第42話角の秘密

 戦いが始まってそすぐに、まさかこんなに痛い目に会うなんて思ってなかったよ!

矢が刺さったのはまだいいとして、まさか手首を斬り落とされるなんて。

すっっっっっごく痛いけど、すぐに元に戻せて痛みもなくなるからいいけど。

ただ、問題は角を斬り落とされた事。

斬り落とされたのはまだいいけど、問題はその角を人間の男に拾われた事。


 魔族の女は角を斬り落として拾った相手と結婚する決まりがあるんだよ!

その相手は男ならば、種族は関係ないし。

ただ、その角を返すか取り返せば結婚しなくてもいいって事にもなってる。

だから、角さえ返してもらえばいいけど戦いの最中に返してなんて言えない。

せめて、戦いの後に返して欲しいけど、勇者は異世界からきたから

この決まりしらないはずだから、結婚の事は黙っておいて

とにかく返してもらえばいいだけし。


 でも、さっきにはびっくりしたよ。だって、顔が目の前にあるんだから。

あのままだとキスが出来たかも……。

でも、わたしはキスも初めてだから、それがばれたらどうしよう。

だって、300年生きてて、キスすらしてないって奥手って思われかな。

でも、魔王の仕事をしてて、恋愛なんてしてる時間はないし。

さらに言うならば、魔王の娘だから近づいてくるのは権力目当ての

魔族の嫌いな魔族ばかり。

だから、この際人間でもいいかなって思う。

だって、パパだって人間と結婚して子供を産んだんだからね。

この際、さっきに勇者……たしか、ヒロシとか言ったよね。


 顔は良いのかわからないけど、優しそうだし。

性格はよくわからないけど、女たちに囲まれてさっきの事を怒られてるみたいだから

リードしてくれるよりは、尻に敷かれるタイプかな。

でも、あれこれ言ってくるよりは、いいかな。

だって、貴族の息子って嫌味たらしい事ばかり言って、性格悪いし。

わたしが魔王だから、下手になってるけど、陰じゃわたしの悪口ばかりだし。

そう考えると、あのヒロシでもいいかなって思うかも。

でも、ヒロシの事まだよくわからないし、まずはお友達からかな。

そして、お互いをよく知った所で、結婚してそして子作りかなって

子作りってあんなことやそんなことするけど……考えただけでも

また顔が赤くなっちゃうけど、さっきも顔を赤くして変な魔王だって思われてないかな。


 だだでさえ、露出の多い格好にマントなんて付けたら変だよね。

一応、魔力効果で防御力が増すって言うけど、聖剣相手じゃ意味がない。

そういえば、女勇者の1人がどんなもので聖剣と同じにするってスキルだったよね?

だから、本当の聖剣でない矢が刺さったり、普通の剣で手首を斬りと落された。

というか、思っていたよりもやばいスキルだって。

聖剣はヒロシだけが持ってるから、他は防御しちゃえばいいって思ってたのに

普通の武器まで、聖剣になったらどしたらいいの!?

このままじゃ、聖剣で斬られて負けちゃうけど、そんな痛い負け方は嫌だな。


 そういえば、スキルって叫んでたけど、ヒロシもパパが負けたのと

同じ様なスキルがあるって事なのかな?

それなれならば、痛くないからいいかな。

でも、パパも身体に触れてスキルを使われたって言うから、触れらないと

駄目って事だねよね?

さっきは少し胸が当たってたけど、また胸に触れれないと駄目ってことか。

恥ずかしいけど仕方がないし、魔王が奥手なんて思われらだめだから

胸ぐらい触らても平気な所を見せないと!

あと、恥ずかしい姿を見られたから、気合も入れないと駄目だよね!

それに、斬られた角も取り返さないと!


 わたしは気合をいれて、魔力を貯めて魔力弾を撃ち込む。

ただ、その弾もハーフエルフの障壁に防がれるけどわたしの

魔力弾であれば人間の防御なんて1発か2発で破壊できるのに

4.5発当たっても壊れないから、さすがと言った所かな。

そういえば、さっきヒロシたちがこっちに来た時、鎧にその障壁を

張ってあったけど、そんな事も出来るなんてすごいな。

普通は動くものに障壁を張る事なんてできないから、あのハーフエルは

本当にすごいハーフエルだけど、名前が伝わってないのが不思議。


 角を取り返すには魔力弾を撃っているだけじゃ駄目だけど

かといって、接近してもすべての武器に聖剣のスキルを付与さてると思うと

複数を相手するとなると、流石にわたしの方が不利だよね。

斬られてもすぐに元に戻ると言っても、すごく痛いし。

あと、戻ると言っても限界があるし、本物の聖剣で斬られたら

魔族だって死ぬ……といても、数百年経てば復活するけど

それでも、死ぬのは嫌だし。

ただ、どうにかして角を取り返さないと行けなけど、考えてもわからない。


 もうこうなったら自棄だ、どうなってもいいから魔力弾を

沢山出して、どんどん撃ち込むけど効果のありなしなんて関係ない。

撃った弾はほぼ全て全て障壁で防がれてるて、ヒロシたちには全く当たってないし。

というか、素直に角を返してといえばいいのかな。

それで返してくれると思えないけど、言うだけ言うかな。


「勇者達いいか、斬りとした我の角を返すんだ!」


一応、それらしく言ってみたけど、ヒロシたちは何か相談してるみたい。

素直に返してって言っても、返す訳がないし、ヒロシたちも

わたしが何を言ってるんだって思ってるだるし、さらにいえば

罠じゃないかと思うから、絶対に断るよね。

そんな事を考えてたら、ヒロシが出てきたけど


「角は返す。ただ、返しに行く時はお互い攻撃をしない事にしよう」


と意外な答えが返って来て、ちょっと慌てたけど素直に返してくれるなら

わたしも素直にならないとね。


「わかった。角を返しに来る間は我も攻撃はせぬ。だから、さっさと角を返すんだ」

「わかった、今行く。聖剣は置いていくし、スキルも使わない」

「承知した。我も不意打ちと言う卑怯な事せぬから案ししてくるがよい」

「わかった」


ヒロシが角をもってこちら来るけど、本当に聖剣を持っていない。

なので、わたしも攻撃をするのと、防御を解いてヒロシを迎える。

ヒロシはわたしに近づくと、言ったとおりに何もしないで角を返してくれた。


「しかと受け取った。約束通り、何もせぬから戻るが良い」

「わかりました、失礼します」


ヒロシはわたしに背を向けて戻っていくけど、約束通り背中を攻撃するなんて

卑怯な事をしないで、戻るのを見送るけど……もしかして、魔王的には

背中を攻撃するのが正解だったのかな!?

でもでも、約束したから攻撃したらいけないけど、どれが正解かわからないよ!

でも、とにかく、戦って勝てばいいだけなんだけど……なんか勝てる自信がない。

なんか、パパが負ける前提で話してたけど、確かにこれじゃ勝てるなんて思えないから

やっぱり、パパの言う事は正しいって事なのかな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る