第5話 電気製品の安全性の話①の5

~~~ 安全性が確保されているかどうかわからない電気製品の話 

    第1話 リチウムイオン電池編③ ~~~

【互換バッテリー購入の際に最低限押さえておきたいチェックポイントについて3】


前回の話で、世界各国で運用されている電気製品への安全マークの事を説明させてもらった事で、サブタイトルの『互換バッテリー購入の際に最低限押さえておきたいチェックポイントについて』に関して、すっかりやった気になっていたんですが、読み返してみると、肝心の電池について、チェックできた方が良い内容の部分がほとんどない事に気が付きましたので、追加して説明をさせていただこうと思います。


先ず、電気用品安全法の基本的な要求事項として、この法の規制対象の電気製品(法的には電気用品と言います。)を日本で販売する場合、その製品のタイプに応じて、下記URLの記載例に基づいた表示をする必要があります。

https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/procedure_08.html

なんか色々な情報が書いてあってわかりずらいですが、この件に限定すれば、大切なのはこのページのかなり下の方にある記載例関連の部分です。


しかも今回の話はモバイルバッテリーに関する話なので、表示例の右側の基本的にはまるPSEマークの表示が必要と言う事になります。


この段階でわかるのは、モバイルバッテリーを適法状態で販売するには、まるPSEマークと事業者の表示が必須だという事と、製品毎に相違する表示があるらしいと言う事です。


それと、届出事業者名(この場合、国内で製品を作っているメーカー≒製造事業者か海外から国内に製品を持ち込んでいる輸入業者≒輸入事業者のどちらかと言う意味になります。)の表示は、まるPSEマークに原則近接している必要があるらしい事が読み取れます。


ただし、届出事業者名の表示は原則近接であって、マストではありません。

https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/o1143293329

を見て下さい。これは実際に販売されていたTVの表示例ですが、事業者名は銘版の左上、PSE表示は銘版の中央、とかなり離れていてます。

原則近接と言う表現がわかりずらいと思いますが、これだけ離れていてもアウトでは無い様です。

あくまでも、法の要求は、原則近接であって、近接必須ではないのと言う事です。


それと、事業者を示す表示でOKとなるのは、事業者名の正式名称だけではありません。

https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/procedure_08.html

の真ん中辺の”2.届出事業者名”の項目で記載されていますが、

この辺は、おそらく事業者側の希望を役所が忖度した結果なんじゃないかと勝手に想像しているんですが(何せこの法律が制定された当時の日本は天下り天国で、事業者≒有力な天下り候補≒退官後の雇用主だった、と想像するのは捻じくれ過ぎなんでしょうかね…)、事業者の正式名称(個人事業者の場合は個人の氏名)に加えて、承認を受けた略称、又は届出を行った登録商標でも、事業者名の代わりとして認められる様です。


これはどういう事かと言うと、その前の原則近接ルールと合わせ技で、銘版内に事業者名を確り記載しなくとも、製品のどこかにその会社の登録商標なり承認略号が表示されていれば、それでOKと判断されるという事です。


更にさらに、届出を行った登録商標=特許庁に届出を行った登録商標は未だしも、承認を受けた略称=経産省の承認を受けた略称ですから、それがPSEマークに近接して表示されていても、その略称事業者を示すものと認識できず、購入者はどこが法的に責任を負うべき業者なのかわからない可能性がある言う事です。


https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/q1136749356

これなんかは、銘版に”P●●●●●C”とブランド名が目につき易い様に表示されていますが、実を言えばこの製品を輸入している事業者はまるPSEマークの隣に地味に表記されている”MAR”と言う会社のはずで、”MAR”が、正式名称が何という名前の会社なのかは経産省に確認が必要な訳です。


https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/h1143395874

では、銘版中に中にKが書かれているリング付きの星の様なマークありますが、恐らくこれが事業者の登録商標なんだと思いますが、普通、このマークがどの会社の事を意味しているのかなんて、その会社と取引でもないと分かりませんよね。

(有名な会社のマークだったらごめんなさい。<(_ _)>)


ぶっちゃけ、このPSEマークと事業者名の表示が有るか無いかだけでも、多少は消費者に配慮しているのかどうかがわかる感じです。

有名なネットプラットフォームで販売されている製品の中には、このPSE表示すら無いものも少なくないですし、PSEマークだけ表示されていて事業者名表示の無い事例もあります。


見本と言う訳ではないですが、実際に某プラットフォーム経由で購入した製品に、PSEマークのシールだけが貼ってあって、他に必須の表示が無い製品が手元にありました。

火を噴いたり、爆発したら怖いので、確りした金属ケースの中に入れて、不用意に通電しない様にして保存しています。


このPSEマークと事業者表示に加えて、電気用品の技術上の基準を定める省令と言う名前の省令(法律より2ランク?位グレードの低い法令)で、具体的にどんな表示を審査ければならないかが定められてるんですが、この省令が少しややこしい事になっていて、簡潔に説明できないんですよ。


実は、このリチウムイオン充電池に関する部分が、比較的最近改正されて、従来の要求事項から変わった可能性があるみたいなんです。

一応形としては、従来の要求事項は別表第十二を引用した様なものだったそうで、それを正式に別表第十二を引用する形にしたらしいんですが、素人がその内容を細かにチェックするには限界があるもので、たぶん、としか言いようがありません。

一応、それまでの要求事項だと、定格電圧と、 定格容量の記載が必要だった様ですので、これの表示が無い製品も、適法状態に無いと判断していいでしょう。


ちなみに、定格電圧と 定格容量ですが、定格電圧なら●.●Vとか●●Vと書かれているはずですし、 定格容量なら●●●●mAhと言う様な形の表示が一般的だと思います。


この辺の情報が書かれているだけでも、結構ましな方だと思いますよ。

第三者機関の表示がなかったとしてもと言うレベルですが。

なにせ、私が以前見た事のある電池の場合だと、電池にPSEマークのシールが貼ってあって、何故か容量の表示だけが印刷されていて、他にまともな表示はありませんでした。


この場合、少なくとも表示だけで、事業者名と定格電圧の2件で法令違反が指摘できそうです。


ただし、前のコラムでも書いた気がしますが、そもそも電気用品安全法というものは、日本の国内限定で適用を受ける法律で、その適用範囲に個人輸入(個人が海外の業者と直接取引して直接輸入する取引方法で、どうも、某プラットフォームのマーケットプレースなどで行われている取引は、これに該当すると考えられてるらしいです。)は含まれない可能性が高い様なんです。


何かずるいですよね。

如何にも自分の所で売っている振りをして、実際には軒を貸しているだけで、良い物やヒット商品が出れば自分の所の手柄で、都合が悪くなれば軒を借りていたヤツが悪いと切り捨てられるんですから。


聞いた話では、問題があって、軒下業者と連絡を取ろうとしても、その情報は教えてもらえない事があるそうですよ。

単純な契約上の問題なのかもしれませんが、かばっているようにしかみえませんよね。


話がそれましたので、戻しますが、少なくとも、国内で現物が売っているものなら、

https://shopping.jreast.co.jp/products/detail/s248/s248-0885155016300

で売っている製品の様に、

・まるPSEマーク(写真の右側中段やや上側)

・事業者名(PSEマークの右側のアイ~会社の部分)

・定格表示(写真の左上方:DC~Ahの部分)

のある製品を選んでください。

できれば、

・検査機関のマーク:(写真の上段真ん中にCQC、cULus(RUに見えるかも)、下段左側にもたくさんのマークあり)

の付いた製品が安心ですが、重製品は高いですからね。


皆さんの安全で健やかな暮らしを願いつつ、今回の話はここまでとさせていただきます。

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