はち

突如、お嬢様とお勉強勝負が始まった。


「6科目のテストを一つ制限時間は60分よ。」


「いいですよ。」


科目は算術、歴史、政治、経営学、簿記論、農業。

アンダーハート公爵に必要な教科だ。

簿記1級取得後、中小企業診断士の勉強をしていた俺にとって、得意科目ばかりだ。


一つの科目が100点満点。

俺の合計点数は588点。歴史の88点以外満点だ。

ジョセの点数は542点、全教科90点を超えてるが、俺には負ける。まあ、9歳ならこれぐらいできてすごい優秀だよ。


ジョセが泣いた。泣いちゃった。


「僕の勝ちですね。」


「うるさい。話しかけんな〜」


「落ち着いてくださいよ。話に続きがあるんですから。」


「私は頑張ってたのに〜」


「新しい教科書を作るんですよ。」


「うるさい。リュウのバカ。」


「今までの教科書は文字だらけだったでしょ。僕が暇つぶしに漫画を作ったんですよ。」


「漫画?」


「読んでみます?」


この世界に来て、器用さと素早さが上がったおかげだろうか。途轍もない速度で途轍もなく上手な絵が描ける。

お嬢様は涙を拭き取って、漫画を読み続ける。


「これの続きは?」


「これから作ります。」


「なるほどね。これが教科書ってわけ。」


「そうですね。分かりやすかったでしょ?」


「そうね。頭に残るわ。というか早く続きが読みたいわ。」


「落ち着いてくださいよ。教師陣が頑張ってシナリオを練ったますから。僕は漫画係ですね。」


「いつの間にそんなことしてたのよ。」


「僕は昼寝するので、夜は暇なんです。その時に作った漫画を見せたら、すごい食いついてきましてね。」


「ふ〜ん。フィーネの教科書は漫画ってこと?」


「そうですね。まずは絵本ですけど。」


「いいんじゃない。それに次は負けないわ。」


「しょうがないですよ。お嬢様はお勉強以外にやることが山積してますからね。」


「あんただって、色々やってるじゃない。」


「お嬢様は、いやいや勉強してたでしょ。僕は楽しんでしてたんですよ。」


「何が楽しいのよ?」


「どうやって、フィーネちゃんに教えよっかな〜とかですね。」


「あっそ。」


「もちろんお嬢様のことも思ってましたよ。」


「ふ〜ん。」


「まあ、それでも今回は僕の勝ちなので。」


「分かってるわよ!!」


勝ち誇った。かなり大人気なかったが。

今日は頭を使って疲れたので、フィーネ達とお嬢様も含めてお昼寝した。

泣き疲れたのだろう。


「今日は、何を狩ったらいい?」


「今日は、特に何もないさね。適当に狩ってきな。」


「分かった。」


今日は狩りを始める時間が遅かったので、オーガと素手で殴り合って、軽い試練を乗り越えて、ステータスを上げといた。死ぬかと思った。


「今日はボロボロだね。何がいたんだい?」


「オーガと素手で殴り合った。いい勝負だったぜ。」


「バカだね〜。でもそういう強くなり方もあるから、気をつけるさね。」


「分かってる。」


2週間後、


「今日から、蜂の季節さね。」


「あのでかい蜂か?」


この世界の蜂は蟻と同じででかい。中学生ぐらいのサイズはある。


「そうさね。あんたは甘いものが好きだったろ?」


「まあな。」


「あいつらの毒は強力だから気をつけるんさね。くれぐれも夜には近付いたらダメさね。」


「なんでだ?」


「蜂は夜にって巣に近づいたやつにはいつもより、凶暴になるんさね。」


「俺の隠蔽でもダメか?」


「ダメさね。あんたも隠蔽を見破れるだろ?それと一緒さね。」


「そうか。矢でコツコツ殺してくよ。」


森の奥に進んでいくとクソでかい蜂がいた。とりあえず、弓でぶっ殺しておく。

この死体を持って帰ると。


「これは進化した蜂さね。」


「進化?普通の蜂じゃなく?」


「あんた森の奥にいたんだろ。最奥にはもう一段階大きい蜂がいるんだが、

それでもこいつは森の奥にいる蜂さね。」


「公爵家にある蜂蜜は最奥の蜂蜜か?」


「そうさね。腕がいい狩人数人で取ってきてるのさ。」


「へー。まあ、俺はこいつで我慢しとくよ。」


「それがいいさね。」


翌日、この蜂がいた場所の近くで蜂の巣を見つけ数日かけて、蜂を殲滅して、残りは女王蜂のみになった。優しく殺した。弱ってたし。

でかい巣を持って帰ると、蜂の毒と針も売れたので合計2000万リンになった。

なんて稼ぎだ。

収納袋中のために貯金しとこ。1億あったら買えるらしいしな。

蜂の季節に俺は1億5千万リンを稼ぎ出し、収納袋中の中でも収納の範囲が広いものを買った。公爵家の伝手で。

一軒家二つはいるらしい。


「フィーネこれを使って料理しようか。」


「はちみつ?」


「そうだ。俺が取ってきた蜂蜜だ。」


「すごいです!!」


「まあな。」


マークもすごい褒めてくれた。ハニートーストを作った。もちろんサイズは小さめにな。


「美味しいわねこれ。」


「甘い物好きなら、みんな好きですよ。」


「そうね。明日の朝ご飯これがいいわ。」


「料理人に言っといてください。」


「任せたわ。」


専属騎士達の仕事だ。

ハニートーストをパクパク食ってたが、急に真剣な顔になった。

真面目だなぁ。


「それで、勉強の方はどうですか?」


「順調よ。前より物覚えが良くなったわ。」


「そうですか。フィーネちゃんも成績はいいですし。成功ですね。」


「そうね。毎日に余裕が出てきたわ。」


「だから、最近可愛いんですね。」


「そう?」


「フィーネちゃんが。」





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