで、前もってパスタを半分の時間だけ茹でて、1人前づつ測って冷凍しておく。

 注文が入ったら、それを30秒だけ茹でればいい、時短技じたんわざだ。

 

 残しておいた舞茸を大きめに手で裂き、フライパンで焼く。

 強火でキノコを焼く時のキュイキュイってする音が大好きだ。

 焼けたら取り敢えず皿にまとめて置いておく。


 バターを適量5mm角コンカッセにざっと切る。


 ささみを1本取り出し 食べやすい大きさにカットして真ん中のところを味見。

 火も中まで通って、しっとりジューシーにできてる。

 もう少し塩を振る。


 残りも取り出しカットして、ほうれん草の茎の上3皿に盛り付ける。

 左上にパスタを平たくくるんと添え、さらにその上に舞茸を添える。

 男子たちのお皿は、全種ちょい多めに盛り付ける、特に肉とパスタ。


 ささみの入っていたフライパンにもう一度火をつけ、あっという間に残り汁の端が「フツッ」っといったので、火から外す。

 角切りバターをフライパンちょっとずつ加える。

 沸騰しないようにちょっとかざしては外してフライパンを揺すって混ぜて乳化させ、またバターを、を繰り返す。

 分離せず、とろみをつけたソースに仕上がった。

 塩胡椒で味を整えて……味見。

 うーん思ったよりこのワイン、酸味がたってるなあ……そうだ。

 少しだけハチミツを加える。


 よし! オッケー。

 それをパスタ舞茸の上にかける。


 マスタードと合わせて作っておいたトマトの種ソースを、もう一度よく混ぜ、ささみソテーの上にかけて。


 はい! 完成!!


 丸いお皿の真ん中に、緑の鮮やかな茎数本の束が横一列に連なり。


 しっかり焼きつけ、しっとりジューシーに蒸し焼きしたささみをこんもりと乗せる。


 トマトの種ソース。

 淡い黄を帯びた澄んだピンク色のトマト汁に、マスタードの黄が加わると、コーラルピンクの可愛い色になる。

 プチトマトの種はよく見ると薄緑のゲル状のもので包まれているので、上記の汁と合わせたものをまじまじと見れば、水玉模様みたいなキュートなソースに仕上がった。

 肉に中心的にかけ、周りにぽたぽたと模様書くようにあしらう。


 左上に黒みがかった舞茸が配置され、艶やかな照りの黄色のソースが添えるようにかけられている。

 仕込みの際に鶏肉ともにクラッシュした、舞茸のカスが入ったこのバターソースバターモンテ。こんな風に色華いろはなやかな皿にかければ、一見黒トリュフみたいに見えて、高級感の盛り上げにちょいと貢献。


 多分この皿が1番原価かかってないけど、タンパク質だからメインぽいね。


 う〜ん! バターのいい匂い。

 ふふふ、男の子たちの熱い視線を釘付け。

 うん、間違いなし!





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一応お伝えしますが、当作の食べ物は机上の空論ではなくて。

ちゃんと作れて美味しいものを書いています。配合は載せていませんが、実践したらかなり旨し(๑˃̵ᴗ˂̵)なのです。


近況報告に「舌先三寸 51話 ささみソテー・トマトの種ソースがけ 舞茸バターモンテ添え」にてイラストアップしてます。


この後のストーリーの流れで、パスタの話を後から挿入しまして。イラスト描いちゃったあとなんですよ。なので、イラストの皿には麺が載ってないです。


【次回予告 第52話 舞茸さまさま】

2人ともどんな感想寄せてくれるかなぁ〜。


さあいつものごとく。

♡、コメントお忘れなきよう(*´-`)

準備はいいですか? イラスト見に近況行きましょうかね〜。じゃあ、レッツクリック!

https://kakuyomu.jp/users/ayaaki/news/16817330663352514292

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