海の魔王

海に魔王が湧くと早急に対処しなければならない。

なぜなら、魔王の仲間が急激増殖していくからである。

今まで、数少ない安全に使えた海路も使えなくなってしまう。

と言ううか、海産物物が食えなくなってしまう。それは阻止しなくては。


俺が騎士達より先に来た理由は、地形や情報を集めるため。

かなり重要な任務だ。

お嬢様達が推薦したからなんだが、俺は、狩人の中で一番、学と絵心があるからだと思っている。

地元民は残って漁をするものもいたが、海産物を高値で買い取ってやったら喜んで、近くの街に避難していた。

海産物を料理していると、ワサビと醤油が欲しくなる。

これが終わったら、調味料づくりを頑張るか。


俺の集めた情報を鷹のピーちゃんに頼んで、運んでもらった。

ピーちゃんは俺のことを覚えてくれてたみたいだ。


「海の魔物とどうやって、戦うんだろ?そう言う魔道具があるのか?」


騎士が着くまで暇なので、適当に海に潜って、海の魔物を倒そうとしてもうまく倒せない。何かしらの対策があるのだろうか。

そんなことを思いつつ、魚介料理の研究で暇を潰していた。


2週間後、大所帯の騎士達が登場した。

俺の情報は重宝されるらしい。俺の仕事は終わったな。

しかし、どういうふうに戦うか興味があったので、見学することにした。


1週間後、戦争が始まった。

魔王は一番近くの人間を襲撃する習性があるので、騎士達を襲撃するようだ。


「すごい、海がやってきた。」


海が動いて襲ってきた。

おそらく、魔物が水魔法を使って海を操作しているのだろう。

そんな、海一帯が、凍った。すごい大魔法だ。合同で魔法を打ったのだろう。

それから、騎士達が突撃していく。中には海に入る騎士もいる。

俺がいつも森で戦っているように、いつも海で戦っている奴らが主力なのだろう。


3時間は戦って、今回の戦争は終結した。

今回の海の魔王は弱かったらしい。何事もなく終わってよかった。

漁村はめちゃくちゃだが。


俺はなぜか、勲章をもらった。一番くらいの低いやつだが。


「なんでもらったんですかね?」


「あんたの情報のおかげで、楽に倒せたのよ。当然じゃない。」


「どうせ、お嬢様達がワガママ言ったんでしょ。」


「そんなことないわよ。本当よ。」


「まあ、どっちでもいいですよ。やれることをやっただけですし。」


魔物の魚をグリにあげたら、喜んで食べてた。魚が好みなのかもしれない。

鳥だしな。

今回、大きい被害に遭った漁村の損害は四大公爵達が補填するらしい。

まあ、小さい村だし、端金だろ。


「帰ってきたところ悪いが、緊急事態だよ。」


狩人のババアが真面目な顔で言い出した。


「緊急事態?もう一体の魔王でも現れたか?」


「違う。でもそれより厄介だね。」


ババアの話を聞いていくと、どうやら蝗害が発生したらしい。

森を荒らしまくっているらしい。

でも、俺にどうしろって言うんだ。


「狩人達には毒をとってきてほしいのさ。」


「毒?」


「そう、バッタどもは共食いするからね。」


「それでその毒はどこにあるんだ?」


「最奥さ。他にも色々あるけどね。」


俺の担当は故郷の森の最奥で、毒を採取してくることらしい。

故郷の村のためだ、全力でやるか。

今回は、グリを連れていくことにした。グリは虫も食べるし。バッタの魔物ぐらい食べるだろ。


村に戻り、一応住民を街に避難させといた。

金は俺が持ってやった。こう言う時のために貯金してたしな。

森の最奥で、指示された植物を採取しておいた。

この村の森の最奥はそこまで奥じゃないしな。採取できるだけ採取して、これをババアの元へ持ってこうとした時、グリが空を飛んで、俺に叫びかける。


「ピー!!!」


「どうした?グリ?お腹減ったか?」


「ピー!!」


かなり焦ってる。しょうがないから、グリの後ろについて行き崖を登ると、黒い雲が村の方へ近づいている。

目に魔力を通して、凝視するとバッタだ。それも大群のバッタだ。


「俺にちゃんと、捕まっとけよグリ。」


俺は片手で、グリ片手で槍を持ちながら村に全速力で近づく。

1時間もあれば、村に到着する。速さだけを最優先すれば、森の中でも時速50kmは出せる。


「ぎりぎり、間に合ったか。」


黒い雲は、後10分もあれば、村に到着するだろう。


「村のみんなを避難させといて正解だったな。」

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