第19‐2話下級魔族の街 その2

 俺値は街の門をくぐると…アオが言って他通り街の魔族たちが集まっていて

『ようこそ勇者御一行様』

と横断幕がかがれられ出迎えられる。


この光景に全員あっけにとられるが、アオの言ってた事は本当だった。

俺たちがあっけにとられるてると、いかにも身なりがしっかりした市長…でいいのかな、

とにかく街の代表らしき魔族がこちらに近づいて来た。


「驚かせしてしまいましたが、我々は人間側なのでよろしくお願いします」


先頭にいた俺に右手を差し出してきたが、流石に警戒して握手はしない。

司令から下級魔族は人間側だと聞いてはいるが、敵のホームという事もあってそのまま信用する訳にもいかない。


「確かに、いきなり信用はできませんよね」

「ええ、敵に本拠地の街ですし、罠かもしれませんし」

「確かにそうですね。しかし、我々が戦っても皆様に勝つ事はできまん。

それどころか、あっという間に皆倒されてしまいます」


アオは人間と同等かそれ以下と言ってたが、本当だろうか。

ただ、弱くても毒を盛るなりなんなりして、倒す方法はいくらでもあるしな。


「そうだとしても、食べ物や飲み物に毒を盛るなどできますし。

もっというならば、魔王領の水や食べ物自体、人間が口にしても平気なんですか?」

「おっしゃることはわかります。毒を盛れば私たちでも皆様を倒す事が出来ます。

あるいは寝込みを襲えばいいのです。ただ、何度も言いますが、私達は人間側なのです。

この街は人間との貿易により発展しましたし、魔王軍に入隊出来ない私達下級魔族は役立たずと罵られてました。

水や食べ物は人間の商人達が大勢いらっしゃり、口にしていますので問題ありません。

どうか、信用してください。そうすれば、魔王城までの道案内や情報を提供いたしますので。」


 うーん、どこまで信じていいのかわからないので、返事はひとまず保留する。


「すみません、それだけでは信用が出来ませんので、返事は保留させていただきます」

「そうですよね、わかりました。ただ、宿などを用意していますので、お休みなってくださいませ」

「流石に俺一人で決める訳にはいかないので、相談をさせてください」

「わかりました。お返事を聞くため私はここに残りますが、他の方々は解散となります」


市長は集まった魔族たちを解散させた。

俺は市長の話が信用できるか、皆と話し合う。


「今の話どう思う?」

「難しいわね。一つ言えることは戦う気はないみたいだわ」

「俺もそう思います。もし戦う気でいるのならば、話して油断してる所を襲うはずですし、

数は向こうの方が圧倒的に多い上、逃げ場がない街中なので包囲すればいいだけです」


確かに、ここは相手のホームな訳だから、街の構造は熟知している。

包囲して門を閉じればいくら弱いとはいえ、街の規模から数は圧倒的に多いだろうし

いくら俺達が強くても、街の人全員相手したら勝てないだろうし。


「それじゃ、話を信じてもいいかな?」

「戦う意思がない事は信じても良いと思いますが…毒をつかわないとは限りませんので…」


確かに、戦わないけど謀略をしないって訳じゃないしな。

毒殺をしなくても、戦えない状態にして魔王に突き出す事も出来る訳だ。

ただ、話しを聞いていると、下級魔族は虐げられているみたいだな。

それに、あの横断幕も普通だったら不自然過ぎて逆に疑われる気もする。

もしかしたら、本当に協力してくれるのかな?

ただ、そうだとしても、食べ物の問題はまだ解決しない。


「魔王領の食べ物って食べても大丈夫なのか?」

「それなら問題ないです。魔王領でも人間と同じ物を食べていますし、栽培しているとウィルダが言ってました。

水に関しても、道中に水が湧いている所あり、魔法で調べましたら無害でしたので、飲んで害はないです」


道中、ドゥニーズさん湧水がある所で、何かしてるなって思ったら害がないか調べてくれたらしい。

ただ、その場所だけでかもだったしれないので、その都度調べれないといけないかもしれない。


「作っている物が一緒でも、土壌に人間に害になるものがあったり、瘴気の影響で毒になったりしませんか?」

「ウィルダならわかるかもしれませんが、流石にそれはわたしにはわかりません。ただ、それらも魔法で調べられますので。

それに、ウィルダは魔王領で農業指導をしていますので」


流石ウィルダさん、魔王領でも農業指導をしてたんだな。

10年前までは貿易をしていたと言ってたが、ドゥニーズさんが言うには

貿易以外の交流も行われており、その一環でウィルダさんが魔王領の農業指導をしたそうだ。


「ウィルダの話では水も土に多少の質の違いがありますが、ほぼ王国と変わりないそうです。さらに魔王領で出来た物を王国で売ってましたので」


ウィルダさんが農業指導に行ったのは20歳から30歳まで定期的に訪れていたそうだ。

ウィルダさんが5年間土と水も分析してており、人間にも無害となったそうだ。

ただ、それから10年間空いてるのが不安ではあるが、瘴気の濃い奥地での分析結果なので大丈夫かもしれない。


「どうあれ、罠であってもなくても、情報を手に入れずに進むのは危険だから

話は聞いた方がいいし、協力者も居た方がいいと思う」

「そうね、司令から教えられた情報と照らし合わせて、情報の制度を上げたほうがいいわね」


同行者達にも意見を聞いたが、信じる派と懐疑派に分かれたが情報を聞くだけ聞くと言う事だけ一致した。

なので、市長に情報を聞いて信用するかどうかを決めると告げた。


「わかりました。では、わたくしの屋敷でお話しましょう。

従者の方達もご一緒で構いませんし、他の方々で屋敷を包囲しても構いません」

「わかりました」


俺達は市長の屋敷へ行くが、屋敷は警備の兵はいなかった。


「さ、入ってください。大丈夫、襲ったりしませんので」


勇者が先に入るのはもしもの事があったら困るので、同行の騎士の2人が屋敷に入り安全を確かめる。

中で出迎えたのは、奥さんとお子さんだけだった。


「応接室がありますので、こちらへどうぞ。ここからは勇者と従者の方のみでお願いします」


騎士2人はエントランスで待ってもらい、市長に応接室へ通された。


「この人数だと全員座れませんが、どうぞお座りください」


俺達勇者3人はソファーに座り、従者3人は後ろに立つ。


「まだ私達を信用されていないと思いますが、自己紹介をしていませんでしね。この街の長であるジュルダンです」

「勇者の博司です」

「果歩です」

「マチルダです」

「今回の勇者はお若いですね」


ジュルダンは先代の勇者も知っているそうで、俺達よりも年上だったらしい。

さらに、先代の勇者にも協力してたそうだが、どこまで本当なんだろうか。


「この話本当かな?」

「記録には…最初の魔族の街で魔族の協力者が居たとありました…」

「そうなると、本当かな?」

「記述があるなら信憑性はあるけど、名前があればね…」

「お名前は見直さないとわからないす…」

「果歩、先代の勇者3人の名前は憶えてる?」

「はい…」

「それじゃ、名前を聞けばいいかも」


ジュルダンに先代の勇者の名前を聞いてみた。


「ミナホ様、ジョン様、ミライ様ですね」

「果歩、合ってる?」

「お名前は会っています…。性別もお願いします」

「人間の性別で言うと、オンナ、オトコ、オトコです」

「合っています…」


最後のミライさんは女性か男性かわかりにくいが、男性と言ったのでこれは本当かな。


「先代の勇者の事は信じます」

「ありがとうございます」


最初よりは信用できるようになったが、まだ完全に信用はできない。

なので、もっと話を聞く。


「少しは信用しますが、まだ完全に仕様は出来ません。何か情報があればいいのですか。例えば、魔王軍の動向とか」


魔王領に入ってから、全く魔王軍と出会わなかったので、魔王軍の情報は欲しい。


「そうですね。私が知っている範囲でお話します」


魔王軍はマチルダさんに押し返されて撤退したが、戦力の80%を喪失したそうだ。

豆乳したのは全軍の3分の2をで、これも捕虜から聞いた情報と同じ。


「つまり、ほとんどの戦力を失ったという事ですか?」

「ええ、撤退していた司令はそうおっしゃっておりました」

「俺達が聞いている情報と同じですね」


この情報は一致したので、この情報は信憑性が高い。


「境界からこの街までモンスターは襲ってきたが、魔王軍が居ませんでしたよ」

「残りの戦力は隘路であるバルの谷に集中させているとは聞いています。砦づくりに街の者も出すようにと言われたので、これは間違いありません」


ジュルダンさんはベルを鳴らすと、娘さんが来て執務室より書類を持ってくるようにと言って、娘さんは出て行った。


「砦が築かれたのはどれぐらい前からです?」

「撤退後なので、本当に最近ですね」

「と言う事は、まだ未完成ということですね」

「聞いた話では、まだまだ基礎の部分だそうです」

「そうなんですね」


つまり、行くなら早い方が良いって事か。


「砦までどれぐらいかかります?」

「通常ならば、徒歩で半日ほどですかね」

「馬車はあります?」

「馬ではありませんが車があります。車なら昼前には着きます」


そんなに早いなら確かめに行ってもいいかな。

ただ、これも俺の一存だけで決めれないしな。


「皆はどう思う?」

「そうね、攻めるなら早い方がいいわ。でも、その情報の信憑性がどれぐらいかわからないわ」

「建設中なら…地形によっては大水で流す事も出来ます…」


谷というので、果歩のスキルで大水を流せば楽にできるだろう。

ただ、労働者まで流す訳にはいかないだろうな。


「もし、大水で流すならせめて一般の労働者は避難させないといけないな」

「そうね、兵士以外は避難さえないといけないわね」

「でも…どうやって、伝えればよいのでしょうか…」


俺達が悩むが、グレイが後ろから


「なんか、攻める気になっていますが、その砦の話も本当かわかりませんよ」


っと言ってきたが、確かにそうだ。


「そうだな、砦の建設も本当か確かめないと」


そういうと、ドアがノックすると音がしたが、娘さんが書類を持って来たのであった。


「これが砦建設のための徴用の書類です」


持って来た書類をみせてもらったが、これが本物かは俺達にはわからない。

ただ、砦建設の為、住民を徴用するものであった。


「書類をみてもわかりません」

「確かにそうでした。ならば、現地に行けばよいのです、私がご案内します」


現地へ確認に行くのが一番であるが、罠の可能性もある。

ただ、ここまでの様子から、信用してもいい様には感じる。

なので、砦の建設がされているかどうかは見に行ってもよさそうだな。


「実際に行ってみる?」

「罠だとしても、その時はその時だわ」

「罠だったら…その場で流します…」

「3人はどうする?」

「博司様達が行くなら、ついて行くのです」

「俺もお供します」

「もちろんいくわ。でも、捕まった時、どんな拷問があるか楽しみですわ」


また最後だけあれだけど、皆行くとなったら現地へ行くか。


「それならば、車を準備しますので、明日にでも出発してください。宿はご用意してあります」

「わかりました」


何となく流れで承諾したが…良かったのかな?

どうあれ、現地を確認しておいた方がよいかな。


「では、お話は以上です。皆さんを宿までお送りしますので外でお待ちください」

「わかりました」


話しが終わり、屋敷の外に出る。

結局、その場の流れで偵察をする事になったが良かったのだろうが。

それとマチルダさんに


「なんか、いつの間にか博司が代表になってるけどいいの?」


と言われたが、俺もそのつもりはなかったが先頭にいた為、自然とそうなっていたのであった。


「あと、なんか信用した事になったけど、いいのかな」

「戦ったらこちらの方が強いんだら、騙したらその時はその時よ」


確かに、マチルダさんの言うとおりかな。

あれこれ考えても仕方なく、騙されたら騙されたで対処すればいいだけか。



 屋敷の外で待っていると馬車と言ってもいいのかわからないが、モンスターが引っ張る車が来たのが確かにこれは馬車じゃないな。

ただ、モンスターが牽くだけで、馬車と同じなので気にせず乗り込む。

宿は全員が宿泊できる大きさだとか。

部屋は全部で個室であるが、勇者と従者は近くの部屋にして欲しいと頼んだ。

部屋が近いと一度に襲撃されてしまうが、無事に宿に着いた時点でそれはないと思う。


「では、ごゆっくりしてください。食事や水は人間も害がないのでご安心を」


ジュルダンさんは会釈して、屋敷に戻っていたが水や食べ物はまだ安心できないな。

でも、食料や水は運べる量がかぎられてるので、やはり現地調達しないとならない。

ドゥニーズさんやジュルダンさんは大丈夫って言ってるはいるけど。


「やっぱり、水や食べ物を口にするのは不安だな」


俺がつぶやくが、ひとまず宿に入る。



 宿に入ると、それぞれの部屋にとされるが結構立派な部屋だ。

で、宿となればもちろん、トイレチェック。

部屋の中を見ると、おまるやそれらしい甕はないが、このパターンはパピーの温泉宿以来。

もしかしたら、これって…。


 俺は部屋の中を見ると、部屋の中に扉がある事に気づく。

現在の宿ならば扉を開けると洗面台かトイレとなる訳だかが、もしかしてこれは…。

俺はノブに手をかけて息を飲み、扉を開けると…そこのにはトイレがあったが

なんと、魔王領はトイレがあったのだ!

形状は洋式便器で、しかも白い陶器でどう見ても現在のトイレである。

蓋と便座は木でできてるが、これは俺の作ったトイレ同じなので気にしない。

流石に水洗ではないが、おがくずが敷き詰められている訳でもない。

多分、お客が居なくて長い事使ってなかっただけとは思うが、排泄物の処理はどうしてるのだろう。

覗いてみて、暗くて見えないが俺はライトの魔法は使えないので諦める。


 トイレがあると言う事は、トイレットペーパーがあるって事だけど

確かにあるが、これに関しては俺がパピーで作った紙と大差ないかな。

どうやら、魔王領でもトイレットペーパーを作る技術はないようだ。

しかし、魔王領にトイレがあるのに、人間の国ではトイレがないんだ!

貿易をしてたって事は、商人が使っていた訳だろ?

商人だったら、トレイを作って一儲けって考えないのか?

魔王領にいつトイレが出来たが知らないが、10年前まで貿易をしてたから

存在を知らないはずもないのに、本当にわからない。


 俺は何故かふつふつと怒りが混み上がってきたが、本当にトイレがないのはどうなんだって思ったが

日本にトイレがあった時代に、ヨーロッパではトイレがなかったか…。

そう考えるとおかしなことではないのか。

いかんいかん、思わず怒りがこみ上げたが、おかしなことではなかった。

しかし、何で魔王領にちゃんとトイレがあるのは疑問ではあるけど。

あと、処理方法が気になるから後で宿の人に聞いてみる事にした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る