11

「ババア、おすすめの武器屋はどこだ?」


「公爵お抱えの武器屋に行けばいいよ。あんたなら売ってくれるだろうよ。」


「軍資金は1000万だが、大丈夫か?」


「大丈夫よ、昨日の訓練大会で、荒稼ぎしたらしいね。全くなんて奴だい。」


「騎士たちは名前覚えてもらって喜んでいたぞ。」


「仕切り屋は泣いてるだろうよ。」


公爵お抱えの武器屋に向かった。


「ここで、武器を売ってくれると聞いたんだが。」


「お前が串刺しのガキか。何が欲しいんだ?」


ドワーフの髭親父が出てきた。

怖そうなので、敬語にしとこ。


「ローブが欲しいです。1000万ぐらいの。」


「なら、うちじゃなくて防具屋にいきな。うちは武器屋だぞ。」


「そうですか。その防具屋ってどこですか?」


「向かいの店だよ。といううかお前の武器見せろ。整備してやるよ。」


「無料で?」


「無料でだ。」


短槍を見せて、髭だるまに渡す。


「どうですか?」


「日々の手入れはいいな。乱暴に扱いすぎて少し歪んでいるから、ちょっと時間をくれ、その間に防具屋に行っとけよ。」


「分かりました。一応弓も見といてください。」


「応よ。」


それから、向かいの防具屋に行って、ローブを物色する。


「1000万ぐらいのローブってあります?」


「あるわよ。こっちにおいで。」


綺麗なエルフのお姉さんが店員だ。嬉しいな。


「この緑色のローブですか?」


「そうよ。このローブは魔力の通しやすさだけじゃなくて、隠蔽の魔法もかけられるの。」


「どれくらいの魔力消費量で?」


「大体、1時間魔力消費50ぐらいかしら?」


「結構食いますね。」


「そうね。でも狩人のあなたならピッタリな能力でしょう?」


「分かります?」


「匂いと歩き方でね。」


「そうですか。じゃあこれ買います。少し、サイズを合わせてください。」


「分かったわよ。少し待っててね。すぐ終わるから。」


エルフのお姉さんは俺の体をペタペタと触り、店の奥まで入っていった。

その内に、武器屋の髭だるまへ戻る。


「調整できましたか?」


「出来たぜ。持ってみな。」


「おおっ!」


ものすごく振りやすい。整備とはここまで変わるものなのか。

弓も幾分か弾きやすくなっている。



「近いうちに、武器を新調しな。お前の強さに合った武器を買うんだな。」


「そうですね。お金ができたらそうします。」


「応。」


髭だるまと別れてから、ローブを防具屋で装備して、いつも通り、訓練場で訓練した。

いつもより、調子が良くて10回戦って6回は勝った。

気分良く、フィーネと庭で昼寝した。今日はいつもより頑張ったから、疲れたしな。

1時間ほど昼寝して起きたら、フィーネはまだ眠っていた。

可愛く俺に抱きつきながら寝てたので、しょうがなく起きるまで30分程、一緒に寝てやった。


「起きたか?」


「リュウおにいちゃん?」


「そうだ。俺は仕事に行かないといけないから、また夕方にな。」


「うん。またね。」


軽く頭を撫でて、メイドさんに全振りしとく。


「ババア、いい狩場を知らないか?」


「そんなもん自分で見つけるんだよ。」


「そうか。じゃあ、鎧猪の出る場所だけでいい。」


「それは、ここれへんさね。」


ババアは俺の地図にしわくちゃな指で円を描く。


「深いな。」


「しょうがないさね。その分高いのさ。」


「そうだな。じゃあ、行ってくる。」


「ああ、気をつけな。」


「忘れてた。今月のノルマはなんだ?」


「ゴブリン100,ホブ300,オーク200でいいさね。」


「簡単だな。」


「間引きはそんなもんさね。あんたは期待の新人だからね。少しずつでいいさね。」


「そうか。」


森の奥に行くまでにゴブリン達をノルマのために殺しとく。


「あれが鎧猪か。」


大きさとしては日本の猪と変わらないが、硬さが尋常じゃない。だから、鎧猪と呼ばれている。

硬化の魔法が使えるらしい。


「隠蔽効果のローブを手に入れてよかった。」


近い距離で、弓でいころした。鎧猪は油断していたのか、矢が脳天を貫き即死した。

死体、丸ごと収納袋に入れて、帰りに適当に魔物を間引いて、狩人の小屋に向かった。


「ババア、これを解体してくれ。」


収納袋から、鎧猪を取り出す。


「裏にいきな。」


獲物はババアが解体してくれる。俺もできるが、ババアの方が何倍も上手い。

解体量にいくらか肉をあげて、俺が食う量以外は売った。

2万リンになった。他の魔物も合わせて、今日の稼ぎは7万リンだ。


狩人小屋を出ると、フィーネが抱きついてきたので、今日はハンバーグを作ることにした。フィーネは素手でお肉をこねることが楽しいらしい。

作ったものを、公爵家の収納袋に入れて、夜ご飯に食べるらしい。

今日は、レーズンの入ったパンを餌付けした。パクパク食べてた。

俺は帰って、宿の台所を借りて、猪鍋を作り、部屋に戻って食べていた。


「何を食べているの?」


「鎧猪の鍋です。」


「鍋?」


「食べてみますか?」


「うん。」


隊長の騎士もこいつも美味そうに食ってた。


「油っぽいわね。」


「そういう時は、入っている野菜だけ食べればいいんです。鍋には単位がないですから。」


「単位がない?」


「自分の好きな量で自分の好きな量食べればいいんですよ。」


「なるほどね。気に入ったわ。そういえば今晩の夕食はハンバーグだったけど、あなたが作ったの?」


「フィーネちゃんと料理人と一緒に作りました。」


「弟が嬉しそうに食べてたわ。」


「弟?弟がいるんです?」


「そうよ、次期当主の弟。まだ、2歳だけど。」


「小さいですね。見たことありませんが。」


「もう少し、大きくなってからお披露目会をするのよ。」


「そうなんですね。2歳といえば可愛い盛りですね。可愛いですか?」


「フィーネと同じで甘えん坊なのよ。」


「ジョセお嬢様は良いお姉さんなんでしょ。」


「そうかもね。」


最近、この世界の将棋みたいなボードゲームをしながら、会話をする。

最初は俺がボロ負けしてたが、最近は10回に1回は勝てるようになってきた。

ジョセは負けず嫌いので、勝つまで帰らない。


そういえば、村に帰らないと。


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