日常

「今日も盛況ですね。」


「そうね。みんなお祭り好きだから。」


「おにいちゃん。おかしたべたいです。」


「ぼくも!」


フィーネとマークが膝の上に乗せて、試合を観戦する。

二人とも、お菓子好きだからな。

試合は前回と同じように進み、遂に護衛の隊長と入賞者5人が戦う時になった。


「ようやくですね。」


「長いわよ。強いか弱いかなんて、戦う前にわかるんでしょ?」


「消耗度合いも含めて試験なんですよ。」


「そうなのね。」


前回同様、護衛の隊長さんが無双してた。


「今年も決まりませんでしたね。」


「そうね。」


「もう少し、興味を持ちましょうよ。みんな頑張ってるのに。」


「結果を出しなさいよ。リュウなら勝てる?」


「森の中で、罠を張ってそこにハマったら勝てます。普通に戦ったら普通に負けます。」


「やっぱり強いのね。」


「そうですね。銀1級ですよ。あの人。」


「そうなのよね。バカだけど、あいつが専属騎士でいいんじゃないの?」


「あれぐらいの強さなら、どこでも引くて数多ですよ。バカですけど。」


「らしいわね。なんだかんだあのバカとも長い付き合いだわ。4年かしら。」


「長いですね。なんかプレゼントあげたらいじゃないですか?」


「お父様から、この歳まで私を守り抜いたから、勲章をもらえるのよ。

私の護衛騎士みんなに。」


「へ〜。でも寂しいですね。僕の料理の味見役が減ってしまうなんて。」


「新しい護衛に味見させればいいでしょ。」


「そうですね。」


「フィーネもおかしたべたい!!」


「ぼくも!!」


二人は俺の膝で暴れるので、可愛がった。

お菓子もあげた。今日は暑いから、シャーベットかな。


「料理のスキルが欲しいです。」


「あんた、4つもスキルあるんでしょ。贅沢すぎよ。」


「超えた試練が大きいですからね。」


「そうね。9歳で魔王倒したやつなんて、歴史上でもいないんじゃないかしら。」


「最年少で勲章をもらいましたから、僕は有名人です。歴史書にも名前が載ります。」


「載るでしょうね。でも私と結婚するにはまだまだ、勲章が足りないわよ。」


「後、どれくらい必要なんです?」


「そうね。魔王10対倒したら、私と結婚できるわ。」


「無理じゃないですか。」


「それぐらいの功績ってことよ。なにか頑張りなさい。」


「世界一の料理を作って、勲章をもらいます。」


「それもいいわね。面白そうだわ。」


大会が終わって、何もない日常が一月はたった頃、

ジョセの専属騎士が公爵様によって発表された。今までの大会で最も優秀だと認められた5人が専属騎士になった。女子3人男子2人とジョセの意見が通ったのだろう。


「今日は宿が手狭ですね。」


「引き継ぎをしてるのよ。」


いつもの護衛騎士5人と、新しい専属騎士5人が引き継ぎのためついてきていた。


「味見役が増えて嬉しいです。いろんな意見が欲しいですから。」


「今日は何作ったの?」


「カレーです。」


「カレー?」


米みたいな奴を街で見かけて買い占めた。家畜の餌らしい。

これに、香辛料をふんだんに使って、カレーもどきを作った。


「これ、食べ物なんでしょうね。」


「大丈夫ですよ。美味しいですから。」


うんこに見えるのだろうか。全然手をつけない。護衛の隊長さんが先陣を切って食べて、うまい、と叫んでくれた。よかったこの人バカで。

ジョセも恐る恐る食べる。


「美味しいわね。複雑な味がするわ。」


「そうでしょうとも。たくさん種類作りましたから、一口ずつ食べてくださいね。」


ちなみに、これからジョセが10歳になるまでは専属騎士に引き継ぎさせるらしい。色々手狭だろ。


「フィーネちゃんにも護衛がつくんですか?」


「付くわよ。私よりは人数が少ないけど。」


「これで、フィーネちゃんと街に行けますね。」


「行けないわよ。フィーネは公爵家の次女なのよ。勉強が厳しくなるわ。」


「なりませんよ。僕が勉強を教えて、その都度テストして、点数が足らなかったら厳しくお勉強ということになりましたから。」


「何よそれ。リュウって勉強できるの?」


「お嬢様よりは出来ますよ。」


「今の言葉、リュウでも許せないわ。私がどれだけ必死に勉強してきたと思ってるの。」


ジョセが声を荒げる。


「じゃあ、勝負します?」


「望むところよ。」


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