第9話 グレイの気持ち
博司様がアダムさんと粘土で便器とやらを作っているのをグレイはみているのです。
グレイは博司様と出会って、2か月と少し経ちましたが、この様子だと皆さんに追い付くまでまだまだ時間がかかりそうです。
グレイは博司様からトイレが何かなんども聞かされていますが、グレイはわかるようなわからないようなという感じでなのです。
なので、ここまでこだわる理由がまだわからないのですが、グレイは何も言えなのです。
宿場で試しに造ったトイレを使ったのですが、確かに悪くはなかったのです。
なのでトイレを作りたいという博司様の気持ちもわかってきたのですが、グレイは
やる事がなくてつまらないのです。
「ここはお嬢さんには面白くなですよね」
グレイがつまらなそうにしているの見て、若旦那さんが声をかけて来たのです。
「正直言って、つまらないです。ただ、博司様のやる事には口をださないのです。それに、博司様に言ったところで変わらないと思うのです」
「ははは、私も妻によく言われてるよ」
若旦那さんは笑っていますが、男の人はみなこんなかんじなのですかね?
「若旦那さんも博司様と一緒なのですか?」
「男は大体似た感じですよ」
「そうなのですね」
「私もお嬢さんぐらいの娘がいるが、娘はここに来るのが好きでね、将来は職人かこの工房の後を継ぐと言っているですよ」
「そうなんですか?」
「はい、私は後を継ぐのは息子の方だと思ったけど、息子は騎士になると言って後をを継ぐ気はないみたいでね」
「そうなのですか」
若旦那さんの話を聞いて、グレイと同じ年なので変わった女の子な気がします。
ただ、さらに話を聞くと、息子さんは魔王軍が侵攻してきて、今は騎士を目指すのを悩んでいるそうです。
「息子は今12歳だから、多分、憧れもあって騎士になろうと思います。ただ、実際に魔王軍が攻めて来たとに、騎士が負けるのを見て現実を知ってしまいました」
「実はグレイも魔物が怖いのです。なので、博司様の陰に隠れて魔法で戦っているのです。でも、最初は博司様にしがみついていたので、グレイも今は博司様から離れて戦っているので進歩したのです。
なので、息子さんも強くなれるのと思うのです」
「息子にそう言っておきますよ。私は他の仕事があるので、これで」
若旦那さんは笑って工房を出て行きましたが、お子さんと同じ年代の子から話が聞けて喜んでいるようです。
ただ、グレイは思った事を言っただけなのです。
「グレイ、待たせてすまなかった」
どれぐらい経ったかわかりませんが、博司様が声をかけてきましたが終わったようです。
出来たものは椅子と言えば椅子ですが、宿場町で作った物とはまた違う形なのです。
「これが便器とかいうやつか」
「ええ、俺の世界では水で流すのですが、この世界では穴をあけて下に落とすして溜める方式にしました」
「水で流すってどうやってるんだ?」
「俺も仕組みは説明できませんが、別に水をためる者を作ってレバーを動かすと流れます」
「そうか、それはすごいが、流れたものはどこへ行くんだ」
「下水というものをあって、そこに色んな排水をながして施設で浄化して綺麗にしてから海や川に流しますが、これも仕組みまではわからないです」
「ヒロシの世界はすごいな、話を聞いててトイレに興味がでたきたわい」
アダムさんは職人だけ合って、新しい物には興味がある様です。
しかし、グレイは正直、そんなに興味がないです。
ただ、時々する博司様の世界には興味があります。
「博司様の世界は何度聞いても興味深いのです」
「グレイは興味なさそうな顔をしてるが、俺の世界の話は気になるんだな」
「はいです。トイレはどうでもいいのですが、魔法は気になるのです」
「グレイ、俺達の世界では魔法はないぞ」
「ほ、ほんとうなんです?嘘ついてるのではないのです?」
「嘘はついてない。ただ、魔法に近い技術はある」
博司様は色々説明しますが、どれも魔法と思うのですが、それでも博司様は魔法ではないといいますが、グレイには違いがさっぱりわからないのです。
「どうあれ、魔力がなくても魔法見たことが出来るんだよ」
「そうなんですか、それはそれで気になるのですよ」
「ただ、残念な事に、持ってたはずの俺の世界の道具が何故かないんだ」
「それは残念です」
「ま、この世界に来て本物の魔法が使えて嬉しいよ。今の所、ヒールしか使えないが」
「回復魔法も十分高度な魔法なんですよ。人間の身体を元に戻すのはすごい事なのです」
「確かにそうだな」
博司様はうなづきますが、ヒーラーという専門職があるのでヒールの魔法はすごいのですよ。
グレイはヒーラーですが、実際はヒールよりも攻撃魔法のが得意なのです。
ただ、攻撃魔法が得意だと前線に出ないといけないのですが、グレイは魔物が怖いのですよ。
だから、後方に居られるヒーラーを選んだのですが、これは秘密なのです。
でも結局、こうやって戦う事になったのです。
ただ、魔王軍撤退後でよかったのです。地のモンスターならば、グレイもある程度は大丈夫なのです。
最初は博司様に可愛いところ見せるために、わざとしがみついたのです。
なので、グレイが腹黒と言え、腹黒ですなので博司様のレベルが低い時はスキルが利かったのです。
でも、それ以外はグレイは博司様に隠してる事はほぼないのです。
少なくとも、博司様を勇者として信じていまが・・・やっぱりトイレ作りだけは理解はできません。
素晴らしさ自体は認めるのですが、トイレ作りはせめて他のお二人と合流して、魔王を倒してからにして欲しいのです。
――――――
アダムさんに試作の便器を5器ほど作ってもらったが、焼く前に乾燥をしないといけない。
その乾燥は数日かかるそうだが、流石にそれまでここにいる訳にはいかない。
便器はサイズ、横幅40㎝、奥行き70㎝ほどであるが、このサイズは現在使える焼き窯では入口が狭いため出し入れが出来ないとの事。
また、若旦那さんと話した通り、このサイズが入る窯は現在使用不可能だ。
「こしらえたのはいいが、結局焼けないぞ」
「これはあくまで見本ですので。窯が直るか、新しく出来たら試しに焼いてみてください」
「それはいいが、多分、その頃は魔王を倒してそうだな」
「そうですね」
「で、他に頼みたい事はあるか?」
「特にないですね」
「用事が終わったなら、早く宿に行くののですよ」
グレイが袖を引っ張るが、まだアダムさんと若旦那さんにお礼を言ってない。
「アダムさんと若旦那さんにお礼をいってからだ、グレイ」
「それはわかっているのです。言わないとまた別の事をするのです」
「今日はこれで終わりだから」
「わかったのです」
グレイは従者と言っても、出発まで2か月待たせた上、こんな事をしてたら嫌になるか。
せめて、召喚されてからすぐ出発してれば違ったかもしれない。
ただ、生活の質向上の為だから、許してくれって言いたいが、現時点でも十分グレイは許してくてるか…。
「すまん、グレイ、こんな事に付き合わせてしまって」
俺はグレイに謝るが
「博司様が謝るなんて気持ち悪いです」
っと返された
「いやいや、ここは素直になるべきだろ」
「グレイは元々素直なのです。第一、今更謝っても遅いのです」
「た、確かにそうだが、謝ったんだからいいだろ」
「グレイは元から怒ってないので、謝らなくてもいいのですよ」
「そ、そうなのか?」
「はい、グレイはつまらないだけで、怒ってはいないのですよ」
「そ、そうか・・・」
俺はよくわからないが、グレイがいいなら、いいだが…。
「そんな事より、早くアダムさんにお礼をいうのですよ」
「そ、そうだったな」
俺とグレイはアダムさんと若旦那さんにお礼を言って、工房を後にした。
窯が使えない上、乾燥に時間がかかるのでこの街での用事はこれで実質終わり。
また、魔王領に入ったら通信自体が難しくなるが、魔王領は瘴気に覆われて伝書バトが使えないためらしい。
なので、連絡する方法は魔王領をでるしかないが、魔王領を出る時は魔王を倒した時。
つまり、次に来る時はアダムさんが言うとおり、魔王を倒した後になる。
「博司様はトイレを作ってどうするのですか?」
宿に向かう途中、グレイが聞いて来たが、出来たら使うに決まってる。
「出来たらそりゃ、使うよ」
「でも、今もままだと宿場町で作った試作のトイレ以外は、魔王を倒した後になるのですよ」
確かに、現状だと試作で作ったトイレ以外は魔王を倒した後になる。
ただ、魔王を倒した後でも、この世界というか、この国にトイレを普及させという目的があるので別にそれでも構わい。
「魔王を倒した後でも構わないよ。この世界というか、この国にトイレが普及するきっけになればいいだけだ」
「わかったのですよ」
グレイは工房に居た時よりも機嫌がいいが、何か機嫌が良くなるような事をしたかな?
単に宿に行けるからかもしれないが、妹もコロコロ機嫌が変わるし、この年頃の女の子はよくわからないな。
――――――――
宿に向かう道すがら、博司様にした質問の答えを聞いてグレイは安心したのです。
初めは博司様は自分の為だけにやっているのかと思いましたが、そうではなかったようなのです。
博司様が自分の為にやっていても、それはそれで構わないのです。
ただ、自分の為だけじゃなく、博司様の意思とは関係なく、無理やり連れて来られたのに
この国の為に魔王を倒すに行き、トイレを作ってると思ったら嬉しくなったのです。
グレイも実はトイレが出来るのが段々楽しくなってきたのです。
なので、早く魔王を倒してトレイが使えるようにしたいのですが、この先も寄り道は多そうです。
ただ、博司様が次に何をするかは、グレイも楽しみになってきたのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます