第15話◆2.5次元俳優、街に行く2
部屋に入ると軽食?って感じの量の食事が用意されていた。
サンドイッチが3種類にスープが2種、飲み物も2種類。
それにメインの肉料理とサラダ。
「すごいな」
「そうですね」
まぁ食べきれなくても【
この世界の食事事情は歴代の召喚勇者様のおかげで改善されまくった様だ。
なるほど、このポタージュスープもミネストローネも日本で食べた感じの味がする。
それにこのサンドイッチのパン、白くてふわふわしてる。
果実から作った天然酵母で作っているらしい。
うん、好き嫌いはないけれど安心する味でよかった。
サンドイッチはチキンに似た肉と生ハム、果実のジャムの3種類でそれらが一皿ずつあった。
「あ、おいしい」
「ここは先代の勇者様からレシピを頂いた一族が作った宿なんですよ。レストランが本店で、こちらは支店になりますね。食事だけの利用もOKでお値段も良心的なので繁盛してます」
「だよなぁ。この食事、日本で食べた感じがする」
「そうでしたか」
「うん」
飲み物は果実水が2種。柑橘系と甘い葡萄系かな?
それらを堪能して備え付けのお茶セットで一息ついてから、シノ君はこう切り出した。
「ラナン様はまず、身分証明書を手に入れましょう」
「そうだな。俺今無職な上に身元不明だからな」
「旅をするのであれば冒険者ギルド、もしくは商業ギルドなのですが、ラナン様の現状をみると両方で取得した方がいいかもしれません」
「ほう?なにゆえ?」
冒険者にはなろうと思ってるけれど。
首を傾げていると、シノ君は言を継いだ。
「まずラナン様の戦闘スキルは冒険者向きです。一応僕の護衛という役にも付いてもらいますので冒険者であれば各地の移動で通行料は免除されます。それと、商業ギルドへの登録は僕の仕事を見て興味があれば、僕を通じで商業ギルドと懇意になっておいた方が便利ですし、ニホンから来たという事で新しい料理のレシピや発明品等の特許も取得が可能です」
「あ、そういう使い方なのか、商業ギルド」
「ええ、商業ギルドは王家直属の研究機関も一枚かんでますので、新しい料理や道具には敏感なのです。なので他の貴族に権利を取り上げられて悪用されるのを防ぐ役割もありますね」
「どこの世界でもいるんだな、悪徳業者ならぬ悪徳貴族」
「ですね。あと商業ギルドには一度取得しておけば冒険者ギルドと違い、有効期限が長いんですよ。冒険者の初心者ランク……Fランクは何も活動報告が無いと1ヶ月、D~Cで半年、Bが一年、A以上が三年に対し、商業ギルドは登録するだけで3年間利用できます。試験はありますがほぼ書き取りと四則演算だけですので、ラナン様であれば楽勝かと」
「ほほう。であれば両方取得した方が楽、と」
「ええ、ラナン様の【
ほうほう。
やれないこともないし、いろんな場所にいきたい俺にはいい仕事かもな。
冒険者で魔物を狩りつつ、商業ギルドの依頼を受ければ一石二鳥、いや俺得もあるから三鳥か?
「それで、どうしますか?今からでも両方のギルドへのご案内は可能です。明日以降は父も来てバタバタしてしまいますので数日かかってしまいます」
シノ君の申し出は有難いが、俺もシノ君も疲れているしな……。
「ゆっくりでいいよ。まずは体を休めて、シノ君はお父さんに顔を見せて安心させてあげなさい」
「……解りました。では後日、僕の身が空いたらお知らせしますね」
「うん。頼んだ」
「はい!お任せを!」
それから俺はシノ君に俺に関してのNG行動を一通り教えてもらった。
先日のいきなり高級食品を人に施したりとか……。
いや、確かに最高級とかついてたけどさ、沢山あったし、ご飯は皆で食べれば美味しいじゃん???
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