第3話 スキルの練習
翌朝、グレイにスキルの練習をしたいと言ったら素直に構わないと言われた。
「グレイ悪いな、従属のスキルの練習相手になってもらって」
「別にいのです。博司様のスキルは使い方では危険ですが、博司様は変な事をしないと思うのですよ」
確かに変な事はしないが、ちょっと確かめたい事はある、
それは『グレイが本当に素直なのか』って事。
一応、素直な感じがするが、この年齢の女の子だから素直じゃないのは妹を見てもわかる。
ただ、キモイって言うのは多分本心・・・。
いいか、妹が実はお兄ちゃんが好きで、口軽いのはツンデレって言うのは、幻想だからな、幻想だからな・・・大事な事だから2回言ったぞ。
それはいいとして、グレイが素直じゃなくても別に問題はないが、素直だっただったらでそれでいい、腹黒ならそれでいい。
グレイは頭が良くて、エリートであるから、人を見下してる所もありそだけど、これは俺の勝手な想像だけど。
もっとも、結果がどうあれ、スキルの練習は1度しておかないとならない。
「博司様のスキルは直接触れるが、ほんのちょっと離れた位置で発動するのですよね?」
「そうだけど、直接触れた方が効果が100%あるって書いてあるけどな」
嘘じゃない証拠にグレイにも説明書を見せる。
「確かに、書いてありますね。どこにします?」
「そうだな…頭にしておくか」
一番無難な場所と言えばやっぱり、頭かなと思ったけど
「頭にかけて何か影響がでたらこまるのです。なので、胸でいいです」
「本当にいいのか…」
「グレイが良いと言ってるのですよ。あと、胸と言ってもおっぱいではないですよ」
「わかってるって」
もっとも、言う程の胸のふくらみは無いけれど、言うと命の危険性があるから言わない。
「なんか、余計な事考えてた気がしますがいいのですよ。では、博司様お願いします」
「わかった」
このスキルは失敗しても、かけられた方は害はまったくなく、問題はないと書いてある。
むしろ、失敗した時のリスクは掛ける方の方が圧倒的に高い。
もちろん、ある程度ダメージを与えて弱った所で発動させるけど、大人しくなった振りして襲ってくる可能性は十分にある。
しかも、従属させるのでダメージを与えすぎてもいけなので、その加減も難しい。
そう考えると、チートスキルではあるが、実際に使うとなると難しそうだ。
俺はグレイの胸に手を当てて、スキルを発動する。
発動は単純で、ただ発動するイメージをするだけでいい。
いわば、コマンドやショートカットで発動を選ぶ感じ。
イメージすると、手が光だして紋章が浮かぶが紋章の色は・・・赤だった。
つまり、失敗である。
「博司様でした?」
「スキル自体は発動したけど、従属は失敗した。従属できるはずのレベルには達してるのに」
「それはどういうことなのです?」
「言いにくいが…グレイが腹黒って事だ」
「な、な、な、なにをいっていますのですよ。グ、グレイが腹黒な訳ないのですよ」
グレイが汗をかいてかなり慌ててるけど…図星のようだ。
もっとも、グレイが腹黒でも別に驚かない。
「言い方が悪かった。グレイぐらいの女の子は素直じゃないからな。うちの妹、素直じゃないし、反抗したくなるお年頃だからな」
「そ、そうですよ、素直じゃないだけなのですよ。決して、腹黒ではないのですよ」
でも、よくよく考えたら、グレイは裏表があるかと言うと、裏をみた訳じゃないしな。
それとも、裏ではとっても乙女チックかもしれないが、それはなさそうか。
出世するために勇者に仕えた事に関しても、キャリアップすること自体、悪い事じゃないしな。
「俺はグレイが腹黒でも、素直じゃなくても、従者としては立派だと思ってるから心配するな」
「なんか褒められてる気がしませんが、博司様がそう言うのならば構わないのですよ」
「ともあれ、スキル自体は発動できることがわかったのは良かった。だた、実際に従属させてどんな事が出来るかも試したい」
「それなら犬や猫で試せばよいのですよ」
「犬は単に懐かれてるかもしれないから、猫の方がいいかも」
「なら、猫を探すのですよ」
この世界はネズミが多いので、猫を飼っている家が多い。
なので、ちょっと街を歩けば猫はすぐ見つかる。
「あそこに良さそうな猫がいるのです」
大人しそうな斑猫が日向ぼっこをしてるけど、猫に触れるのは結構難しい。
大人しいと思って油断すると逃げられるか、ひっかかれるかもしれない。
ただ、この猫は本当に大人しく、近づいても逃げず、なでる事も出来たがでいるから飼い猫かもしれない。
「うん、かわいいな、こいつ」
猫が可愛くくてニヤニヤしてると
「博司様、かわいがるのは良いのですが、スキルを使ってくださいですよ」
「ごめん、かわいいから忘れてた」
グレイに言われてスキルを発動するが、今度は緑になったので成功らしい。
ただ、元からこんなに人懐っこいと、スキルが成功しても意味があるのかわからない。
「成功したのはいいけど、元から大人しいのがな」
「猫は犬ほどいう事を聞かないので、命令を聞いた時点で成功してるとわかると思うのでよ」
「確かにそうだけど、猫に命令するっていってもな」
「あれですよ、飼い猫ならば主の所へ案内してもらうと言うのが良いと思うのですよ」
「思いつかないからそれでいいか」
俺は猫に向かって飼い主の所へ案内して欲しいと話しかけると、猫はすたすたと歩きだしたので、ついて行ったがその猫は宿場の外へ出て行ったのであった。
宿場内の猫だと思ってたので、意外だったがいったいどこへ行くのでだろうか。
猫はどんどん歩いて行き、畑にでたがこんな所に畑があるんだ。
作物は見た感じ、身近にあるものと同じ感じかな。
ただ、いくつか見た事ない野菜はあるけど、この世界の野菜かな。
「なんか、思ったほど歩くのですよ」
「猫は意外と行動範囲が広いしいからな」
「それにして、宿場から離れたこんな所に畑があるとは思わなかったですよ。作物のなり方から、2か月前に魔王軍が撤退する前から作付けしてあるのですよ」
「つまり、魔王軍がいる時から耕作してって事か?」
「そうなるのですよ。もしかしたら、魔王軍の残党かもしれまないのですよ」
「だとしても、畑を作るか?」
「陣を張った時につくったのかもしれなのですよ」
「でも、畑を作るものかな」
疑問はあるけど、猫の飼い主を確かめる事にした。
もし、魔王軍の残党だとしたら、俺に勝てるのだろうか。
俺は不安に思っていると、猫は小屋の前で足を止めて泣いてるが、ここに飼い主がいる様だ。
「よしよし、ありがとう。それじゃ、飼い主に会わせてくれ」
「そんな事言っていいんですか?魔王軍の残党だったら、グレイたちでは勝てないのですよ」
「その時は全力で逃げる!」
「つまり、無策なのですね」
「ああ、そうだ!」
俺は自信一杯に答えるが、グレイは呆れてるがもののいつでも逃げれる準備をしていたが、首根っこを掴む。
「な、なにをするのですよ。グレイはここで散る訳にはいかないのですよ」
「勇者を守るのが従者の役目だろ、犠牲になるならグレイ、お前が先だ」
「グレイは魔王の残党じゃないとかと忠告したのですよ。それを聞かなかったのは博司様ですよ。それに、勇者は魔王軍を倒すために召喚されたのですよ。だから、グレイは逃げるのですよ」
「勇者と従者は一蓮托生って事で、死ぬ時は一緒だ!」
「嫌です、まだ十代で死にたくないのですよ」
「俺も十代だぞ!」
俺とグレイは小屋の前の騒いでいると、小屋の扉が開いて猫の主人が出てきたが
それは魔王軍の残党やモンスターではなく、髪がぼさぼさで白衣をきた背の小さい女の子…と思ぐらいの女性が出て来たのであった。
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