うう

翌日、フィーネちゃんとマーク君が泣きながら抱きついてきたので、可愛がってあげた。

俺がいかに、魔王を殺し、村を守ったのかを語ると、二人は目を輝かせていた。

ジョセには怒られたけど。


「ステータスオープン」


レベル 2


力   :0

身の守り:0

素早さ :0

器用さ :0

魔法力 :0


スキル 

槍術 Eーーー槍を武器にすると、全ステータス少し上昇。

弓術 Gーーー弓を武器にすると、全ステータス極微上昇。

魅力 Gーーー魅力が極微上昇

耐性 Gーーー状態異常耐性が極微上昇


「レベルが上がってる。スキルもたくさん増えてるし。」


9歳でレベルが上がるのは速い方なのか、遅い方なのか。多分速い方だろう。

今回の試練は大きい試練だったから、たくさんスキルが生えたのだろう。


「リュウ、今度あんたに勲章が渡されることになったわ。」


「勲章?」


「魔王を倒したものには漏れなく勲章が与えられるのよ。」


「でも、倒したのはゴブリンの魔王ですよ。」


「関係ないわ。あなたがいなかったらどんな被害が出たのか、分からないしね。」


「その勲章って何か意味あるんですか?」


「自慢できるわ。」


「それだけですか?」


「そうよ。勲章なんてそんなもんよ。」


「今回頑張った僕に褒美とかないんですか?」


「あるわよ。名誉騎士になれるわ。」


「名誉騎士?」


「そう、貴族になれるの。」


「しがらみとかは?」


「ないわよ。だから名誉騎士なの。」


「それって、何かいいことあるんですか?」


「貴族になれるのよ。私と結婚できるわよ。」


「なるほど。だから、お嬢様は機嫌がいいんですね。」


「当たり前よ。ただ、私と結婚するには功績がまだまだ足らないけどね。」


「それで、式はいつなんですか?」


「明日よ。」


「明日?速くないですか?」


「あんたが2週間も気絶してからでしょ。」


「そんな無茶苦茶な。」


「とにかく、今日は式典で恥ずかしくないように礼儀の勉強よ。」


「分かりました。」


ジョセがいつにもなくやる気になっていた。フィーネ達とお昼寝したかったのに。


翌日


「あんたが決闘することが決まったわ。」


「はい?」


「だから、決闘よ。」


「今日は式典でしょ。僕が主役の。」


「あんたと、オーガの魔王を殺した騎士の二人が主役ね。」


「なんで、決闘なんてするんですか?」


「あんたが本当に魔王を殺したか、疑ってる貴族が大勢いるのよ。」


「それで?」


「同年代で一番強い子とあんたを戦わせたいんですって。」


「その子は誰ですか?」


「私の筆頭許嫁よ。」


「だいたい読めてきました。そいつのことボコボコにしていいんですか?」


「当たり前よ。今回は名誉騎士がかかってるんだから、恨まれないわ。」


「分かりましたよ。ボコボコにします。」


なんか急に決闘が決まった。


ーーーーーーーーーーーーー

騎士団の一番広い訓練場にはあらゆる貴族、騎士、平民がごった返していた。

主役の俺を見にきたのだろう。


「君がリュウ君かい?」


金髪の偉そうな少年がいた。こいつちょっとリュウガに似てるな。腹たつ。

あいつは、今回の戦争で頑張ってたから、少しは見直したが。


「そうだけど、お前は?」


「なんて、礼儀のなってないやつなんだ。それは置いといて、嘘を認めるなら今のうちだぞ。」


名乗ってくれなかった。


「嘘?」


「魔王を倒したって嘘だよ。」


「俺の収納袋から、魔王の死体を騎士の前で出したはずなんだが。」


「それは、君が魔王を倒したという証明にならないだろ。」


どうしても、嘘にしたいらしい。

さっさと本当のことを言え。


「そうか。それで、あんたはなんで俺と決闘するんだ。」


「簡単さ。僕が勝ったら、二度と僕の花嫁のジョセフィーネに近づかないでくれ。」


「分かった。それで行こう。」


「みんな!!聞いたか!!ここにいるみんなが証人だ!!!」


会場を煽る。

会場はかなりの盛り上がりを見せる。俺がなんかアウェイ感なんだが、

今日の主役は俺なのに。


「さっさとやろうぜ。」


「そうだね。君に恥をかかせないとね。審判。」


審判の男は、俺たちに離れるように言い。

号令をかける。


「はじめ!!!」


会場が一気に盛り上がる。

俺は全速力でリュウガ似のやつに向かっていき、顔をなぐるフェイクをする。

相手はまんまとフェイクに引っかかったので、全力の金的をお見舞いする。

あまりの痛さに顎が下がったので、顔に膝蹴りをして、前歯と鼻の骨を折る。

最後に横蹴りで肋骨折ってやった。


会場が静かになる。主役の俺が勝ったんだから、盛り上がれよ。


「審判?」


「え?!ああ!勝者、リュウ!!」


俺は勝ち誇りながら会場後にした。

全然盛り上がって無かった。

ふざけんな、俺が主役だぞ。


「良くやったわ。」


「全然、会場盛り上がって無かっんですが。」


「貴族達がリュウの噂を流しまくってたなよ。」


「悪い噂を?」


「そうね。ちなみに私はリュウに誑かされた可哀想なお姫様。」


「そうですか。まぁスッキリしたのでいいです。」


「そうね。夜は授賞式があるから、ちゃんと着替えとくのよ。」


授賞式はそつなく終わり、

オーガの魔王を倒した騎士は、白羽なんとか賞をもらい、俺は赤羽なんとか賞をもらった。

流石にオーガの魔王を倒した功績の方が大きいらしい。当たり前だな。


ちなみに、この国に国王はいないので、授与するのは4代公爵当主のおっさん3人とおばさん1人に授与された。

当主達は、後で被害の支援について話し合うらしい。

魔王はどこの領地に現れるか分からないので、お互い様らしい。


「にいちゃ、にいちゃ。」


「なんだいマーク?」


「だっこ、だっこ。」


「分かったよ。」


式典で、同年代の友達を作ろうとして、マーク君は疲れたらしい。俺が抱っこするとすぐ寝ちゃった。

寝ちゃったマーク君を執事に任せて、フィーネちゃんとジョセとダンスを踊った。

他の子供で俺に話しかけてくれるのは四大公爵家の長女や、その兄弟、姉妹ぐらいだ。

今日の主役は俺だぞ。オーガの魔王を倒した騎士のおっさんなんて、人の群れができてるのに。


「明日、ノーリー君に自慢してやろ。」

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