戦争

決闘。

色々な決闘が世の中に存在するが、今回の決闘は戦争の代理。

つまり、後腐れのないように、相手を殺さねばならない。

これは、絶対ルールなのだ。

それなのに俺は1人。

対して相手は5人。聞けば相手の4人はレベル2で、最後の1人はレベル3らしい。

俺、死んだな。

遺書書いといてよかった。

今回の会場、コロシアムみたいな場所に入ると、途轍もない熱狂に包まれていた。

人がゴミのようだ。


「俺のアウェイ感半端ない。」


何故か、俺への声援が聞こえない。

こんなに声があるのに。なんで、こんなに嫌われているのだろうか?

今回の戦いはお前らのためでもあるんだぞ。


「よう、お前がリュウか?一人で俺達を相手にしようなんてふざけたやつか?」


ケモ耳の青年が話しかけてきた。


「自分もそう思います。」


「しかも、まだガキと来た。お前今からでも走って逃げたほうがいいんじゃねぇの?」


「それは、あなた達を殺してからでも遅くないですよ。」


「すぐに殺してやるから、安心しな。」


「お手柔らかに。」


なんか、俺が舐めプしてる雰囲気になってるけど、そうじゃない。泣けてくる。


今回は、獣人の帝国の皇帝と、四大公爵家当主が揃い踏みしている。

すごい組み合わせだ。お嬢様達が手を振ってるけど、お前らのせいだからな。

フィーネちゃんとマーク君は頑張って手を振ってる。可愛い。


それから、今回の決闘におけるルールを確認し合い。声高々に決闘の開始を宣言した。

俺が勝つと、ミスリル鉱山の権利が帝国と7:3に。俺が負けると逆になる。

ミスリル鉱山は大金を産むので、どちらも10、0にはしたくなかったのだろう。

そんな大事な戦いに私怨を混ぜるとは何を考えんだ。


審判が出てきた。


「それでは、お互い一人代表を。」


こちらは俺しかいないから、俺が出るしかない。

相手はさっき話しかけた青年が出てきた。

噛ませ犬だな。


「それでは、両者離れて。」


俺は槍を噛ませ犬君は剣を構えて、離れる。

会場はさらに盛り上がりを見せる。


「初め!!!」


会場のボルテージは最高潮になる。

かませ犬君はそれに合わせて、全速力で突進してくる。

獣人は身体能力が高く、五感に優れている。

戦闘種族なのだ。その分、魔力は少ないが。

相手が攻めなのに対して、俺は守り。

5人もいるのだ、体力温存しなくちゃな。


「守ってるだけじゃ勝てねぇぞ!!」


知らん。

咬ませ犬君の言葉を無視して、守る。ただ、守る。

5分は守ったであろう。相手が消耗し出した。

だから、攻撃がほんの少しだけ荒くなる。


そこを見逃さない。

ローブに魔力を通して、槍の気配を一瞬隠す。

しかし、この一瞬で十分なのだ。

プロボクサーのジャブは分かっていても避けられないという。それは、神経が手足の伝達する速度の限界があるからだ。

この世界の人間はそんな限界超えられるんだが。

今回の場合は、一瞬。瞬きするほどの隙、これだけで俺と相手の実力差なら十分。

神速突きを咬ませ犬君の喉にお見舞いして、

殺す。

体力温存のための作戦。それは、カウンター狙い。

獣人は攻撃的な戦い方をする奴らが多いから、丁度いい。


咬ませ犬君が沈黙して、同様に会場も静まり返る。

次の瞬間、割れるばかりの声援が俺を称賛する。

やっぱり、みんな戦いを見に来ただけのお祭りバカか。


「審判、次を。」


雑魚相手にウォームアップも済んだし。

早く終わらせよう。帰って寝たい。


それから、後ろに行くほどに相手が強くなっていった。

槍使い、斧使い、暗器使い。

レパートリーが多いな。

結局、最後のレベル3の大男が現れるまで、

3時間もかかっちまった。

クソ疲れているんだけど、意味わからん。


「よもや、ここまでとはな。」


レベル3の大男が会場に入ってきた。


「すぐに、あなたも送ってやりますよ。」


「出来るのか?今のお前に。」


「とりあえず、トイレ休憩ください。」


「無理だな。1人で来たお前が悪い。」


「それもそうですね。」


決戦

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