第31話 砦へ

風呂に入った後、カウンターに寄って女将さんに話が出来るか聞いてみると

一段落したので、少し話せるとの事なのでトイレについて聞いてみた。


「トイレは魔王様が造ったよ。道具を使って水を汲み上げる方法はあるらしが、

わたしにゃあわからんよ」

「そうですよね」

「水を流した後は地面の下に埋めた管に長居して、街の外に施設でスライムが綺麗にしから川に流すときいちゃいるよ」


水を汲み上げる方法はわからないが、下水の処理はスライムがやっている

というのは想像通り。

汲み上げ方法は仕組みがわからないが、ポンプがあるって事なのか。

残った勇者がどんな人かわからないが、ポンプを造れる技術しゃなのか。

俺もポンプの仕組みはわからないが、この世界の技術でないと思う。

魔法を使っているかもしれないが、そんな魔法があるかわからないし

あればきっと既に使っているだろうから、無いと見てもいいとは思う。


「あと、魔王……様はどんな方なんです?」


魔王と言いそうになったが、念のため様も付けておく。


「現在の魔王様は先代の魔王の娘さんが後を継いだそうだよ。

噂じゃどうも魔王に向かないらしいんだよ」


女将さんは現在の魔王は先代魔王の娘で、性格的に魔王に向いていないと言う噂だそうだ。

そんな魔王が戦争を起こしたと言う事は、きっと周りにけしかけられたんくじゃないかと女将さんは言う。

ただ、魔王の娘と言う事は、今時の美少女魔王の可能性がでてきたぞ。


「そうなんですね。あの…こんな事聞いてもいいかわかりませんが、俺たちが

魔王様と戦う事をどう思っています?」

「はっきり言うと、どんな形であれは約戦は終わって欲しいよ。

以前はこの街も活気があったが、大体が兵に取られてね。

しかも、多くの者が死んじまってね、すっかり街も寂しくなったよ」

「す、すみません…」


俺が思わず謝るが


「あんたのせいじゃないよ。こっちが戦をしたから、あんたたちが来たんだからね。

あたしゃ800年生きてるが、これで3回目の戦だよ。

1回は人間側が起こしたが、後の2回はこちらからからだからね。

戦の理由はもっと領地を広げるためらしいけど、わたしゃ今のままで十分と思うけど

魔王様が言う以上、逆らえないよ」


と女将さんから意外な答えが返って来た。


「女将さんは魔王様が嫌いなのですか?」

「魔王様は政治面は悪くないよ、トイレをつくったり街道を再整備したり

人間と貿易をして、この街も賑わってたからね。

でも、戦は別だよ。攻められたら仕方がないが、攻めるのは賛成できないよ。

前回も負けけど、勇者がここまで来たって事は今回も負けだよ」


女将さんは魔王批判をするが、大丈夫か心配したが大丈夫だとか。

以前は取締りをしてた事はしていたが、役人も戦争をしたくないのか

本音で破壊行為をしない限りは、取り締まる恰好だけで罪にはなからなかったそうだ。

さらに撤退後は取締り自体が行われなくなり、みんな批判をしているそうだ。


「そろそろ食事の準備ができるから、食堂に来ておくれ」

「忙しい所、すみませんでした」

「別にいいよ。魔族は人間が思っているほど、人間を嫌ってないよ。

下級魔族と比べたら良く思ってない数は多いが、それでも半分もいないよ」

「そうなんですね。それでは、皆を呼んできます」


2階に戻り、食事の時間になった事を皆に伝えるが今日は早く寝たいので

皆が来る前に先に食事をいただいて、部屋に戻りベッドに横になった。


 初めて魔王軍と戦ったが、見た目は人間に近いが人間ではないので

相手を斬った事に対して、やっぱり何も思わない。

これが良いのか悪いのかわからないが、戦いはこんなものと割り切る。

考えてみれば気が弱い果歩ですら、魔王軍相手に容赦ない。

果歩の方が戦うのを嫌う感じだけど、もしかして勇者召喚に選ばれた時点で

自分では気づいてないが、好戦的と言う事なんだろうか。

それとも、戦いに耐えら精神をもっているのからなのか。

考えてみたら勇者召喚は何を基準しているのか気になるが、考えても

答えは出ないし、既に魔王のいる所まで半分の地点まで来ている。


 パスの街は順調にいけば2日で魔王のいる場所につくが、今ある情報だと

魔都と言われる場所に着いたら、魔王軍や四天王みたいな相手と戦わず

魔王と直接戦う事になる訳だが、それまでLVアップもしないといけない。

1日で一気にLVアップしたが、LV500になるには今日と同じぐらい戦わないならない。

この先、モンスターも強くはなると言う話ではあるが、LV500にならないと

魔王へスキルが使えないが、確実に効果をなすにはもっと上げないといけない。

そうなると、この宿を拠点に出来きれば街の周辺でレベルを上げおきたい。

ただ、今日は疲れているので、また明日に皆と女将さんに相談しよう。

この日は気づいたら眠りについて眠りについていて、気づいたら朝になっていた。


 翌日、まずはこの宿を数日拠点として滞在できないが聞いてみたが

ひとまず問題は無いと言う事であった。

ただ、あまり長く居るのは周りの目もあるので、居られるのは3,4日程度。

女将さんの話では、この辺りのモンスターは結構強いようなので

多分、2,3日ほどでLVを100は上げれそうである。

あと、女将さんは峠から逃げた兵が砦に籠った事も教えてくれた。


「今朝、街から食料などを砦に運んで行ったそうだよ」

「そうなんですか?」

「ただ、量は少なかったたようだから、籠っているのは大した数じゃないのかね」


女将さんが仕入れた情報では一般の魔族が使う小型の荷車1台分の

食料と物資を徴収して、運んで行ったそうだ。

小型の荷車1台分は俺たち12人が泊まって2日ほどで使い切る量なので

籠っているのは数人ではないかとの事。


「峠の駐屯地の司令が死んだって話を聞いてないんだよ。もしかしたら、砦に

籠ったと言うのはその司令と部下数名じゃないかね」


女将さんが言うには、駐屯地の司令はそれなりの身分なので

死んだり、行方不明になったら何らかの話が出るが、そいうはなしはない。

助かった兵たちが街を通って行ったのは、女将さんや街の人も目撃している。

また、この街の出身の兵は、救護という名目で家に帰ったそうだが

数人が「司令は砦に籠って勇者を戦うと言ってった」っと証言したそうだ。

また、実際に街の中で司令と部下を見た街の人もいるが

司令は街の人が見れも見分けられるそうなので、間違える事はないそうだ。


「わかりました、ありがとうございます。皆と話し合いたいので食堂を借りても良いですか?」

「ああ、かまわないよ」

「ありがとうございます」


2階に戻って事情を説明すると、皆が食堂に集まった。

女将さんに教えてもらった情報を話し、どうするかを決めたが

話し合いが意外とあっさりで、砦で戦う事になった。


「人数は少ないなら、そこまで苦労しないでしょ」

「本当に少なければだけどね。もしかしたら、砦に物資が残てるがあえて街から

運んで兵が少ないように見せかけるための作戦かもしれない」

「でも…から撤退する時に…物資を残すと思わないです…」

「確かに果歩殿の言う通りです。急な撤退なら別ですが、計画的な撤退なので

わざわざ物資を残していくとは思いません」


確かに、メイさんの言う通りで、急な撤退ではなく計画的な撤退なのでから

わざわざ物資を残して、俺たちに使ってくださいとはならないか。

そうなると、本当に数人で籠っているのかもしれない。


「しかし、正確な人数を知らずに砦に行くのもどうかな」

「砦は街と街の中間あたりでしたよね?」

「お父さんのはなしでは、この辺りになります」


ファイエットさんが指さした場所はちょうど隘路になっている場所で

砦を作るには良い場所であった。

さらに、偵察を行うにも難しそうな場所でもあった。


「ここだと偵察も難しそうだな」

「多分、山の上に登るのは無理でしょう」


周りは高い岩山で、普通に上るのは無理そうである。

装備がありロッククライミングが出来る人なら可能かもしれないが

俺はもちろん、マチルダさんも果歩も無理だろう。

飛行魔法は使えるだけで伝説になるぐらだとグレイが言っているので

空を飛ぶ事も不可能。


「こうなったら、行って確かめるしかないかな」

「結局、砦へ行くって事でしょ?」

「はっきり言えばそうだけど、他に方法がないし、数に関係なく砦を突破すために

戦うはずだったから、多くても少なくてもする事は同じだと思う」

「確かにそうね」

「あれこれ考えるより、直接行った方が速いと思います」


ドゥニーズさんの言う通り、ここれ想像だけで話し合おうよりも

砦に直接言った方がいいとは思うし、戦う前提であったからこの際敵の数も関係ない。


「それでは、すぐに行きましょう。俺のレベルもあげないといけないが

司令を倒せば一気に上がると思うので、効率もいいはず」

「魔王に博司のスキルを使うためには500が最低条件だったわね。

街の周りでモンスターをちまちま倒すより、強い相手を倒して一気に行きましょ」

「そうですね…」

「それじゃ、砦に行こ事にしよう」

「意気込むのはいいけど、腹が減っては戦えないよ」


話しを聞いていた女将さんは食事を運んできてくれたが、いい匂いがしてたので

料理をしてる事はわかっていた。

腹が減ってたら、身体も頭も回らないから出された料理はしっかりと食べる。

女将さんにお礼を言うが、砦の戦いが今日だけで終わるかわからないが

終わったとしても、一度戻るって補給をしてから先に進む事にした。


「それじゃ、気を付けて行ってきたな」

「わかりました。ちゃんと戻ってきますよ。では、行ってきます」


女将さんに見送られ、俺たちは砦に向かったのであった。

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