第10話◆2.5次元俳優、色々拾う4

 荷物を運んだり、遺体を回収したりしてたら出発は夕方ちょっと前になってしまった。

 馬も荷馬車も洞窟の裏手側にそのまま置いてあったので連結すればOKだったようだ。

 御者はフォゼスさんがやってくれるらしい。なんでも昔はシノ君のお父さんのアイルさんの付き人としてお世話をして一緒に行商に回っていたらしい。

 フォゼスさんとメテオラさんは御者台に、俺とシノ君は荷台部分にクッション敷いて座っている。

 荷馬車なだけあって、人が過ごす為にはなってないからなぁ。

 そんで俺はというと、ありましたよ【ライダー】スキル。

 これ、舞台の映像特典で乗馬したり流鏑馬してみたり、更には英霊戦争でライダークラスの役やったり、変身ヒーローの劇場版ヒーロー役やったからだよな??

 騎乗スキルとか操縦スキルが統合されて【ライダー】になったんだろうけれど。

 俺、一応大型二輪免許もちだし……。


 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼

【ライダー】スキル

 乗り物全般を操縦する事が出来る。

 荷馬車からドラゴンまでばっちこい!

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 説明がなんとも大雑把だが。


「エイラ・アスラーク王国第一王都エイラまでは第三王都街シイラを通過します。途中に馬車を停めて宿泊もできる駐車場があるので、今夜はそこで泊まりましょう」

「駐車場なんてあるのか」

「ええ、主だった街道沿いには一定間隔設けられてますね。各国運営となっていて、魔物除けの結界もありますし、ちょっとした店があったり、急な宿泊者用に天幕も借りられますよ」

「へー」


 地球でいう高速ドライブインみたいなものか。

 そういや今度、刀祢と一緒に海老名SAに遊びに行こうって話もしてたんだよなぁ。

 下りで寄って名古屋に行って味噌煮込みうどん食べて美術館行ったら帰りもまた寄ろうってさ。

 ああ、心のこりだなぁ。


「ラナンさん。あそこです」


 シノが指さした先には小さな小屋があり、そこの後ろには大きな柵とかなりのスペースが。


「あれが駐車場……」

「ええ、あの規模であれば一度に連絡馬車こみで20台、100人は宿泊できると思います」

「へー」


 ほんとにサービスエリアっぽいなぁ。どっかのSAには宿泊施設もあるし。


「シノ様、私は馬車を置きましたら山賊の事を兵士に伝えてまいります。通信魔道具もありますから、本店に連絡をしてもらいます」

「そうだね、お願いするよ。僕とメテオラは天幕が借りられるか確認してみる」


 そんな会話を聞いていて、あ、と思った。


「4人用の天幕なら俺が持ってるから大丈夫だぞ。あと食料も持ってるからそれ食べようか」

「え?」

「なんと、【イベントリ】スキルをお持ちで……」

「すごい……」


 シノ君、フォゼスさん、メテオラさんはそういうが、異世界物を嗜んでいた俺にとってはあるあるスキル過ぎてな……。


「では連絡だけで」

「うん。本店の方からも迎えが来ると思うから、その場合、第三王都街シイラの支店で落ち合うようにしてもらって」

「かしこまりました」


 そうしているうちに荷馬車は駐車場入り口の兵士の詰め所に着き、一旦荷馬車を置いてから、兵士が持ってきた利用者名簿への記入を済ませ、一泊分のお金を支払った。

 ちなみに3人のお財布は親分の後ろのお宝の所に無造作に置いてあったので、3人に返却した。

 だってさ、【鑑定さん】が『これはシノノメの財布です』とかいうから返したいじゃん?

 あと、『この世界』の財布らしい財布がほぼ小さな袋か、魔物の素材を使った江戸時代でよく見る紐で巻いて留め具を差し込むタイプのだった。

 俺の首に掛かってるがま口財布は珍しいんだろうなぁ。


 フォゼスさんは兵士と一緒に詰め所まで行き、通信魔道具で連絡を取るようだ。

 なので、俺たちがすることは荷馬車の近くに天幕を作る事だな。


「よいしょっと」


【イベントリ】から出したのはドーム状の4人用ワンタッチ簡単テント。

 ポップアップテントなので堀投げれば展開してくれるし、片付けるときはそのまま【イベントリ】に収納するので楽ちんなのだ。


「これは……すごいものですね……」

「企業努力のたまものだよなぁ」

「見たことが無いです……」


 呆けている二人を横目に、俺はキャンプセットを取り出した。

 荷馬車は角が取れたのでそこに、その横奥にテント、その前にりたたみレジャーテーブルを置いた。

 テントとシートの間に焚火台や、一応結界灯ランタン、グリル台を置く。

 グリル台はいわゆるBBQコンロ。

 作業台として折り畳み用のテーブルもだした。

 荷馬車あった商品用のクッションを人数分提供してもらい、テーブルを囲むように置いてもらう。


 その間に俺はBBQコンロと焚火台に炭を入れ、結界灯ランタンに魔力を充電してからスイッチを押した。

 強くはないが板が居の手元が見えるくらいの明るさをだしている。

 イベントリをよく見れば結界灯ランタンはあと3つあった。

 ああ、最大4人用のキャンプセットなので一人一つ計算なのか。

 俺はもう一つ結界灯ランタンを取り出して、テントの真ん中上部らへんに吊り下げた。

 テントの中の上部分、紐が通せるようになってて、色々と吊り下げられる様だった。


 そして食材をだしていく。

 パン1本、生ハム原木、バター、ナイフ、調理器具、食器類、丸いチーズを切った物、コーンスープ缶3つ、牛乳1本、白ワイン、インスタントコーヒー、砂糖、塩コショウ、鍋にフライパン等。


 さて、調理開始だ。




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