第7-2話 トイレを試作する その2

 木材屋の親方は大工の親方でもあるので、早速作業に取り掛かる。

トレイを作る場所は敷地の端の方であるが、樽を運び出す事も考えて裏口辺りに建てる。

幅は1mぐらい、奥行きは2mぐらい、天井高はは3mぐらいといった所かな。

これぐらいなら大体の人は利用可能なはず。

作業の手際が良く、数時間で基礎から上部の柱は完成した。


「簡易的であるが、表にあるからある程度丈夫にしないとな」

「そうですね」


本当は建物と繋がっていた方が良いけど、建物と繋げると大がかりな工事になので今回は建物から遠いが屋外とした。

それに、今回はトイレがどんなものかを教えるためであるので、まずはトイレをどんなものかを知ってもらう事にする。

ある程度うまくいって、この宿場にトイレを各所に設置できたらいいな。


「今日は日が暮れてきたから、ここまでだ。建物自体は明日にでもできぞ」

「そうですね。思ったより早くでそうですね、ありがとうございます、親方」

「いいってことよ。俺も新しい物を作るのは楽しみだ」


親方は笑って俺の背中を叩くが、力加減をしてなくてちょっと痛い。


「それでは、僕は小屋に帰るよ」

「俺達は宿に戻ります」


ウィルダさんも宿に来て欲しいと思ったけが、宿の人に何も言ってないから言わなかったが


「ウィルダさんも、宿に来るのですよ」


とグレイが言ったのであった。


「僕が行ってもいいかな、宿の人に言ってないだろ?」

「はい、今思いつきましたので。ただ、勇者が言えば大丈夫なはずです」


つまり俺に丸投げである。


「聞くだけ聞いてみまず。ダメだったら仕方がないですが」

「そうだね、聞くだけは自由だからね」

「それでは宿に行くのです」


 グレイが先頭に立って宿へ向かうが、昼間はあんなにむすっとしてたのに、今は率先してる。

でも、俺のトイレに対するこだわりも、グレイにとったら不思議な事で興味がないだろうから仕方がないか。


――――


宿の主人にウィルダさんも泊めてもいいかと聞いたら


「もちろんです。高名な学者様と勇者様がお泊になったら、我が宿の自慢になるなります」


といって、あっさり泊めてくれた。

別に部屋を用意すると言ってたが、グレイもウィルダさんも一緒の部屋良い言ったので女性2人同室になった。

ただ、実年齢はともかく、見た目はどちらも女の子って感じだけど、見た目の事を言っては駄目だよな。


「ウィルダ様のお食事も用意しますので、少々時間がかりますがよろしいですか?」

「急に来たかね、もちろん待つよ。その間に僕は湯につかるよ」

「そうですか、それではゆっくりしてください。あと、これはウィルダ様の入浴セットです」


主人からウィルダさんに入浴セットを受け取り、俺達は風呂に向かうが・・・考えたら混浴だった。


「ウィルダさん、混浴は平気ですか?」

「もちろん平気だよ。もちろん、男性も見慣れてるから安心した前」

「そうなんですね」


混浴と言っても、湯あみ着を着てはいるから、気にしなくてもいいか。


「グレイは部屋から入浴セットを持ってきます」

「俺も取りに行くので、ウィルダさんは先に入っててください」

「ああ、そうさせてもらうよ」


 ウィルダさん先に入浴する事にして、部屋に着替えと入浴セットを取りに行く。

この世界に来ても服装は現在のままではあるけど、それは魔法で複製が可能だからだ。

ただ、これはかなり高度な魔法らしく、王が許可しないと使用ができない。

俺は勇者なので使用可能だから、着ていた服、下着をそれぞれ8着ばかり色違いで複製してもらった。

8着あれば洗濯して干せば、雨が降っても大丈夫と思う。

乾かなった時は、素直にこの政界の服を着ればいい訳けだし。

この世界はパンツがあるし、男性用も現在と同じ形状。

試しに穿いてみたけど肌触りがいまいちなので、複製してよかったと思った。


 着替えと入浴セットをもって、風呂へ向かった。

ウィルダさんに声をかけるがグレイはまだ来てないそうだ。

っという事は、ウィルダさんと2人だけど、考えてみたらウィルダさんは40歳。

男の裸も見慣れているので、むしろこっちが恥ずかしい気もするが気にしても仕方がない。


「入りますよ」

「どうぞ」


声をかけて浴室に入るが、ウィルダさんは湯あみ着を着てるだろうから気にする事ないって思ったら・・・全裸だった。

え、この世界いは湯あみ着を着るもんじゃないの?

もしかしたら、エルフは全裸が普通なの?

あれか、エルフは同族だけで行動するから水浴びする姿を見られも平気ってやつか?


「あ、あの、湯あみ着は着ないのですか?」


俺が聞くと


「そういえば、なんか着る物があったが、あれは湯に入る時に着るものだったのか?」


っと聞いてきて、湯あみ着を知らなかったってオチだった。


「もしかして、湯あみ着をしらないのですか?」

「聞いた事はあるが、王国で仕事をしていた時は風呂は男女別で、女性は僕を入れて2人しかおらず、入浴は1人だったから全裸で入ってたよ」

「そう言う事ですか」


なるほど、男女別で女性2人しかいないから、全裸で入ってた訳か。

でも、混浴じゃなくても、身につけるってヒューゴさんから聞いたけどな。


「でも、基本的には身につけるものと聞きましたよ?」

「なんか、一般的にはそうらしいが、僕は幼い頃以外は入浴はずっと1人だったため、全裸でしてたからね」


ああ、そう言う事でしたが。

ただ、日本だとこれが普通だから俺は何も言えない。


「それに、この歳だと何度も男に裸を見られるてるしね。こう見えてもちゃんと経験はあるんだよ」


すみません、未経験だと思ってました。


「ただ、僕の性格上、男性にはあまり好かれなくてね。どちらかと言うと、女性に好かれるんだ。僕は異性が恋愛対象なんだけだけど、どうしても女性にもててね」


ウィルダさんは見た目はグレイぐらいだけど、性格は男ぽいのでそのギャップで女性にもてるのだろうか。


「この国は同性を好きになる事は法で禁止していないが、あまりいい目でみられない。それに帝国は同性愛は禁止だからね。僕は同性愛者ではないのだけど、周りの目がね」


やっぱり、この世界は同性愛に厳しいのか。

王国は法的に禁止はしてないが、やっぱり良くは見られないようだ。


「それはともかく、少しは隠してくださいよ」


平然と話してるが、ウィルダさんは待った隠してないし、湯気も薄いから丸見えだよ。

ただ、あまりにも堂々としてるから、恥ずかしがるこっちがおかしい気がする。


「別にこんな幼い体型をみても、興奮しないだろう。ただ、君がそっちの趣味であれば別だがね」

「俺は大人っぽいお姉さんが好きなので」

「そうか。ただ、なんだろう、負けが気するのは気のせいか・・・」


あ、なんか地雷を踏んだぽいぞ。ただ、ここでロリが好きって言うのはなんか違うし、今回は俺は悪くないぞ!


「遅くなりましたが、グレイも入るのです」


グレイが中の様子を知らずに、入ってきたが全裸で立っているウィルダさんをみて


「グレイはお邪魔なのです。大人の世界はグレイにはまだ早いのです」


と言って出て行きそうになったので、腕をつかんで引き留める。


「博司様、は、はなしてくださいのです。まさか、グレイも混じれという意味なのでなのです?」

「それも違うというか、話を聞け」

「僕がグレイ君にも説明するよ」


 ウィルダさんはグレイにも訳を説明すると、何とか納得してくれた。


「そういうことだったのですね。てっきり、博司様が大人の階段を上るかと思ったったのですよ」


この世界にも大人の階段を上るという言葉あるように聞こえるが、この世界の人の会話は

魔法を通して、俺の知識に合わせて日本語に訳されているので、この世界に大人の階段と言葉がある訳ではない。

また、俺の話してる言葉も、魔法でこっちの世界の人に合わせて翻訳されているが、この世界にない言葉は翻訳が不可能である。

なので、多少本来の意味が違うかもしれないが、会話がちゃんと成立から問題はないようだけど。


「俺がそんな事する様に見えるか?」

「見えるか見えないかで言えば見えませんが、意外と博司様みたいタイプは女性が油断して危ないのです」


グレイはそういう経験はないと思うけど、なんか当たってるな。

でも、俺は手出しする事ないし、未だ持ってそういう経験はないですよ。

ただ、初めての体験がハーフエルフ名ののは悪くないが、この世界には避妊器具はないだろうからやめておこう。

それに、未知の性病があるかもしれないが、シルヴィさんが性病に感染してるって意味じゃないからね、念のため。

どちらにせよ、子供が出来たら問題ありすぎだから、そう言う事はしないけどね。


「全裸で入ってしまったのは仕方がないのです。ならば、グレイも全裸になればよいのです」


おい、グレイ、なにがどうなって、なぜそうなった。


「博司様はグレイのようなロリ体型には興味ないでのです」

「そうだね、ヒロシ君は僕たちのような体型は気にしないといってたからね」

「そうなのです、です」


グレイは湯あみ着を脱いで全裸になるが、俺にはもなすすべがないから諦めるしかない…。


「それでは皆で湯につかろうか」

「はいなのです」

「ああ…わかった」


俺はすべてを諦めたが、湯につかれば問題ないか。


「うん、やっぱりここの湯はいいね。僕の所も湯は湧いてるが、浸かるには少し温度が低くてね、薪で温めないけないが、ここはそのままは入れるのがいい」

「そう言えば、この辺りは湯の他に、水も湧くと言ってましたね」

「ああ、この辺りは水も湯も多く湧く場所だからね」

「だったら、ここに王都を建設したほうが良かったと思いますが」

「ただ、問題があってね、ここは大きな川がなかったんだ。王都は水が少ないが、大きな川がすぐ近くで物資や人の運搬に便利だったからね。あと、人口も今よりすくなかったからね。あとは2つの川に囲まれていて、防御面でも優れていたいんだよ」

「なるほど」


昔は川が道路みたいものだったから、川が近い方を選んだな。


「ただ、ヒロシ君も知っての通り、今は当初よりも人口が増え、街が大きくなったらから水不足になってね。今はちょっと離れた山から水を引いててましになったが、10年前は本当に大変だったよ」


ウィルダさんが言うには、10年前に夏に大渇水で過去最大の水不足になったそうだ。

洗濯や風呂はもちろん、料理に使う水どころか飲み水も制限されたそうだ。

なんので子供や病人、老人が暑さで亡くなったそうだけど、脱水か熱中症になったんだろうな。

そこで、造られたのがさっき言った用水で、これで生活用水や所謂工場用水が確保出来て飲み水の確保ができたそうだ。

ただ、これだけでも心許ないので、現在はもう1つ用水を工事中だそうだ。


「水があればトイレも水洗に出来るんだけどなぁ」


俺がぼそって言うと、シルヴィさんが反応する。


「その水洗とはなんだね?」

「水で排泄物を流すトイレです」

「水で流す?」

「はい。仕組みは俺も詳しくはわからないですが、排泄物を下に溜めるのでなく、下水というものを作って、水で流して川や海に流す仕組みです。ただ、そのまま流すのではなく、色々な方法で水を綺麗にして流すのですが、かなり大規模でこの世界の現在の技術では無理ですね」

「そうなんだね。博司たちの世界の技術はすごいんだな」

「実際の所、俺も仕組みはまったくわからないですが」

「それだと魔法と同じだね」

「確かに」


実は魔法も良く仕組みがわからないらしい。

ただ、使う方法があるから使っているとの事。

そういえば

「十分に発達した科学は魔法と見分けがつかない」という言葉あったな。

元がどこからか知らないが、たまに見る言葉だけど。

確かに、ネットもAIも考えてみたら魔法と同じだといっていいもしれない。


「グレイは博司様の世界にいってみたいのですよ。ただ、こっちから博司様の世界にはいけないようなのですよ」

「それって、俺は帰れないって事?」

「いえ、博司様は帰る事はできるのです。ただ、こちらの人間が理由はわからなのですが、博司様の世界にはいけなのです」

「過去に何度か実験したそうだが、何も起こらならないか、起こっても人の形を維持できない、維持できも頭の中で何かが起こって、人格がなくなってるか発狂するのどれかだったそうだ」


実は勇者召喚って簡単に言うけど、かなりはリスクって事?

そういえば「成功しました」ってセリフがあるけど、つまり失敗があるって事だよね?

成功率100%だったら「成功しました」って言わない気がするが、単なる演出でもあるのかな?


「もしかしたら、俺もどうにかなってたって事ですか?」

「勇者召喚ではそう言う事は無いと聞ている」

「あれですよ、失敗しても隠蔽してるだけなのですよ」


グレイ、さらっと怖い事言わないで。国が絡んでると、本当に隠蔽してそうだから。


「どうあれ、ヒロシ君達は成功したのだから良いだろう」

「まぁ、そうですが」


確かにそうだけど、失敗があったか気になるが探るとしたら王国の闇がばれて別展開になりそうだからこの話はやめておこう。


「なんか話してたら、のぼせそうだからそろそろでるよ」

「グレイもでるですよ」

「俺も出るけど、俺が先にでていいかな?」

「別に構わないが、脱衣所では衝立があるから大丈夫と思うよ」


昨日、俺が言ったセリフを今日はウィルダさんに言われたが、確かにそうだ。

ただ、全裸の女性2人を先に出すよりは俺が出た方が何かと良い思ったけど

考えてるうちに、グレイは構わずでていったのであった。


「グレイ君が出から、僕も出るよ」


そういってウィルダさんも出て、結局、俺が一番最後になった。


 脱衣所では昨日はパンツを隠すと言ってたグレイも、結局はパンツ姿だったがウィルダさんも同じで

「布を見られてなにか問題があるのかね」ってグレイと同じ事を言ってた。

もしかして、王国にはこんな女性しかいないのかって思うが、サンプルは2人だけからそれはないか。

ただ、ウィルダさんが言う感じだと、女性は少なそうだから・・・いや、この2人が特別なだけだ。


「そうそう、僕は本来はここに泊まる者じゃないから、お礼に魔石に魔力を補充しておこう」


ウィルダさんはそう言って魔石に魔力を補充するが、グレイは


「本来ならばこのように直接、魔力を魔石に補充は出来ないのです。流石ハーフエルフなのです」

「そうなのですか?」

「ああ、魔石に魔力を補充するには増幅を兼ねた注入用の魔石がいるからね。ある程度魔力が強くないとできないんだ」

「グレイも魔力強いのですが、魔石への直接注入はできないのですよ」


グレイが出来ないって事は、本当にハーフエルフってすごいんだ。


 風呂から出ると用意された食事を食べ、後は寝るだけ。

元々は夜ふかしタイプだったが、この世は娯楽もなく、照明も油や魔力を使って貴重なので早く寝る習慣がついた。

明日はトイレを完成させて、待たせてる2人の元に早く向かわないと。

ただ、ついにこの世界に本格的なトイレが出来ると思うと、ちょっと興奮して眠れないな。

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