第4話 電気製品の安全性の話①の4
~~~ 安全性が確保されているかどうかわからない電気製品の話
第1話 リチウムイオン電池編③ ~~~
【互換バッテリー購入の際に最低限押さえておきたいチェックポイントについて2】
前回の話で、製品に付されている表示を読み解く事で、ある程度製品の安全性を確認できることを説明しました。
今回は、実施にどの様な表示が付されていれば、ある程度安心できるかをお話ししたいと思います。
先ず最初に申し上げておきますが、製品にまるPSEマーク、もしくは、ひし形PSEマークだけが印刷ないしシールが貼られているだけで、他に碌な表示が無いような製品は論外です。
PSEマークは電気用品安全法の求める色々な表示と組み合わさって初めて法定要件を満足する表示なので、それ以外の表示が無い様な製品では、そんな事すら真面に調べて対応していないと言う意味でも全く信頼に値しません。
(一部の物理的に極めて小さい製品(部品)では、物理的に不可能と言う判断の元に表示の省略し、別の方法で代用する事が認められていますが、パンピーが日常生活で手に取って使用する様な製品の場合、絶対無いとは言いませんが、基本的に無いはずのもので、やはりおかしいと考えて問題ないでしょう。)
私自身の経験から言わせていただければ、有名な通販プラットフォームのマーケットプレイス等で販売されている携帯可能な電気製品で、ある程度大きなパワーを継続的に必要とする様な製品は、リチウム充電池を電源にするのが一般的な様です。ただ、交換用バッテリーまで付属していながらかなり安価な製品(具体的には1万円より安い場合、ヤバそうなものが多い気がする。)には、かなりの比率で違法品とまでは言えないまでも、電気用品安全法を遵法していない製品が多い気がします。
実際に、私が先ほど記述した所等で購入した事のあるその種の激安製品(携行可能な温冷蔵庫や草刈り機、工具類など)で、遵法製品が入手出来たためしがありません。
恐らく、結果論的に言わせてもらえれば、購入場所がマーケットプレイスだった(んだと思います。)ので、取引がBtoC乃至CtoC扱いの個人輸入と言う扱いになる為、購入したした製品に日本の電気用品安全法を遵守する義務はない、と言う法解釈が成り立つと判断したので、法令対応していない製品を販売しているのでしょう。
ただ、違法製品では無いというロジックが成り立つからと言って、その製品のバッテリーや充電器にPSEマークのシールだけを貼って、電気用品安全法対応品を装うのはいかがなものかと思います。
どうも、製品が法の規制の対象の外にあるので、PSEマークのシールを貼っても法律違反になる事は無いと考えている可能性がありそうです。
法律では、法の第十条の2で、『届出事業者がその届出に係る型式の電気用品について前項の規定により表示を付する場合でなければ、何人も、電気用品に同項の表示又はこれと紛らわしい表示を付してはならない。』と定めていますが、
そもそも、個人輸入で製品が法の規制の適用外の場合、法自体の適用が可能かどうかと言う問題がありそうで、かなりグレーな判断になると思います。
もっとも、PSEマークに商標権などが設定されていれば、その辺は完全に違法と言う事になりそうですが、私は、この辺の話の専門家ではないので何とも言えません。
もっとも、これがプラットフォーマー自体が輸入して販売していたら、がっつり訴えて、賠償金をせしめてやる事が出来そうな気がしますが、きっとそうではないのでしょう。残念です。
話が逸れましたが、まるPSEやひし形PSEの表示が単独で表示されていても、それだけでは安全性を確保している事の証拠としては、かなり弱い事がご理解いただけたと思います。だからと言って、PSEマークに付随して表示されているべき表示を細かく解説すると、この話の1話や2話で済むどころか、10話や20話やっても済まなくなるので、それは避けたいと思います。(機会があればやってみましょう。)
では、どの様に安全な製品か否かを見分けるかと言うと、前回の話の中に第三者検査機関と言う組織の話をチラッとしたと思います。
日本で電気製品の安全性の確認を行っている団体で最も有名な組織は、前回の話にも出て来たJET(電気安全環境研究所)と言うところでしょう。
そもそも、このJETは、正しく電気製品が電気用品安全法の基準を守って作られているか否かを検査する為に作られた団体(一般財団法人)で、基本的に電気用品安全法の適用を受ける電気製品の全ての製品の検査が出来るはずの日本で唯一の団体です。
また、日本国内には、同じ法律の規制を受けている製品を検査できる団体が9団体、海外にも幾つかあります。
もっとも、JETの様に全製品の検査が可能なところは無いようです。
検査する為には、色々な設備や態勢、人員などの準備が必要で、全部やろうと思うと、膨大な金額や場所、人が必要になります。
ぶっちゃけ、どの団体も飯を喰う為に事業としてやっているのですから、検査により期待できる収入と事業の継続に必要なコストとを厳密に計算して、最低でもバランスの取れるポイントを見極めて事業を行っています。
当然、儲からないと判断された検査はやらないし、儲かりそうと判断された物でも準備が整っていないと検査できません。
詳しく知りたい方は、下記URLをご覧ください。
日本の電気用品安全法に関する検査の出来る登録検査団体のリストが確認できます。
https://www.meti.go.jp/policy/consumer/seian/denan/cab_list.html
日本国内だけでも、これだけの検査団体があり、製品の安全性の確認検査を行っているんです。
なら、何で危ない電気製品が流通するのか?
答えは簡単で、検査を確り受けるには、結構な額のお金と検査期間、検査を受ける為の実機サンプルが必要になるんです。
勿論、必要とされるお金と検査期間、実機サンプルの数は、製品の構造や検査の難易度、工数などによって変わります。
が、それでもスムーズに行って数週間の期間と何十万のお金、数台のサンプルや交換部品が必要になるそうです。
それと、ちゃんと法律を守って製品を作っている証拠の検査データなんかも必要になるそうです。
商機が来ても検査が終わらないと売る事ができない、検査費用をコストに転嫁すると現実的な定価が設定できない、幾ら検査を受けても合格出来ない、etc…
色々な理由が想定できますが、要は、悪人のロジックですね。
守る人はちゃんと守ってます。
私が聞いた範囲では、合格をもぎ取るのに実に3年の検査期間を必要とした、なんて話もあります。
と言う訳で、ちゃんとルールを守れない人の事情を斟酌する必要はありません。
重要なのは、日本国内だけでもこれだけの検査団体があって、ちゃんと手順を踏めば、それぞれの検査団体から《この製品は安全です》と言うお墨付きをもらう事が出来ると言う事なんです。
日本の電気製品に関して言えば、Sマークと呼ばれる制度がそれなりに(業界で)有名なんじゃないでしょうか?!
この制度は、電気製品認証協議会(略してSCEA)と言う団体が管理母体になって運用している電気製品の安全性を保証する制度で、現在加盟している検査団体数は4団体だったはずです。
その4団体が電気製品認証協議会が管理するSマークと言う制度に沿って、電気製品の安全性や継続的生産能力を審査して、電気製品の安全性にお墨付きを与えている訳です。
この場であまり細かい話をするのも何なので、詳しく知りたい方は、下記URLをご覧いただきたい。
https://s-ninsho.com/
Sマークに関しては1例に過ぎません。
この様な制度が、それぞれの検査団体毎に運営されています。(もちろん、やってない団体もあります。)
例えば、先ほど例に挙げさてもらったJETでは、Sマーク制度の参加して、Sマークに基づく電気製品の安全性を保証する他に、自社で独自の認証制度を運用しています。
興味のある方は、下記URLをご覧ください。(詳しい説明はしません。)
https://www.jet.or.jp/products/index.html
ここ迄は、日本国内限定の話でしたが、目を世界に向けると、世界中で似たような事をしています。
有名なところを挙げれば、北米、USAのULがやっているUL認証、カナダ、CSAのCSA認証は世界的に有名な例でしょう。
隣国、韓国にはK規格に基づくKCマークがありますし、中国でも中国強制性製品認証と言う制度のCCCマークがあります。
欧州になると少し事情が複雑になるんですが…、
EU加盟国では、基本的にCEマークがベースになっているようです。
ただし、CEマーク自体は、前にも書きましたが製造元が自主的に宣言する任意制度だったはずなので、このマークだけが単独表記だった場合の実効性はかなり微妙だと考えるべきでしょう。
CEマークの場合、基本的にその安全性を裏付けにどこで検査を受けているか否かが重要で、一緒にどんなマークが表示されているかが重要だと考えるべきでしょう。
下記URLはとある商社が作っているもので、ページの中ほどに世界地図的な絵に色々なマークが記載されているのがわかると思います。
https://www.smi-japan.com/column/howtoselectacadapter.html
一々解説するとキリが無いので割愛しますが、それぞれが国違いや団体違いで安全性を確認した事を保証するマークです。
例えば、ドイツならVDEマークやTÜV(いずれも正三角形を崩した様なマーク?) 、デンマーク:DEMKO(丸にD)、ノルウェー:NEMKO(丸にN)、欧州では無いがオーストラリアのRCMマーク(正三角形の中にレ点チェックの入った丸)、英国のBSI(ハートマークチックな有名なマークですが、ちょっと変過ぎて説明不能)なんてのもあります。
記載されているマークの他にもたくさんあって、説明しているとキリがないので、興味がある方は、自分で調べてください。
製品の中にこれらのマークがついていれば、それぞれの団体のお墨付きがあるという事なので、ある程度安心できると思ってください。
最後にこれは一つの例ふぇすが、下記URLで確認できるACアダプターの銘版中に、日本のひし形PSEマークに加えて、中国CCCマーク、USAのULマーク、オーストラリアのRCMマーク、韓国のKCマーク等が記載されています。
https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/s1142205346
ここ迄沢山記載のある物はそれほど多くないかもしれません。
恐らく、それぞれのマークのお国元で売る事を前提にした、世界各国仕向けのACアダプターだったのでしょう。
こんな感じに一つだけでは無く、複数の安全マークがあると、かなり安心できると考えて、製品購入の参考にしていただいたと思います。
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