いい

「決闘?」


「そうよ。ほら、リュウが前ボコボコにした最大クランの人たちが門に毎日来ていてね。」


「この前で終わったんじゃないんですか?」


「あれでしょ。メンツの話でしょ。」


「そういうのも含めて、決闘のルールでしょ。」


「そんなものは冒険者には意味ないわよ。」


「なんて奴らなんだ。」


「一つだけ方法はあるわよ。」


「それはなんです?」


「公の場で決闘するのよ。それなら、相手は何も言えなくなるわ。」


「ですけど、相手は僕より格上を出すんでしょ。」


「大丈夫よ。殺しを無しにすればいいもの。それにレベル5までぐらいしか出さないわよ。リュウはレベル4なんだし。」


「そうですか。じゃあ、それでいいです。」


冒険者最大クランと決闘することになった。

今回の決闘は殺しはなしで、集団戦を仕掛けてきた。

相手はレベル4が4人。レベル5が1人。大人気なさすぎだろ。

対してこちらは俺とグリのみ。

決闘が成立するギリギリの構成だ。


「これで勝っていいんですか?」


「かまわない。負けるよりはいい。」


「そうですか。それじゃあこっちも卑怯に行きますね。」


試合開始早々、俺はグリに乗って、遥か上空に飛び、そこから矢を放ちまくる。

1時間は矢を放っただろうか。

全員、死にそうになってた。さすが俺だな。一人も殺してない。

簡単な決着で俺は勝ってしまった。

今回の全財産自分にかけて、53億リンもらった。簡単な仕事だな。


「これで、もう二度と関わらないということで。」


決闘が始まる前に話した大男は返事しない。できないのかな。だってさっきから動かないし。


「それじゃあ、帰りますね。」


グリに乗って帰った。



「簡単に稼げましたね。」


「そうね。よくもまあ、あんな上から相手を狙い打てるわね。」


「少し時間をかければ、強力な矢を打てますからね。簡単ですよ。」


「これで、相手はもう何も言えないと思うわよ。冒険者の中にもルールはあるだろうしね。」


「これから、僕に絡んでくるバカが減ってくれればいいんですけどね。」


「そうね。」


この日から、俺に絡んでくる腕自慢は減っていった。決闘やって良かった。


「グリ。今日は海に行くぞ。カニが食べたいんだ。」


「ピ!!」


「分かってる、お前の好きな鋼カジキも取るよ。」


「ピ〜」


グリが成長したことで、俺の活動範囲がとてつもなく広がった。やっぱり空を飛ぶと速いな。


「カニはどこかな」


この世界の蟹は基本でかいので、見つけやすい。

海には風を纏って入る。このやり方ならある程度の深さまでなら潜れる。

カニとカジキと後いくつかの海産物を採取して、帰った。

お嬢様達にもらった収納袋大を使う。屋敷まるまる一つ入るらしい。

海まで日帰りできるなんて、グリはすごいな。

グリも少しずつ速くなってるし、いつか音速を越えるんじゃないか。

俺の風纏いがあって、初めて出せる速度だが。


「グリも極点ができるようになるんだぞ。」


「ピ!」


「そうだな。まず俺ができないとな。」


もう少しで何か掴める気がしなくもないんだが。

とりあえずは今日のご飯は蟹鍋だな。ポン酢みたいなものも作ったし。

締めはもちろん雑炊だ。

グリは鋼カジキまるまる一匹食べてた。食い過ぎだろ。


「魔物もステータスはあるんですか?」


「あるんじゃない。魔物は進化するでしょ。」


「それはそうですけど。グリフォンは進化しないでしょ。」


「それでも、強いグリフォンと弱いグリフォンがいるでしょ。」


「弱いグリフォンなんていませんよ。」


「そうだけど。グリフォン騎士団、団長のグリフォンは一番強いって聞くしね。」


「確かに強そうでしたね。グリが怯えて僕の背中に隠れてましたよ。」


「大きくなっても甘えん坊ね。」


「そうですね。でも頭はいいと思いますよ。」


「そうね。言葉がわかるんだもの。」


グリが強くなれば最終的には俺は料理するだけで生きていける。

速く強くなれよ。俺の分までな。

でも、こいつを鍛えるために俺も強くならなくちゃいけない。



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