第47話 先代魔王と先代勇者

 最後はどうあれ、魔王との戦いは全て終わった。

目を覚ました魔王は俺たちを後宮へと案内した。


「魔王、これからどこへ行くんだ?」

「戦いが終わった事を元お父様と元勇者の結婚相手に伝えていくの」


魔王から、いろいろと気になる言葉が出てきたけど……。

何故元勇者が魔王の城にいるのは気になるが、この世界に残った勇者が居るので

きっとその勇者なのはまだ想像がつくけど……元父親は全くわからない。

さらにその勇者と結婚したと言ってる。


「えーと、元父親ってどういう意味かな」

「どういう意味って言われても……今はお父様はお母様になってるとしか」


父親が母親になってるって余計意味がわからない……。


「えーと、もっと意味が分からないけど」

「直接会ってくれた方がいいけど、一応説明するね」


魔王の説明では先代魔王は先代勇者の魅了のスキルで恋仲になったけど

どうも先代勇者は女性が好なので、女性になったけどいろいろあって

女性同士結婚して、女性同士で子供を設けたそうだ。


「なんか……情報量が多すぎて……」

「あと、子供を産んだのはお父様の方だよ」


この世界に残ったのは先代の女性勇者と言う事はわかってはいるけど

まさか、魔王と結婚して子供をもうけてたとは思わなかった。

しかも、子供を産んだのがTSした先代魔王の方だったとは……。


「わたしだってお父様が女性になって、女性と結婚して女性同士で子供を作って

妹を産むなんて思ってなかったよ」

「確かに、父親が妹を産むなんて思わないよな……」


多分、この世界ならば側室が居てもおかしくはないと思うけど

側室が妹を産んだならともかく、父親が妹を産んだとなるとなると

もう意味が分からないといか言えないし、複雑怪奇としか言いようがない。


「ここはお父様のお部屋よ。お父様、戦いが終わりましたのでご報告に来ました」

「そう。お話は中で聞きますので、入って」


魔王がそう言うと、中から女性の声がしたがこの声が先代魔王かな。


「では、失礼します」


俺たちは先代魔王の部屋に入ると……魔王同様に胸が大きくて大人らし色気と

気品のある女性が椅子に座っていたが、これが先代魔王か。


「戦いご苦労様。勇者御一行がここに来てるって事は負けたって事よね」

「は、はい、負けました……」

「仕方がないよね。ただ、その様子だとやはりスキルを使われたのね」

「はい」


魔王は戦いの事を話すけど、先代魔王はただ頷くだけであった。


「ルイーサちゃんもちゃんと頑張ったけど、片腕だけじゃだめだったのね」

「咄嗟だったから……。それに、胸を触られたて取り乱したし……」

「もう、胸を触られたぐらいで、取り乱しちゃダメでしょ。300歳にもなって」

「だって、男性に触れたのはじめてだし。まだ300歳だし」

「だから、はやくお婿さんを貰いなさいって言ってるでしょ。後継ぎも産まないといけないんだし」

「だって、わたしより権力目当てのばかりだし。もちろん、それは仕方がないけど

わたしもちゃんと好きになって欲しいの」


なんか、結婚の話になってるけどどこの世界でもこんなものなのかな。

そして、300歳って人間で言うとどれぐらいなのかわからないけど

長命種ってこんな感じ感じなのかな。


「それに、こんな話をしに来たんじゃないし」

「そうだったわね。ついつい、こんな話をしちゃったわね。

戦いは終わったのけど、今回も負けちゃったわね。

でも、これで人間と戦争をした馬鹿共を一掃できるわね」

「そうだね。わたしは戦争は反対って言ったけど、その場の雰囲気で戦争をするって言ったけど

元はと言えばあの大臣たちが原因だからね」


先代魔王と魔王はニコニコして言うけど、責任は大臣たちに押し付けるらしい。


「それにしても、今回の勇者は女の子の方が多いのね。

それに、ルイーサに勝ったのは、確か博司さんでしたっけ」

「うん、ヒロシだよ」

「つまり、ルイーサのおっぱいにも触ったのね」


先代魔王が俺を睨むけど、ま、まさか胸に触った事がまずかったのね。


「博司さん、こちらへ来てください」

「は、はい、失礼します」


先代魔王に手招きさて近づくと、先代魔王はさらに自分の横まで来るようにと言うので

畏れ多いながら言われたとおりにすると、先代魔王は耳元で


「ルイーサちゃんのおっぱいの感触はどうだった?」


と聞いて来たので思わず固まってしまった。


「突然こんな事を言われたら驚くと思うけど、ルイーサちゃんのおっぱいに

触れるなんてそうない事だから、素直な感想を聞かせてね」


先代魔王にそう言われたので、素直に


「柔らかいけど弾力があって凄かったです……」


と先代魔王に言うと


「でしょ?流石わかっているわね」


と言われて何故か抱きしめれたけど、先代魔王も魔王以上に胸が多いので

抱きしめられると自然に胸にうずまる。


「もう、ニネット、わたしが見てないからって浮気は駄目よ」


奥から女性の声が聞こえたけど先代魔王は


「あら、美奈穂、浮気じゃないわよ。ちょっとした勇者とのスキンシップよ」

「わかってるわよ。あなたが博司君ね、わたしは先代勇者でニネットの結婚相手の美奈穂よ、よろしくね」


美奈穂さんはが手を出したので、魔王に抱かれたまま握手をする。

美奈穂さんの名前は先代勇者が残した日記で読んだけど、この世界に残ってた事は

知っていたが、200年経っているのに若い姿のままであるが、魔族と結婚したので

人間ではなくなったことは想像がつく。


「色々話したい事がるけど……まずは博司君を話してあげてね」

「わかったわ」


先代魔王……ニネットさんは話してくれるけど、魔王もルイーサと言ってたので

先代魔王も魔王も名前で呼んだ方がいいのかな。


「あ、あの、魔王と先代魔王ではお呼びしにくいので、名前でお呼びして良いですかね?」

「ええ、構いませんよ」

「うん、いいよ。言いにくいしね」


2人とも承諾してくれてたので、名前で呼ぶ事にした。


「あと、皆さんもこちらへ来てくださいね」


美奈穂さんに言われて皆もこちらに来る。


「みんな揃ったから、話をしましょうか。でも、何の話をしたらいいかな」


聞きたい事は色々あるけど……まずは何故ニネットさんがTSしたのかを聞いてみた。


「確かに、それは気になるか。説明をするとね……」


美奈穂さんの説明ではニネットとの戦いに勝った時に魅了のスキルを使ったそうだけど

その影響でニネットさんと美奈穂さんがラブラブになったそうだ。

ただ、美奈穂さんは女性が好きだから、ニネットさんが女性になったそうだけど

ニネットというは女性になって時に改名したそうで。

そして、美奈穂さんも魔族になる儀式を受けて、魔族になったけど外見は変わっていないそうだ。

 

 そして、ルイーサの母親とは別れて、美奈穂と結婚、そして女性同士で子供が出来る

魔法を使ってにニネットさんが子供……つまり、ルイーサの妹を産んだそうだけど

公式には離婚してはいるけど、立場的には妹と言う事だ。

つまり、元父親といのは離婚したのと、TSして女性になった2つの意味があったそうだ。


「なるほど、そういう事ですか」

「いやね、魅了のスキルはそれだけ強力なの」

「そういえば、俺のスキルも俺が死んだり、この世界からいなくなっても効果が残るみたいですね」

「そうみたいね。だから、この世界を去る時に頼んだ事は博司君が元の世界に帰っても

効果があるからいくつか頼みごとをしていくといいかもね」

「わかりました」


頼み事の数には制限がないようだから、いくつか頼むけど頼む事は決まっている。

まずはこの世界の平和を保つ事で、次はトイレを普及させる事。

トイレよりも世界平和の方が優先だし、平和だからトイレも普及させれる。

あとは……思いつかないけど、これだけでも十分かもしれない。


「他にはなにあるかな?」

「俺たちが魔王に勝った後はどうなるのですか?」

「それも気になるみたいだけど、それに関しては博司君たちの仕事と言うより政治の仕事かな」


美奈穂さんの説明では、これはあくまでも戦争なので、戦争を終わらせる交渉をする。

現時点で魔王軍が負けた事が決定したけど、その後は平和条約の締結に

戦争犯罪の者の裁判となるが、魔王は従属したので責任は戦争を提案する大臣たちに

なすりつけるつもりではあるらしい。

そして、戦争反対派の大臣に挿げ替えて、平和条約を結ぶ計画ではあるらしいけど

勇者を召喚された時点で負けは確定だったので、最初から負けた後の算段をつけたとの事。


「勇者が来た時点でこっちの負けは決まってたからね。

というか、わたしが居るのに何で戦争を起こすっていたんだが」


美奈穂さんも呆れているが、とはいえ戦争を止めっれる雰囲気でなかったそうだ。

戦争を始める雰囲気になると、止める方が難しく、場合によってはルイーサは

失脚するだけでなく、いろいろ理由をつけて処刑される可能性もあったそうだ。

なので、開戦前に


『魔王が負けた場合、すべての責任は戦争を提案したものが負う』


という条文を作っておいたそうで、ルイーサが生きてる限りは有効とも

付け加えておいたそうだので、ルイーサが戦争犯罪人になる事をさけたらしい。

とはいえ、魔王であるので全くの責任がない訳でもないけど、これは仕方がない事。


「という事だから、後の事は気にしないでね」

「はい、わかりました」

「他に聞きたい事はあるかな?

ないなら、ここまでにして今夜はここに泊まってゆっくり休んでね」


俺も聞きたい事はもなく、他の皆も特にないのでこれで終わりになった。


「それじゃ、今日はこれで終わり。

博司君、ルイーサちゃんに頼みたい事があるなら、ここで2人きりにしてあげるからいいたい事を言ってね。

その方が言いたい事が言えるし、エッチなお願いも出来るからね」

「そ、そんな願いはしないです」

「冗談よ。では、皆さんは奥の来賓用の客室に案内しますのでこちらへどうぞ」


美奈穂さんは皆を置くに案内するけど、マチルダさんに


「本当にエッチなお願いはしないよね?」


と言われたがもちろんしないし、グレイにも


「エッチなお願いをしたらくっつけた手を斬りとしますからね」


といったが、もちろんしないから手を斬りととすのはやめてくれ。

皆が奥に行くと、静かになった部屋に俺とルイーサだけが残されたのであった。






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