第4話

 最後に人と会ったのは、ハッキリとは覚えていないし、西暦という年の数え方はもう消滅しつつあって……もうこの星の人間の大半が、あの大災からどれだけ経ったのかなんてわかる人が珍しいのではないだろうか。

 私だって、私のお母さんだって当時を経験なんてしてない。


 だからこそ、彼が尚の事特別に見えたのだった。


『誰!?』


 出会いは唐突だった。

 都会の廃ビルの一室で鉢合わせ、お互いに狩猟銃を向け合ったのが最初だった。その時は私が一足早く住んでおり、しかもその時は丁度シャワーを浴びて、布一枚の状態でもあったため当初は、犯されることさえ覚悟した。


「ご、ごめん――いるとは思わなかった……す、すぐ」


 男は後ろにたじろぎながら、言葉をつっかえながらも震えながら、両手を上げる。


「そ、そんなつもりじゃ――」

「置いて――」

「へ?」

「銃、置いて――」


 との要求に素直に応じ、次の言葉を察して、こちらに蹴とばして自分は無害であることを主張する――しかし、この一連の流れはそんな珍しいことでもなかった。

 人が少なくなった上に、遭遇するのは野生動物よりも低く、おまけにairが基本ついているため骨を折ったとしても何かしら病気になったとしてもある程度なら生き抜ける――

 だからこそ、互いに警戒し合うのが普通であり常識なのだ。

 しかし、逆に間接的であれば積極的にコミュニケーションをとる、いくら一人でも生きていけるといえど、閉鎖的な状況では寿命が縮む。


 だから――


「ちょっと待ってて……今着替えるから」

「す、すまないッ――」


 彼の銃を拾うしぐさに、男は照れた顔をしながら目を逸らす――そんな彼を尻目に、身体を拭き、洋服を着用する――彼は見た感じ、好青年といった感じで、私とそこまで年は離れてなさそうだった。しかし、どこかおどおどと頼りなく、眼鏡の似合う優しい顔付きに見え、そんな彼の風貌と、狩猟銃はどこか、雰囲気的に釣り合っていなかった。

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