第43話 角の返却と膠着の打破

俺が角を持ってみんなの元へ戻ると、魔王が顔を真っ赤にして

魔力弾を乱射してきた。

どうやら、角を持って来たことで怒らせた様だけど、ドゥニーズさんの

障壁で防いでるから問題はないけど、みんなが白い目で見てる……。


「あれ絶対に怒ってるよね……」

「そうね、確実に怒ってるわね」

「せっかくのチャンスを潰したばかりか、魔王を怒らせるとはさすがなのです」


マチルダさんとグレイに責められるけど、何も言えない。

果歩はこの状況を見ておろおろして何も言わないけど、ルアナさんは呆れていて

ドゥニーズさんは障壁を修復しながら、防御に徹するけどイゾルダさんは

ただただ様子を見ているだけなので、そのままにしておく。


「しかし、この角どうしよう」

「どうするもなにも、返せしにでもいくの?」

「そう言う訳でもないですし、返すにしても返せませんし」

「返すなら……勝った後で良いかと思います……」


果歩がそう言うけど、返すならば勝ってから出いいか。


「そうだな、勝って返せばいいだけか。もっとも、切り落とした角を

返して欲しいなんて魔王が言うと思ないけどな」


俺がそう言うと、魔王が


「勇者達いいか、斬りとした我の角を返すんだ!」


と叫んで来たので、正直驚いた。


「なんか、返せといっているのです」

「そうね、魔王から返せって言ってるわね」

「それじゃ、返しに行った方がいいかな?」

「魔王が返せって言ってるんだから、返せばいいんじゃないの?」


マチルダさんがこういうので、返す事にしたけど罠かもしれないので魔王には


「角は返す。ただ、返しに行く時はお互い攻撃をしない事にしよう」


と返事をしたら魔王も


「わかった。角を返しに来る間は我も攻撃はせぬ。だから、さっさと角を返すんだ」


と返したのあった。

ただ、聖剣を持って行ったら嘘だと思うので


「わかった、今行く。聖剣は置いていくし、スキルも使わない」


と返して、聖剣を持たないで魔王の前に出た。


「わかった。角を返しに来る間は我も攻撃はせぬ。だから、さっさと角を返すんだ」

「わかった、今行く。繰り返すが聖剣は置いていくし、スキルも使わない」

「承知した。我も不意打ちと言う卑怯な事せぬから安心しててこちらへ来るがよい」

「わかった」


横ではグレイやマチルダさんが「罠だ」と言っているけど、俺は魔王を信じる。

今まで聞いた話から、魔王は卑怯な事をしないと思ったからだ。


 俺は丸腰で角をもって魔王へ向かうが、言ったどおり魔王はなにもしてこない。

そのまま魔王の元へ着くが、魔王も防御を解いてくれたらしい。

そして、斬りとおした角を魔王に手渡したのであった。


「しかと受け取った。約束通り、何もせぬから戻るが良い」

「わかりました、失礼します」


俺は魔王に礼をして魔王を背にして皆の元へと戻ったが、やはりなにもしてこなった。


「魔王に角を返した来た」


俺がそう言うと


「そんなの見てたからわかってるわ。ただ、本当に魔王は何もしてこなかったわね」


とマチルダさんも感心していた。


「ただ、角を返しただけで、戦いが終わった訳ではないのです」


グレイがこう言うけど、確かに戦いに関係ない事が解決しただけであった。

ただ、魔王も角を返したらさっきみたく乱射する事はなくなった。


************


切り落とした角を返した後は、戦いは降着状態に。

お互いの攻撃はお互いの防御方法で防がれている。

角を返した後、聖剣を防御形態にしてハイダッシュで向かって行ったが

俺の剣の腕の無さで、魔王に効果的なダメージを与えれずすぐ回復されてしまっている。


 魔王も何度も接近を許したので、防御の他にドローンの様な球体の補助攻撃をだして

接近しても後方や側面から攻撃できるようにして、ヒットアンドアウェイも

高リスクになってしまった。


「このまま攻撃しても拉致が開かないなぁ……」

「遠距離攻撃はお互い無効なのです。それに、すぐに回復されてしまうのです」

「ただ、流石の魔王も疲れているようね」


魔王を見ると、息が切れているのがわかる。

数の上からこちらの方が多いので、疲労で隙が出来れば俺が再び接近して

今度こそ、スキルを発動させるか聖剣で攻撃すればいいだけである。


「このまま粘ればいいけど……ドゥニーズさんも大変そうですね」


魔王の攻撃を防ぐためにドゥニーズはずっと障壁を展開してくれてる。

ハーフエルフで魔力が高いといっても、やはり限界があり疲れも見えてきてる。


「こうなったら、魔王の動きを封じて接近するしかないけど、いい方法がないか……ってあるじゃないか!」


俺は最後の砦やった方法を思い出した。


「なによ、いきなり大きな声を出して」

「すみません、魔王を動きを封じる方法を思い出してつい」


マチルダさんに驚かされたが、魔王も最後の砦の方法で動きを封じて

倒せばいいんじゃないかと皆に話した。


「あの方法が魔王に効果あるかわからないでしょ」

「ハイダッシュで接近して聖剣で斬りつけるか、スキルを発動する2,3秒だけ

動きを止まればいいんですよ」

「このまま戦っても……お互い消耗するだけですので……博司さんの方法やってみましょう……。

わたしの出来る事は……水を出すぐらいしかありませんし……」


果歩はここでは湧水のスキルを使えないので、ただただ見てるだけであった。

なので、俺の提案でやっと出番が来る事となる。


「わたくしも、やる事がありませんし、ご主人様のためになにかしたいでわね」


イゾルダさんもそうはいってるが、魔王に氷の魔法を使って攻撃はしている。

ただ、その攻撃は全て防がれているし、球体の補助攻撃を破壊してはいるが

すぐに復活してどうもならない。


「するにしても、どれぐらい水を貯めるのですか?」


グレイが聞いて来たが、足元を凍らせたぐらいじゃ多分1秒も持たず破壊されそう。

それだと無意味なので、反撃されるリスクを減らすために出来るだけ動きを

止めたいので、胸元ぐらいまで水を貯めて凍らせたら流石の魔王も動きを止めれるとは思う。


「やはり、胸の当りまで貯めればいいかな」

「でも、貯まるまでまってくとは思わないわね」

「その間牽制をしてればいいと思いますし、魔王も無意味な事と思って油断するかもしれないでし」

「そんな都合よくいくかわからないけど、やるだけやりましょ」

「そうですね……これまでそうして来ましたから……」


マチルダさんも果歩もとにかくやってみると言ってるし、他のみんなも同じだった。

そして、1度やった事ある方法であるため、やり方もわかっており

効果があるかどうかわからないが、やるだけやってみるのであった。

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