第17話◆2.5次元俳優、街に行く4
【サロン・ド・メイキュラス】
メテオラさんに案内されたサロンはそんな名前だった。
メイキュラス家の次男坊が創立者で、今は3代目が継いでいるらしい。
一応メイキュラス家の御用達のようだけれど、門戸は広く、予算に合ったものを提供してくれることで有名なお店らしかった。
修行先はエイラ・アスラーク帝国第一王都エイラではなく、お隣の聖ノイエ・ファルカスかオルティア王国だという。
なんでも服飾関係の生産地がそこにあって、豊かな水のおかげで染物も盛んなんだって。
エイラ・アスラーク帝国も綿は作っているんだけれど、両国に輸出して加工して仕入れる方を取ったみたい。
「こんにちわ。今宜しいでしょうか?」
ドアベルをカラコロと鳴らして入店したら、以前ミラノ旅行の時に刀祢と一緒に入ったサルトにそっくりだった。
入ってすぐ右に生地類の反物が横に並び、左側は鞣した革や毛皮がずらりと吊るされている。
通りに面した出窓には3点のトルソーが並びそれぞれに見本を着せられていた。
作業台を挟んで奥には手芸用品が所せましと並べられ、手縫い用から刺繍用から革用までいろんなものが売っていた。
「おや、メテオラお嬢様。お久しぶりでございます。少々気になった話を聞いたのですが、お怪我などはありませんでしたか?」
「ええ、こちらのラナン・イシュラーク様に助けていただきましたので。シノ様、フォゼス様共々怪我一つなく無事にすみました。今はお礼もかねてこの街をご案内している所です」
「そうでしたか!ではご無事であったことと、お嬢様をお救い下さったお礼として、少々色を付けさせて頂きたいと思います。ラナン・イシュラーク様。申し遅れましたが私はこの店の店主、エデン・メイキュラスと申します。メテオラお嬢様とは昔馴染みでして、よくご利用して頂いております」
「この母の鞄のメンテナンスもしてもらっております」
メテオラさんが腰にあるポーチを見せてそう説明してくれた。
「初めまして、ラナン・イシュラークと申します。ご縁があってドライブ商会の皆様と一緒にこの街に参りました。宜しくお願い致します」
「ご丁寧にありがとうございます。では本日はどの様なご用件でしょうか?」
エデンさんの言葉に、俺はまず布、革、毛皮に関して聞いたり、実際に触ってみて感触を確かめた。
あれ?革と言えば……。
「ウルフの皮とかは使わない?」
「そうですね。低級モンスターの皮は安価なので冒険者ようの
「そうなんですね。勉強になります」
「同じウルフでもここらでは
その釣り下がっている赤い毛皮が
毛には火属性があるので、冬場の帽子やマフにしたりするようだ。
「へぇ~」
どれか狩れたらいいなぁ。
なんて思いながら、よく鞣されて色合いもいい牛系魔物の革や服飾用生地、絹、コットン等の生地をそれぞれ2反ずつ、専用の糸と針、刺繍用品も買い込んだ。
劇団いた時は自分で衣装を縫ったりもしてたんで、ある程度は作れるんだよねぇ。
団員に衣装造り専門の子がいて、よく刀祢と一緒に繕い物してたこともあった。
「おまけまでありがとうございます」
「いえいえ。こちらこそ沢山買って頂いてありがとうございます」
またよろしくお願いします、とエデンさんと握手をし、その店を出た。
「次はどうなさいますか?」
「食器とか生活用品がほしいかなぁ」
「ではあちら、向かいの【ポンメゾット】ですね」
「楽しみだな!」
買った物は
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