第13話 紙の完成

 翌日、重しを乗せてプレスした紙を乾燥させる。

触ってみたら、ぬめりが無くなっているが、これでいいのかな。

ひとまず、天日干しをして乾燥させる。

漉いた紙は全部で100枚ほどで、それを天日干しをするために皆で並べる。

今日は天気がいいので、すぐ乾きそうではあるけど1日で乾くかな。


「後は私たちがやりますので」

「なんか、全て任せてすみません」

「勇者様は気にしなくていいですよ。紙づくりは自分達の仕事なので」

「ありがとうございます。それでは後はお任せします」


あとは主さん達が様子を見てくれると言うので、今日もやる事はこれでおしまい。

1日で乾くかはわからないが、乾けば紙を持っていきたい。


「そういえば、女性の勇者様が紙を沢山持っていきましたね」

「そうなんですか?」

「はい、用を足した時に使うためと言いましたが、繊維を叩いて柔らかくしていました」


主の話によると、叩いて少し柔らかくしたらしい。

ただ、それでもまだまだ硬く、吸水性がそこまである訳でもないがそれでも葉っぱよりはって事かな。

俺より先に来た勇者2人はアメリカ人と日本だと言う事を、畳屋さんから聞いている。

なので、日本人の女性勇者が紙を持って行ったと思う。

いや、もちろん、アメリカ人の女性勇者も使うだろうけど、日本人の方が気にするはず。

正直、あの紙で拭く気にはならないが、それでも葉っぱで拭くよりは妥協はできるからね。

あと、布は洗わないといけないので、使捨ての紙の方がやはりいいか。


「ただ、あんなに持って行っても使い切れなと思うが、使い道はいくらでもあるといってましたね」


あの紙はトイレで使うには堅すぎであるが、他の用途には使えそう。

吸水性はいまいちでも、物を包むとか、手を拭くとかに使えるかもしれない。


「紙は色々使い道がありますので」

「私達は文字を書くのを前提で紙を使っていますが、どんな事に使うんですか?」


俺は物を包むためや、手をふく、汚れをふき取るなどがある事を教えた。


「なるほど、そんな使いみちがあるのですか」

「ただ、この紙と質がちがいますけどね」

「そうなんですか、勇者様の世界は色々な質の紙があるのですね」


紙と一口にっても、種類がたくさんあるが、この世界では1種類とは言わないが

種類はかなり少ないし、用途も文字を書くためが主である。

なので、俺達の世界に来たらきっと驚くだろうな。


主とこんな話をしているとグレイが


「今日はする事がないのなら、周辺でレベルアップをするのですよ」


っと提案したので俺はその提案を受け入れる。


「そうだな、レベルアップしておけば、道中でレベルアップする頻度が減るしな」

「そうなのです」

「では、俺達は行きますので、後はお願いします」

「はい、それでは行ってらっしゃい」


紙工房を出ると、街の周辺のモンスターを倒してレベルアップをする。

パピーは辺りのモンスターはやや強くなっているが、それでも苦戦するほどではない。

レベルアップも30回戦って1つと、かなり効率が悪くなってきている。

30回戦うのにどれぐらい時間がかかるのかと言うと、体感で大体1時間。

ただ、これは効率が良ければの話で、場合によっては2時間ぐらいかかる。

しかし、中にはレベルが高いが1撃で倒せるボーナス的なモンスターがいる。

しかも、結構な頻度で現れて3,4体倒せばレベルアップするのである。


 パピー周辺ではそれがザコ的に出てくるのでレベルアップするにはいい場所である。

ボーナスモンスターはコブリンの上位クラスでLV80とコブリンにしてはかなり高い。

LV80はザコモンスターはLV100が最高なのでかなり強と思うえるが、LVの高さの割に強くはなく、ほぼ1撃で倒せる。

出現時は2,3体一度に出てくるので、サクサクとレベルアップする。

1時間程でそれを30体ほど倒して、LV126になったもの大きな変化は感じられない。


「1時間ぐらいで6アップしたからまぁまぁか」

「グレイは4ほどしか上がっていないのです」


グレイはLV140で俺より高く、魔法の威力も強くなっているが元々基礎が高いためらしい。

ただ、こちらは具体的な数値を俺の力では見る事が出来ないが、魔石を使って測れるとの事だ。

なので、グレイが持っている測定用魔石で測ってみたのであった。


「グレイの魔力値は800なのです」

「俺は300だが、これは高いのか?」

「る魔術師と言われる人の基準は400なのです」

「つまりグレイは基準の倍あるのか」

「グレイはかなり高いのです。ただ、これは成長途中なので、さらに高くなるのです」

「最高値はいくつなんだ?」

「この魔石で測れるのは2000までなのでが、1000あれば魔族と一緒なのです。

過去最高は1000、特別に高値と言われる人でも700なので、800も十分すごいのですよ」

「確かに、それはすごいな。で、俺の300はどうなんだ?」

「魔法の専門でなければ、十分高いのです。ただ、勇者の魔力は魔法に使われるのなく、スキルに使われますのでがこの魔力は魔力と違うらしいのですが、これでは測定する事ができないようなのです」

「なるほど」


本当はもっと高いが、測定方法が違うので測る事ができないらしい。

この数値はヒールやハイダッシュを使うための魔力らしい。

ヒールは怪我をした時、自分で回復してるが、消費量は基礎の数値で10らしい。

魔力値=MPみたいなので、30回は使える計算であるが酷い怪我を治すとなるとどんどん上がっていくらしい。

わかりやすく言うと、縫合がいるぐらいの怪我は20、骨折は30といった所らしい。

逆に言うと、30で骨折が治せると思えばってなるが、実際は1回で完治させる訳じゃない。

もし、1回で完治させるとなったら100はいるらしい。


 あと、理論上は切断した腕や足もつけられるらしいが、これを1度でやろうとすると400はいると思われる。

骨を繋ぐのに100、神経や筋肉を直すのに100、血管を繋げるのに50、皮膚を完全に再生させるのに50必要になるが、300だろって思うかもしれいが、これを一度に行うためのコントロールに100いるため400になるらしい。

ただ、これは以前ある研究者が各種データーから導き出した数値らしく

他に研究している人が居なので、実際の数値は不明らしい。

研究させれなかったのは、切断されたら諦めるのと魔法使いの基準が400で

特別に高値と言われる人でも700なので、持っている魔力をほぼ使い切るので現実的じゃないためらしい。

MPが0になっても死ぬ事はないが、心身ともに大きな負荷なので回復するまで2週間は寝込むらしい。

なので、治療する方を治療しなければならず、現実的じゃないので実際に試してないらしい。

また、4人で分担すれば1人辺り100なので、かなり現実的になるから手足が切断した場合は複数で治療すればよいとなったらしい。

ただ、グレイは1人で切断した手足は1か所ならば、理論的には1人で治療可能らしい。


「800もあって、まだまだ上がるなんてグレイはすごいな」

「そうなのです、グレイはすごいのです。しかも、ここまで魔力値が高いと1回で使う魔力量の消費も少なくなるのです」


グレイが言うには、基本10いるヒールが5と半分になるらしい。

ただ、大けがを治す場合、割引率は減るらしいがそれでも2,3割は少なく済むそうだ。

つまり、ぐらいならば理論上340~360で切断した手足1つをくっつける事が出来事になるが


「流石のグレイも切り落とされた手足を、1人でくっつけるのは無理なのです」

「なんでなんだ?」

「それは実際に1人でくっつけた人がいないからなのです。複数集まれば可能なのですが、実例は腕をくっつけた2例しかないのです。

くっついたものの、感覚がない、あっても以前より鈍い、しびれや痛みがななくならない、物が掴めない、発熱、接合部から皮膚などが壊死して結局切断と予後が悪かったからなのです」

「つまり、くっつけても手間をかけても使えなくてマイナス面が多いならば、切断したままで良いって事か」

「そうなのです。だから研究がされなくなったのですよ」

「なかなか難しいな」


現在が医学だと、切断して空の時間が短ければ縫合可能とは言うけど、

くっつける事よりも、その後のケアがの方が大事って言うからしな。

発熱や組織の壊死も細菌感染によるもので、抗生物質はおろか消毒薬もないし

そもそも細菌がわからないからしかたがないか。


「ただ、博司様がもしもの場合、グレイがくっつけてあげるので安心してくださいのですよ」

「ああ、頼むよ」

「はいなのですよ」


グレイは嬉しそうにしてるが、出来ればそんな場面が来ない方がいいんだけどな。



―そして夕方 


今日1日でレベルがあれからさらに30程がったが、200まではまだまだ遠い。

どれぐらい上げたらいいかわからないが、ひとまず200にしておきたいところだ。


「一応、156まで上がったが、もっと上げた方がいいのか悩む」

「グレイが読んだものでは、魔王領に行くには150あればよいらしですよ」

「なんだ、それなら大丈夫だな」

「ただ、最低限であって、200は欲しいとありました」

「つまり、あと44もあげないとならにないか」

「この先、モンスターが強くなるので、境界に行くまでには200になると思うのです」

「境界まであとどれぐらいかかるんだ?」

「寄り道しなければ13,4日で着くと思うのです、かなりとばせは7~8日ほどなのです。ただ、昼夜問わず走り続けた場合ですが」


王都から境界まではまっすぐけば馬車で1か月ぐらいであるか、俺達の馬車は通常より速度が速い馬車なので、通常より10日ほど早く着く。

ただ、馬は駅ごとに交換するが、車体の方はこのタイプの馬車は元から数が少なく交換が出来ないので、大切に使わないとならない。

でも、俺達は寄り道が多いので、その間にメンテナンスができるそうんなので、寄り道は実はありがたいらしい。


「寄り道も無駄じゃなかっただろ?」

「それは結果論というか、開き直りなのです」


それを言われたらなにも言い返せない。


「それはともかく、暗くなる前に街に戻って工房へ行ってみるか」

「はいなのです」


街へ戻り、工房へ戻るとどうやら乾燥ができたらしい。

ただ、本音としてはあと1日か2日は乾燥させた方がいいと思うが、時間の関係もあってこれでもひとまずは大丈夫らしい。


「出来た紙は丈夫ですが、柔らかさもあり、水や油も吸うので良いですね」


2,3枚試しに使ってみたが、思ったよりも出来が良く、顔を拭くと油取り紙にもなる。


「ちょっとゴワゴワしてるけど、これならば軽く拭けばトイレでも使えると思います」

「そうですね。ただ、製法がわかりましたので、もっと研究して柔らかい紙を作りたいと思います」

「がんばってください。あと、全部貰ってすみません」

「いえいえ、元からそのつもりですし、いくらでも作れますので」

「そうですか、ありがとうございます」


出来た紙を受け取るが、何枚あるかしっかり数えてみたら使った分を引いて103枚どあった。

実際にトイレで使うとなったらサイズ的に、3分の1ぐらいにカットしてもいから、3倍になる。

紙はトイレ以外でも他の用途にも使えそうな感じでもあるけど、ひとまずはトイレ用。

とはいえ、貴重な紙をこれだけもらえたのはいいな。

トイレットペーパーとしてはまだ硬いけれど、最初の紙と比べればかなりましになった。

パルプから作る方法ならば柔らかい紙が出来ると思うけど、こちらの製造方法わからない。

しかし、異世界に来てわかったけど、日本のトイレットペーパーってすごいんだっと感心したのであった。

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