この世の中には人類が倒すべき3体の魔物が存在する。

亀、鯨、竜。この3体。どれも強力な相手らしく、亀はレベル9の人間と相討ちになって死んだらしい。

なので、残るは竜と鯨。こいつらが少し暴れるととんでもない天変地異になるので、占い師どもは毎日行動を占ってる。


「それで、竜が動くらしいの。」


「そうですか。じゃあ、他の人に任せますよ。」


「それはそうだけど、気にならない?」


「気になりますよ。ただ、結構遠い場所らしいじゃないですか。」


「一目見たくない?」


「絶対ダメですよ。相手はレベル9の人外と対等な化け物なんですから。」


「知ってるわよ。でも見たいの。」


「我慢してください。」


「じゃあ、面白い話でもしてよ。」


「そうですね、ダンジョンの深層の話でもします?」


「それでいいわ。」


うちのお嬢様はヤンチャだな。まあでも、俺も一目見てみたいけどな。

これがフラグにならないように。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あんたが串刺しか。」


「そうだが、お前は?」


「私はただの冒険者だ。一手ご指導いただきたい。」


「ついてこい。」


最近、街で買い物をしていると、こういう輩が出てくる。

有名人の俺に勝ったという事実が欲しいらしい。仕事が来るからな。

俺も一応公爵家の一員なので、逃げることは基本許されない。明らかな格上なら逃げれるが。


「まあ、お前は結構弱い方だったな。」


絡んできた奴を騎士団の訓練場でボコした後、そこら辺に捨てといた。

死んではないだろう、迷惑料はある程度もらうけどな。


「今度からグリに相手させるかな。めんどくさい。」


食べ物を買うのも、公爵の下男にでも任せようかな。

でも、目利きできなそうだしな。やっぱ、料理の材料は自分で選ばないとな。


「さすがです、あにうえ!!」


「マークも大きくなれば、できるようになるさ。頑張るんだよ。」


「はい!!」


俺が訓練している子供たちにもこの喧嘩を見せてやる。勉強だな。

俺は、訓練場を後にして、アーシャに狩人の指導もする。


「アーシャ。今日は近接戦闘の訓練だ。狩人は弓だけだと、危険な場面がいくつもあるからな。」


「はい、先生!」


「いい返事だ。」


俺は褒めて伸ばすタイプなので、とにかく褒める。

俺もなんだかんだで、忙しくなってきた。狩人の仕事をグリに任せられるようになって良かった。


「今日は、昼寝してから訓練するか。」


「はい!」


自分でスケジュールを変えられるのはいいな。先生の特権だ。

マーク達も昼寝させねば。

最近は、フィーネとアーシャと昼寝することにしている。

マーク君はアーシャのことを意識して寝られないらしい。マセガキだな。


「アーシャ、狩人は寝るのも仕事だからな。いつでも寝れるようにするんだぞ。」


アーシャは大きく頷いて、俺に抱きつく。フィーネも負けじと抱きつく。

暑苦しいな。寝苦しい。

途中から、グリも入ってきて、もっと寝苦しくなった。氷の魔剣を少し使って、

温度を下げといた。


「ピ〜」


「お前も、いい加減くっつくな。暑いぞ。」


「ピ!!」


「怒るなよ。でも羽はどけろ。暑い。」


「ピ。」


世界のどこかで竜と向き合ってる強者がいるのに、俺は昼寝している。

最高の気分だ。これからはグリにずっと働いてもらおう。不労所得って奴だな。

俺は、昼寝して、料理してダラダラ暮らそう。頑張るときに頑張ればいいしな。


「リュウ君、最近楽しそうだね。」


「分かるか。ドリー。最近死にかけることがなかっただろ。」


「そういえばそうだね。リュウ君はよく無茶するから。」


「なんでだろうな。できるって思ってたら無茶しちゃうんだよな。」


確かに、この異世界に来てから、俺は色々変わった気がする。

何より、勇気が人一倍になっている。


「僕はどんなリュウ君も好きだからね。」


気づいたら、お嬢様方に好かれている。魅力のスキルだろうか。


「ドリー。膝枕してくれ。」


「うん❤️」


ドリーもGカップになってるし、ムチムチな太ももは気持ちよかった。もう一回寝よ。

最高すぎる。今まで頑張ってきた甲斐があった。これが俺の積み重ねの結果だな。

思えば、今まで何度も死にかけた。その全てを乗り越えてきた。

とりあえず、俺が成長しきる14歳までは何も起きなくてくれ。


翌日、ドラゴンの群れが、森で俺に襲ってきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る