第31話  心調部は我が世の春で、

今日も今日とて部活デー。


「おはよーございます」


殆ど頭を下げるだけだった今までよりも、大きく――当自比――挨拶をする。


おはよう、と大きな――当部比――声が返ってくる。


部室には、心調部の面々は当然として、姫野さんの姿が今日もあった。

あの旧校舎騒動が終わった後、彼女はこちらの部室に頻繁に入り浸るようになった。


常に隅っこで機械いじりをしているが、静かにしているかと思ったら、たまに唸ったり、ぐるぐる歩き回ったりと、忙しない。


なぜ心調部の部室に来るようになったかと言うと、彼女の目的は一つ。

小型化した粒子砲――粒子銃のテストと改良だ。


ここ数日、いろんな依頼と相談がやってきていた。

手芸部の血みどろ人形とか、茶道部の座敷童とか、なんだかんだと。


最近突然暴れ始めたというのももちろんあるが、そればかりではない。


今まで見えないフリしてたり、仕方なくその存在を受け入れてきた、みたいな触らぬ神に祟りなし的な人々が、心調部の活躍を耳にしたことで、

「もしかして、なんとかなるんじゃ……?」

と、相談に来たパターンが半分以上だった。


先生がいつか言ったように、この学校は幽霊の巣窟だったらしい。


そして、そのような依頼が来るたびに、姫野さんは小型銃を僕たちに使用させ、出力の調整やら反動の低減、誤発射防止機構の作成などを施した。


心調部は現在、科学部の姫の遊び場と化していたのである。


そして、実際小型銃の使い勝手はメキメキ良くなって、心調部はあらゆる怪異を一瞬で蹴散らすようになっていた。


姫は楽しい。僕たちも嬉しい。

これぞWINーWINの関係ってやつだ。


姫特製粒子銃を使えば、向かう所敵なし。連戦連勝。


あれだけ追いかけ回されたバケモノを簡単に倒せる快感。

そして、人から感謝され、チヤホヤされることの、問答無用の気持ちよさ……


心霊現象調査部は、我が世の春を迎えていた。




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