第27‐2話 峠の戦い その2

 爆発による煙が見え、爆発音が山に響いたがさすがの勇者たちも

この爆発ではただでは済まないだろう。

試作した虫型のま爆弾であるが、ここまで威力があるとは。

虫ならば人間は油断するというので、この武器は有効に使える。


「これはやったな…生き残りを始末するぞ、進め!」


その声を合図に、進軍を始めた。


――――――――


 爆発による煙と埃によって視界が悪いが、グレイが風の魔法を使って吹き飛ばす。

視界が開けると、ファイエットさんが魔王軍の車を見つけると、果歩がスキルの準備をする。

ただ、向こうも急に視界が晴れたので、車を止める。

指揮官はドローンを使うだけあって、むやみやたらに突っ込んでこない。

さらに果歩のスキル事はわかっていると思うので、警戒をするだろう。

お互い睨み合いが続くが、ここはどちらが先に動くのか駆け引きとなる。


「なかなか動かないのです」

「下で被害を出てるのを見てるから、警戒してると思う」

「ドローンみたいのを使ってくるぐらいだらか、最初の指揮官よりは賢いと思うわ」

「動かないので…スキルの発動は中断します…」


動きがないので、果歩はスキルの発動を中断した。

その代わり、グレイがまた土の魔法で土を盛って再び土塁を設置する。

こうしておけば、車が突っ込んでくる事はないだろう。

ただ、早く決着をつけたいところではある。


「こっちから行くのは不利よね」

「流石に、相手の数が多すぎるうえに、峠道なのでほかに道がないからな…」


峠の一本道なので、他に道がないので魔王軍の背後を突く事は出来ないが

背後を突くにも戦力がない。

さらに、地形は相手側の方が熟知しているだろうし、もしかしたら俺たちの

知らない通れる場所を知っている可能性もあり、警戒した方がいいか。


「何か打開策はないなか?」

「グレイにマチルダさんのスキルをかけて、魔法を放つ方のはどうなのです?」


グレイが提案するが


「間も使えるけど、身体の負担が大きすぎて、しばらく動けなくなるから出来ないわ」

「そうなのですか…」


マチルダさんが謝るが、これは仕方がない。

そうなると、あちら側から動いてくれないと困る。


「それならば、博司様の聖剣の力を使うのですよ」

「聖剣なんてもってないぞ」

「え?」

「え?」


グレイが呆れた顔をするが、もしかして…俺が使っている剣って聖剣なのか?

グレイに聞いてみると


「博司様、何寝ぼけているのです?国王陛下が最初に説明したはずです…」

「そういば、授かった時に何か説明してた気がするが…緊張と教えられた

受け答えを忘れないよう考えてて、聞いてなかった…」


グレイは呆れてため息をつくが、仕方がない。


「聖剣だから、魔族を一撃で倒せるのです」

「でも、モンスターは一撃で倒せなかったぞ」

「それは博司様の魔力レベルが低くいのと、使いこなせていなかったのです。

LVが上がって、モンスターも兵士も一撃で倒せていたのです」

「た、確かに…」


兵士を一撃で倒せたのは聖剣だったからか…。

聖剣を授けられたって事は、真の勇者って事じゃないか、なにこれかっこいい

ってこんな事言ってる場合じゃない。

グレイの言い方だと、聖剣で何かできるみたいだな。


「聖剣で何かできるのか?」

「突っ込んで振り回せばいいのです」

「それって、単なる自棄になった攻撃みたいなものじゃ」

「それだったら最初から提案しないのです。聖剣は使用者の意思に答えるのです。

博司様が敵をなぎ倒したいと思えば、聖剣がそれに答えてくれるのです」

「そうなのか」


それってつまり俺TUEEEや無双が出来るって事か。

なんか、今時の主人公みたいじゃないか。


「よし、それを使って無双するぞ」

「がんばってくださいのです。骨は拾います」

「まて、それって俺が死ぬって事だろ」

「冗談なのです。ただ、流石にむやみやたらに突っ込んで死ぬだけなのです」


グレイはさらに説明するが、聖剣は使用者の意思に答えてとてつもない攻撃力と

その場に会った形状に変化するが持続時間は短いらしい。

具体的な時間はわからないが、聖剣の柄に時間がでるらしいが俺たちならば理解できるらしい。


「どれぐらい持続するか試せればいいんだけどな」

「どれぐらい使えるか念じれば、使える時間がでるらしいのです」

「それじゃ、やってみるか」


無双できる時間がどれぐらいか念じてみたら、柄に00:05:00っと

表示されたがこれは5分って事だと思うが、相手の数を考えたら短いな。


「5分じゃ短いな…」

「五分と言われてもわからないのですが、短いということはなんとなくわかるのです」


時計が一般的でないので、5分と言ってもわからないらしい。

ただ、この世界にも時計はない事はないが、教会など時間を知らせる所だけで

使っているらしい。

教会が8時、12時、16時、20時の1日4回鐘を鳴らしていた。

また、ジュルダンさんの街では8時~20時まで2時間おきに鐘を鳴らしてたから

魔王領にも時計があるようだ。

ただ、そのおかげで日の高さで大体の時間がわかるようになったが、

これも親父から太陽の高さで時間をわかるようにするようにって言われた。

こんな事言う親父は自衛官か何かだと思かもしれないが、普通の会社員。

だから、俺もどこでそんなの使うんだって思っていたが、まさか異世界で

使うは思わなかったがかなり役に立っている。


「せめて、指揮官だけでも仕留めればいいかもしれないな」

「どの車にいるかわからないでしょ」

「多分、後ろの車にいる思うから、前の車を果歩のスキルで流せばいいかも」

「それしかななさそうね」


結局は果歩のスキルで、前の車を流す事になったが車が全部で何台あるか

だけでも確かめないといけない。

ファイエットさんの見える範囲だと、5台ほどであるがカーブになって先が見えない。


「アオにまた頼むしかないか…」

「でも、鳥が飛んでない所で鳥が飛んでたら怪しむわ」

「しかし、他にやりようがないしな…。ふと思ったが、さっきのドローンに

スキルって効果あるのかな?」


あのドローンの仕組みはわからないが、俺の所は通り過ぎて人数が多い所で

自爆攻撃をしよとしたので、AIというか魔法である程度自立しているみたいだな。

自立していれば、俺のスキルが効くかもしれない。


「聞かれても困るわ、試すしかないわね」

「それじゃ、わざとまた使われた困るって敵を煽ってみようか」

「ドローン使うような指揮官が、そんな間抜けじゃなはずわがないわ。

それに、遠いから声がとどくかわからないわよ」

「まぁ、ドローンを使わなくて、煽って向こうから来てもらうのは悪くないはず」

「博司の好きにしなさい」


マチルダさんは半ば呆れてるが、やってみるだけやってみるか。


「さっきの攻撃が偶然気づいたからいいけど、また来たら困るな。

あんな恐ろしい武器があったら、俺たちは勝てないな」


明らかに棒読みであるが、わざと大声で言ってみた。

ま、こんな事ではいそうですかっでドローンを使う事なんてない…と思ったら

何かが飛んでくるのが見えけど…効果あったの?

いや、そんなすぐに飛んでくる訳がないから、相手がしびれを切らして

使っただけか。

どうあれ、いいタイミングで飛んで来たからチャンスだ。


「本当に飛んで来たわね…」

「いくら何でも早すぎるから、向こうがしびれをきらしただけかな。

でも、向こうから使ってくれたならばチャンス」


今はみんな集まっているので、近くに留まるはずでとにらんだが

思った通り、ドローンは俺の手の届く位置にとどまる。

爆発までは少し間があるので、素早くつかんでスキルを発動させると...緑になったので成功だ。


「よし、効果があった。命令は…俺たちの被害が出ない位置で魔族軍を爆発してくれ。

ファイエットさんこっちにきて隠れて。ドゥニーズさん、防壁を頼みます」

「はい」

「わかりました」


俺がそう言うと、ドローン魔王軍の方へ飛んで行ったが、魔王軍は

戻って来てのを見て大慌てになり、兵が車を降りて逃げ出す。

しかし、狭い道なので逆に押し合いへし合いとなって、身動きが取れなくなる。

ドローンは一番兵が集まる所を探知すると、そこで爆発が起きた。


 爆発は結構威力が大きくて、斜面や道が崩れないかと心配になるぐらい。

最初に爆発した場所はえぐれて穴ができてるぐらいだが、

貿易梨の爆破の威力は思った以上に凄い事はわかったが

ドゥニーズさんの防壁が無かったら…全員やれてたかもしれない。

よかった、不完全ながらも防壁を展開する事ができて。


 俺たちに被害が出ないようにと言ったが、全くない訳もなく

爆風と共に石や破片、装備、などが飛んできが防壁で防がれた。


「防壁が無かったら…こんなにやばかったのか」

「本当、博司が気づかなかったら…ゾッとするわ」

「不完全したが、防壁が間に合ってよかったです」


なんか思ったより恐ろしい武器であったが、王国侵攻時に使われなくて良かった。

俺たちが居ないと、ドローンなんてわからなかっただろうし、場合によっては

俺たちが来る前に王国が陥落していたかもしれないが、その時は俺たちが

異世界に来て戦う事になってないが…なんか複雑。

いや、俺はこの世界に来た事は後悔してない。

グレイたちはもちろん、果歩とマチルダさんにも会う事ができたんだな。

そして、王国にトイレを普及させ!

そのために魔王を倒すぞ!

俺にとって、魔王よりトレイが優先事項だ!

ただ、今は目の前の敵を倒さないといけないが。


 俺は心の中で叫ぶが、煙と埃で視界がまったくない。

また、グレイに頼んで煙と埃を風の魔法で飛ばしてもらうが…かなり酷い有様だった。

あの爆発だと、魔族も耐えきれないなかったよで、火薬などによる爆発ではないと

思うので爆発の魔法なんだろう。


爆心地はカーブの先であると思うが、ほとんどの車は吹き飛ばれている。

車は金属加工技術がないと言うので、木製であると思うがほとんど残骸が残っていない。

一部息のある兵士もいるが…うめき声が聞こえるが、すぐにしなくなった。

ファンタジー世界だと、剣と魔法の戦いなのであまり正直、現実味がないが

逆に現在兵器と同じ様な物だと、実感が強くなるり恐怖感が増す。

しかし、グレイたちは知識が無いためなのか、逆に実感がなく

爆発自体には驚いたが、むしろ威力に関心していたのであった。


「敵はまだ混乱している、今が好機!」


オーガストさんがそう言うと、こちらから打って出るが果歩とイゾルダさん、グレイは残る。

魔王軍は自分達の兵器で被害が出たので、大混乱どころか戦意喪失と言ってもいいぐらいだった。

ただ、俺たちが来た事に気づくと、迎撃をしてきたがあの爆発の威力では無傷の兵は

ほとんどおらず、俺でもあっさり倒せるぐらいだった。

しかし、いくつかカーブを曲がると…無傷の車が5台もあり、指揮官も無事であった。


「し、しまった、無傷の兵がまだいたか。全員、反転!」


オーガストさんは、一瞬慌てるがすぐさま反転する。

それを見て魔王軍の指揮官も


「向こうから来てたぞ、こちらからもかかれ!」


っと兵たちが車を降りてくるが、ドゥニーズさん素早く結界を張り足止めをした。


「ドゥニーズ殿、すまない」

「いいのですよ。ただ、この結界ではあまり長く足止めできませんが」

「土塁の所まで戻れる時間を稼げば十分だ」


急いで、土塁の所まで引きが返すが、上り坂なので息が切れる。

息が斬れる俺をみて、ドゥニーズさんが結界を張っておく。


「す、すみません」

「いいのですよ、さ、急ぎましょう」


出来る限り早く、坂を登って土塁の陰に隠れるが、魔王軍は追いつていない。


「はぁはぁ、ま、まだ、無傷の兵が150もいた…」

「爆発に巻き込まれた兵は片付けたけど…150は辛いわね」

「たが、これを倒せば駐屯地の戦力はほとんど倒した事になりそうだ」


ちゃんと、敵の数を数えてないが、確かめた数は390。

流されたり、爆発に巻き込まれた数は不明だが、300ぐらいじゃないのかな。

そうなると、7割ぐらいは減らせた事になるので、駐屯地を超えるのは楽になるかもしれない。

とはいえ、まずは目の前の敵を倒すしかないがそろそろ日が暮れる頃になるから早く決着をつけないといけない。

夜になったら、こちらの方が不利になるだろうからな…。

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