第15話 従者たち

 博司たち勇者3人が集まっている頃、3人の従者達も同じ小屋に集まっていた。


「博司様のグレイ14歳です、よろしくお願いなのです」

「オレはルアナ18歳、よろしくな」

「わたくしはイゾルダ17歳ですよろしくですわ」

「いや、そんなボケはいらないぞ、イゾルダ25歳」

「もう、ルアナさんたらそんなに責めてないでくださいな」


イゾルダがルアナに突っ込まれると、身体をクネクネとするがいわゆるMである。

ただ、それを見て、グレイは思いきり引いたのであった。


「ほら、グレイが引いてるだろ」

「す、すみません、ちょっとでもツッコまれると、興奮してしまいます。特に女性にツッコまれると興奮しますわ」

「だからやめろって」

「…このひと燃やしてもいいですか?」


イゾルダを見てグレイが指先に炎をだす。

この「燃やす」はグレイが怒った時や不快な相手に言う言葉である。


「グレイも落ち着こうな」

「でも、氷と炎、どちらか上か勝負はしたいですわ」

「グレイも氷の魔法も得意なのです」


そう言ってグレイは炎を出したまま、別の指先に氷を出す。


「ぐぬぬ、これだからエリートロリは嫌いなのです」

「誰がロリですか、本当に燃やしますよ」

「14歳で体型がロリは本当のことですわ。でも、やるなら表に出てやりますわよ?」

「望むどころですよ」

「いいから落ち着こうな2人とも、この剣を抜いたら問答無用で2人の首が飛ぶよ?」


ルアナが剣を抜きかけると、2人は大人くなった。


「そ、そうですね、勇者の従者同士、仲良くしないといけませんわね」

「そ、そうなのです、お互い仲良くしないといけないのです」


グレイとイゾルダは握手をするが、お互い力を入れていたが力はグレイの方が上だった。


「ロリの癖に、力が強いですわね。わたくしはロリも好きですが、グレイさんは好きではありません」

「グレイが強いんじゃなく、あなたが弱いのです。あと、色ボケ小姑は黙ってて欲しいのです」

「わたくしはまだ25で、結婚もしてないので小姑でもないですわ」

「そうでしたね。でも、同性同士の結婚は認められてませんので」

「ただ、同性愛は禁止ではありませんわ。結婚は認められなくても、届け出をすれば配偶者と同じになりますわ」


会話の内容通り、イゾルダは同性愛者である。

王国では同性愛は禁止ではないが、はっきりと認められている訳でもない。

ただ、周辺の国では同性愛はもちろん禁止で、場合によっては死刑になるぐらい厳し。

なので、王国がかなり珍しい国であるものの、王国も同性愛禁止の動きはあるのでこの先どうなるかわからない。

あと、グレイの話し方が何時もの話し方ではなくなっていた。


「まったく、この二人は。イゾルダも11歳年下の女の子に何をしてるんだが」

「ルアナさん、これは学院を卒業した魔術師同士のメンツの問題なのですわ」

「そうです、王立魔法学院の卒業生にこのような方がいたら、権威がなくなってしまいます」

「これでもわたくしは主席卒業ですわ」

「グレイは史上最年少の首席卒業ですが」

「ぐぬぬ。ただ、首席卒業なのは変わりありませんわ」

「そうですね。ただ、私は職業はヒーラーですが火水土風4属性の魔法を使えまので。氷専門で1属性しかないどこぞの首席様とは違います」

「ぐぬぬ」


グレイは勝ち誇った顔をしたが、それを見てイゾルダが悔しがっていたのであった。



2人のやり取りを見て、ルアナが呆れていると扉を叩く音がした。


「ねえ、わたし達だけど今いいかな?あと、果歩と博司もいるわよ」

「マチルダ様ですね、どうぞお入りを」

「では、失礼するわ」

「失礼します」

「失礼します…」


勇者3人が小屋に入ると、グレイとイゾルダも睨み合いをやめる。


「皆さんは何のために来たのですが?」


ルアナが聞くと、到着時はいろいろ(マチルダが博司に説教)があって

それぞれの従者を紹介できなかったので、ちゃんと紹介たいためであった。

もちろん3人も了承した。


「では、俺からさせてもらう。俺の従者グレイ、よろしく」

「グレイなのです、ヒーラーですが4属性の魔法が使える魔術師でもあります、よろしくおねがいなのです」


グレイの何時もの話し方に戻っていた。


「あのロリ、さっきは本性出したのに…でも、腹黒Sロリも悪くないですわ」

「いいから、黙ってて…」


グレイの次はルアナが紹介される。


「わたしの従者ルアナよ、よろしく」

「オレはルアナ、18歳です。戦士です、よろしくお願いします」


ルアナは勇者の従者としては貴重な戦士である。

一人称は『オレ』だが性格は実は乙女であるが、戦士として弱さを出さないためにあえてオレと言っている。

身長も高く、171㎝の博司よりも少した高いが背が高い事も気にしている。


「次は…わたしの従者のイゾルダさんです…」

「どうも、イゾルダですわ。25歳でこの中では最年長ですわね」


イゾルダはこの中では最年長で、胸も最も大きい。

博司もそれを見ないようにしてるが、ついつい見てしまう。


「念のため行っておきますが、わたくしの恋愛対象女性ですわ」


イゾルダは博司に向ってそれをいうが、それを聞くと博司は


「ついに百合キャラがが来たか。同性愛は禁止ではないがあまり良く見られているらしいから、隠すものだと思ったら堂々と言えるぐらいなのか」


っとつぶやいて1人でうなづいてたが、イゾルダは頭に?がでていた。


「普通はこれを聞いて男性は引くのですが…まぁ、いいでしょう」


3人の従者の紹介が終わると、それぞれ話をする。

特に博司は初めての男性なので、イゾルダとルアナに色々聞かれるが、イゾルダは男嫌いであるものの

仕事上では割り切るので普通に接する。


「博司様のスキルは従属なのですね」

「そうです。ただ、直接触れるか、かなり近づけないと発動できないので、試しにグレイと猫に使ったぐらいです」


さっきの事のマチルダの事はあえて隠す。


「つまり、あんなお願いやこんな願いもできるのですね。わたくしは男性に興味はありませんが、試しにわたくしにつかってくださいな。もっとも、わたくしはそんな事しなくても女性なら従属しますわ」


博司は引くどこが、ガチな百合でそかもMと思い逆にやる気になる。


「では、試しますが、流石に触れるのは…」

「いえ、構いませんわ」


イゾルダはそう言って、博司の手を胸に触れさせる。

本当は男に触れて欲しくないが、これはいわばビジネスなんで割り切れるのがイゾルダ。


「では、発動します」


スキルを発動すると、緑の紋章が浮かび成功。


「紋章が緑って事は成功ですわね」

「わかるのですか?」

「わたくしは魔法学院の時、攻撃系スキル以外の勇者スキルの研究をしましたでわかりますわ」


ちらっとイゾルダはグレイのちらっと見ると、グレイが悔しそうにしてるのを見てニヤけた。


「グレイがどうかしましたか?」

「いえ、なんでもありませんわ。何かわたくしに命令を」

「それじゃ…」


博司は考えるが、さっきのマチルダの事があったので、当り障りのない事にした。


「では、グレイと仲良くしてください」

「ええ、わかりましたわ」


イゾルダはグレイの方へ向かうと、そのままグレイを抱きしめた。


「グレイはかわいいですわね。どう、わたくしのお胸は大きいでしょ?」


イゾルダの胸はFカップほどあるが、身長はそこまで高くないものの見た目はお姉さまタイプである。

博司的には好みかどうかわかれるが、百合キャラと聞いて違う意味で興味を持っている。


「く、くるしいのです、離すのですよ」

「もう、照れなくてももいいですわよ、グレイちゃん」

「博司様のスキルのせいとはいえ、ちゃんづけは気持ち悪いでよ」


博司はグレイが困っているので、離すようにと言うとグレイから離れた。


「もう少しロリ成分を味わっておきたかったですわ」

「だからロリというのはやめるのですよ」

「グレイも困って困るから、ロリというのはやめてください」

「そうですわね。でも、わたくしにはもっと命令してくださいな」


イゾルダは命令をされたと思って、息づかいが荒くなるが博司もそれには流石に引いた。


「イゾルダさん、そう言うのはやめた方がいいと思うんだ。個人の性癖は否定しないけど、流石にみんなの前では」

「そ、そうですね。ただ、皆さんの前で叱責されるのはたまりませんわ~」


さらに息づかいが荒くなるが、博司も呆れるがマチルダが


「博司、変な事命令しないでよ」


と言うが


「マチルダ、俺はやめるようにって頼んだって」

「た、確かにそうだったわ。っという事は…」


マチルダも理解して、呆れる。

そして、果歩は顔を赤くしていた。

これは勇者のスキルが、イゾルダの性癖に負けたのであった。

あと、これ以上続けるのはいけないと博司が本能で感じ、解除をしたのであった。


「スキルは解除しましたよ」

「あ、ありがとうございますわ」


イゾルダが興奮して顔を赤くしてお礼を言うと同時に、グレイの方をみるがグレイは身震いをする。


「そろそろ小屋に戻る頃か」


外は気づいたら暗くなっていた。


「そうよね、そろそろ食事の時間だしね」

「食事はどうなってるって聞いてないけど、どうなるんです?」

「私達は小屋まで運んでくるけど、どうせなら3人で食べましょう」

「従者とは食べるのはダメなのかな?」

「別にダメではないわ。ただ、食事の内容が違うので別々に食べてるわ」

「せっかくならば、皆で食べるてもいいんじゃないかな。一緒に食べた方が親睦も深まるし」

「それもそうね、ここに持って来てもらうように頼むわ」


マチルダさんがみんなの食事を運んでもらうように頼み小屋に戻って来た。


「2日後には出発だから、ここで一緒に食事をする事もあと数回だから明日もここでするって言っておいたわ」

「そうですか、ありがとうございます」

「それと、もう一人お客さんが来たわ」


マチルダがそう言うと、そこに居たのはウィルダの姉のドゥニーズであった。

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