第41話魔王への接近

俺は自分とルアナさんにハイダッシュの魔法をかけて

俺のスタートの合図ともに走り出す。

ハイダッシュの魔法をかけると本人だけしか見えない数字が浮かび

30秒のカウントダウンとなる。

この事はルアナさんにもちゃんと説明してある。


 魔王までの距離は20mほどであるが、多分1秒もかからない。

なので、スタートする前から聖剣を構えてスタートと同時に

聖剣を振り下ろし防御を破壊するが、タイミングを間違えると

防御にぶつかり下手したら、ぶつかった衝撃で死ぬまでは行かなくても

気を失ってかなり危険な状態になると思う。

もちろん、練習なんてない一発勝負なのでこれこそ運でしかない。


 走り出すと同時に俺は聖剣を振り下ろすが、聖剣を振り下ろした時点で

魔王の1,2m手前で、あまりの速さに流石の魔王も反応ができなかった。

振り下ろした聖剣には俺にでもわかるぐらい手応えを感じた。

つまり、防御を破壊する事が出来たが勢い余って魔王を通り過ぎてしまった。

それを見て、魔王に隙が出来たが、ルアナさんはその隙を見逃さずに

魔王に剣を振り下ろすが、魔王は間一髪の所で防御をして魔王は無傷である。


 Uターンした俺の目には魔王がルアナさんを殴って来たが、ドゥニーズさんの

障壁で防御が出来たようだが、俺の目からもルアナさんの障壁の色は見えるが

1撃で緑から一気に黄色に変わったが、黄色は耐久力が半分以下になったと言う事だ。

ただ、ルアナさんも魔王が殴るのと同時に、剣を振り下ろすと

魔王の手首を切り落とす事が出来たのであった。


「そ、そんな馬鹿な……」


流石の魔王も手首を切り落とされると、痛みで苦悶の表情をする。

Uターンしながら魔王のすぐ近くを通ったが、美少女が痛みで涙を流してる

様にしか見えなくて、この娘が本当に魔王なのと思ってしまう。

なのに、衣装はスクール水風な恰好にマントとちょっとシュールである。

胸も大きいし、魔王じゃなかったらヒロインの一員にしたいキャラだな。


 こんな事を考えてたが、手が届くぐらいの距離に居たから

スキルを発動するチャンスだったんじゃないかと通り過ぎてから気付いた。

ただ、数字はまだ10秒残ってるので、ぎりぎり接近が出来るはず。

俺は再び、Uターンをして


「ルアナさん、どいてください!」


というと、ルアナさんは素早く横にずれ俺は身をすこし低くして魔王へ突進する。

魔王は痛みで動けないようなので、今が最大のチャンスである。

俺は魔王の懐に入り込みむと、身を少し低くした事によって魔王との

身長差がなくなり、魔王の顔にこのままキスができるぐらいの所まで

近づき足を止まるが、思ず距離まで近づきすぎてお互い固まってしまった。


 目の前には、近くで見るとこうやって見るとかわいいな。

何でこの娘が魔王をやっているかと思うぐらい。

目は大きく、まつ毛もカールしてこれが女の子らしくてかわいらしい。

ただ、紅の瞳はかわいいだけなく、力強さを感じる。

ワインレッドの髪が魔族らしさを出しているが、髪はさらっとした長い髪だな。

あと、実は少し胸が当たったけど、それだけ胸も大きい。

なので、思わず心のなかで(やった!)と叫んでしまった。


「博司様、スキルですよ、スキル!」


邪な事を考えたらルアナさんが横で叫ぶが、その声で半ばパニックになり

そのまま魔王の身体のどこかに触れて、スキルを発動させればいいのに

魔王との間合いを取ろうと一歩下がると、魔王も同じ様に一歩下がり

手が届かない間合いができてしまった。


 しまったと思ったが、スキルが無理でも聖剣で1撃でもと思い

一歩踏み出して聖剣を強引に振るが、狙いを定めてないので聖剣は

一度空を切るが、そこからまた強引に振り上げると聖剣は偶然に

魔王の角を切り落としたのであった。


「何してるのですが!」


横でルアナさんが怒鳴るが、カウントダウンも終わりハイダッシュの魔法も切れた。


 魔王の方は角を切り落とされさたものの、すぐに元に戻る。

斬りとおされた角は闘技場の地面に転がるが、思わず俺はそれを拾ってしまった。

すると、魔王の顔が赤くなったが、もしかして怒らせたのか。

角は多分魔王のシンボルであるから、そのシンボルが切り落とされて敵に拾われたら

屈辱になるって事なのか!?


 知らないとはいえ、余計な事をしてしまったようだ。

俺はまずいと思って、ハイダッシュを自分とルアナさんに再びかけて

急いで魔王から離れたのであった。


「まったく、何してるですが!」


皆の元に戻ると、またルアナさんに怒鳴れるが最大のチャンスだったのに

それを逃せば言い訳はできない。

いや、それどころか勝てるチャンスがなくなった可能性すらある。

今まではなんだかんだで運で勝ってきたけど、魔王には最接近できたから

今回も運自体があったが、最後の詰めが甘かった。

魔王への接近はもっと苦労すると思ったが、意外にも戦いが始まって

早々に接近で来たが、次は魔王もさらに警戒してしまうだろうな。


「ルアナ、博司を責めても仕方がないわ。だって、博司だもの」

「そうです、博司様なんですよ。運だけしかないんですから、いざとなった時に

うまくいわけがないのです」

「ミ、ミスは……しかたがないです……」

「わたくしはドジな割に、Sなも主人様としてわるくはありませんわ」

「博司、気にしないでいいです」


皆から言われがが、フォローもあるだけましかな。

ただ、1人だけ相変わらず全く違う反応をしてるけど、ここまで来ても

全くぶれないのはちょっと感心する。


 しかし、どんなにフォローされても、魔王を怒らせてしまったらしい。

その事を皆に話すと、拾った角が怒らせた原因ならば返した方が良いのでは

と言う事になったが、戦いの最中に返すのもどうかと思し

こんな状況で返す事は出来きないから、戦いに勝った後にしようとなった。

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