ううう

要塞と言っても、分厚く高い壁で小さい範囲を囲っているだけ。

ちなみに扉は存在しなく、ただただ分厚い壁があるだけだ。

外からは高い梯子を使うか、ステータスの高い人におぶってもらい壁を乗り越える。

ただ、内側には階段があり、それを登ると頂上に辿り着く。

高さ10m厚さ5mはあるだろう。


ゴブリン達が要塞に辿り着くまでになるべく数を減らすべく、村の守衛達と狩人達でゴブリン達を襲撃して、徐々に数を減らしていった。

しかし、焼石に水とはこのことで、ただ、武器を消耗しただけだ。


なので、守衛達も弓に切り替えて、矢を打ちまくった。どんな下手なやつでも絶対に当たる。

矢がなくなると、俺が木を切ってきて、収納袋に入れて、要塞に持ち帰る。

そして、闘えない村人達が木を加工して矢を作る。


「ところで、矢の先に塗ってるこれって何です?」


「毒らしいぞ。ジジイが塗っとけって。」


村の周りから、尋常じゃない量の草をとって、すりつぶして、矢の先に塗られていたのは毒らしい。

NPCジジイに聞くと、ゴブリンは共食いの習性があるから、毒矢で殺すと、更に多くのゴブリンが殺せるらしい。

さすがNPCジジイ、ゴキブリホイホイみたいな考えだな。


一日目の昼にはゴブリン達は要塞にたどり着いた。

要塞の上から、村人の中で弓が弾けるものは男女、大人子供問わずにゴブリンの大群に向かって弓を弾き続けた。

すぐに死体の山が出来上がる。

壁が分厚いのがいいのだろう。要塞はびくともしない。

相手がゴブリンで良かった。

時々、武器ゴブリンとゴブリンメイジが混ざっているので、俺はそいつらを優先的に殺していった。

魔力回復薬ジョセから500本もらっておいて良かった。ずっと魔法矢を打ち続けられる。

定期的に俺は砦を抜けて、木を大量に伐採して、要塞の中に輸入する。

体力無茶苦茶使うんだが。

昼ごはんは戦えない奴らが用意した食べ物を食った。

うまくはないが、疲れた体に染みるぜ。

午後も同じように、矢でゴブリン達を殺しまくって、

死体の山は、俺が降りて、そこら辺に散らしとく。村ものすごく血生臭くなった。


日が暮れてくると、今まで寝ていたアリシアパパと交代する。2交代制だな。

夜は子供の起きる時間じゃないぜ。

俺は、疲れ切っていたのだろう。飯を食ってからは、泥のように寝た。


「おはよう、アリシア。」


起きるとアリシアが隣で熟睡していたので、頭を撫でて軽くキスしてやる。

こいつを見てるとやる気が出てくる。

朝ご飯を、収納から取り出して、パクパク食べる。これはフィーネ達と一緒に作ったサンドイッチだったな。

夜担当の人たちと交代して、朝、昼担当の人たちも続々と起きてきた。


「なんじゃこりゃ。」


要塞が結構削られてる。よく見ると、ゴブリンの死体だけでなく、あらゆる魔物の死体がある。


「ゴブリンの血で寄ってきたのか。最悪だな。」


魔王の習性としては、同族を統率してなぜか人間を襲うこと。

もう一つは、魔王の群れは他の魔物と敵対しないこと。クソすぎる。

俺は、周囲からでかい石と木を拾ってきては、要塞を修繕し続けた。

夜に修繕はできないからな。応急処置ってやつだ。


「昨日より、ゴブリンメイジと武器ゴブリンの割合が多くなってる。しかも、オークまでいるぞ。」


オークは力だけは強いので、ほっといたら砦が破壊される。なので優先的に俺が殺しまわる。

俺の仕事量多すぎなんだが。みんな必死だから文句言えないが。

必死すぎて、気づいたら夕方になっていた。ご飯は適当に収納に入ってたもの食った。俺が飯休憩で抜けたら、やばいしな。


アリシアパパに任せて、俺は倒れ込むように寝た。気絶と言って過言でもない。


目が覚めて、すぐさま砦の外を見ると、砦は半壊していた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る