魔力回復薬10本。

ポーション5本。

一応溜めといて良かった。備えは偉大だな。


後ろのガキどもが邪魔すぎて、持久戦みたいになってきやがった。


「おい、ガキども早く逃げない、お前らを見捨てるぞ。」


ガキどもは、この言葉に現実に戻されたのだろうか。

やっと動き出した。

大人を運びながらだから、無茶苦茶遅いが。


「それで良い。これで俺も余裕ができる。」


ガキどもを魔法は狙う。俺はガキどもの近くに行き、それをローブで守る。


「止まるな!!死にたいのか!!」


ガキどもは魔法に驚き。固まっている。

しかし、少し、距離ができた。

俺は短槍を地面に刺し、収納袋から弓と矢を取り出し、火の玉の来た方を狙撃する。


「姿は見えないが、射線は通っているということだろ。」


次に、武器オーク達を狙撃する。

弓は矢に魔力を付与させることで、貫通力が増す。

弓を持っていて良かった。村の奴らに助けられたな。

武器オーク達を弓で数を減らして行く。

100本は打っただろう。もう矢も弾切れだ。

魔力回復薬も残り、1本だ。

周囲にはオークの死体しかない。


「ガキども、ここから動くな。中を見てくる。」


動けないガキどもを注意しといた。


森の中に直線的に入ると、杖を持ったゴブリンの死体があった。


「良かった。当たってたか。」



死体はゴブリンシャーマン。

魔法を使えるゴブリン、ゴブリンメイジの進化系だ。

こいつが隠蔽の魔法で、武器オーク達を隠していたのだろう。


「とりあえず、全部の死体は持ち運べないから、どうするか。」


とりあえず、ガキどもを街まで運ぶことが最優先なので、ゴブリンシャーマンの耳だけ切り取って、ガキどもの方へ向かう。


「俺が、大人を持ってやるから、街まで走るぞ。それくらいはできるだろ。」


ガキどもは何か言いたそうにしてたが、俺が有無を言わせずに走らせた。

遅いガキどもに合わせて、街に着く頃には、夕方になってた。


公爵の屋敷まで、直線距離で進み、門番に事情を伝える。


「街までの道で、魔物に襲われてな。こいつらを保護してやってくれ。」


「君は、狩人の。」


門番は俺の顔を覚えていた。

噂されてて良かったな。

そんな門番は、血まみれの俺を訝しむ。


「後、ここにゴブリンシャーマンと武器オークが出たから、死体を回収するよう、狩人のババアに言っといてくれ。」


俺は、門番は俺に何かを話しかけてきたが、それに応える余裕はない。

収納袋から、地図を取り出して、最低限のことを伝えて、



俺は意識を手放した。


魔力回復薬で魔力は回復しても

ポーションで傷は治っても、体力と集中力は減り続ける。

正直、限界だったのだ。8歳の体でここまで、頑張れたと自分を褒めてあげたい。



ーーーーーーーーーーーーーーーー

「知らない天井だ。」


本当に知らない天井だ。俺がいつも泊まっている宿の10倍は豪華だ。


「とりあえず、ここがどこ確認するか。」


高級な布団を出て、扉を勢いよく開けると、何かにぶつかった。


キャ!!


幼女が転がっている。俺が勢いよく扉を開けたせいで。


「おい、大丈夫か?」


「だいじょうぶじゃ、ありません!!」


幼女が鼻血を出しながら怒ってきた。


「どこが痛いんだ?」


「ぜんぶです。からだじゅういたいです!!」


「これを飲んだらいい。痛みが引くよ。」


幼女を抱けあげて、ポーションを収納袋から取り出し、鼻血も布で、止めてあげる。

村で、自分より年下の面倒を見たことがあるから、それが良かった。


「こども、あつかいしないでください!!」


「痛いのに泣くのを我慢できてえらいな〜。」


「だから、こどもあつかいしないでください。」


幼女に怒られても、あやし続けた。

すると、痛いのを我慢してたのだろう。幼女は泣き出した。


「わたしは、こどもじゃないのに〜」


顔をぐちゃぐちゃにして泣くから、ハンカチで拭いてやった。

そうして、10 分で泣き止んだ。


「これ食べるか?」


収納袋から、小ぶりのアップルパイを取り出して、食べさせたら、パクパク食べた。


「泣いた後は、甘いものに限る。そうだろ?」


「そうですね。あまいものはすきです。」


「お前もしかして、ジョセの妹か?」


「そうです。ジョゼお姉様の妹のフィーネリースです。フィーネでいいですよ。」


「そうか、ところでここばどこだ?」


「ここは、どこか分かるか?」


「おやしきです。わたしたちのいえですよ。」


「そうか。それでジョセがどこにいるか分かるか?」


「お姉様はおべんきょうちゅうです。」


「そうか。フィーネば暇か?」


「はい。ひまです。わたしのおべんきょうはおひるまでですから。」


「そうか、じゃあ俺と一緒に狩人の小屋まで来てくれるか?」


「いいですよ。つきあってあげます。」


フィーネを下ろして、手を繋ぎながら、狩人の小屋まで案内してくれた。


ババアは驚いてた。


「それで、いくらになったんだ?」


「そんなことより、なんでフィーネ様がいるんだい?」


「そんなこと?俺が命懸けで狩った獲物がそんなこととは。悲しいね〜。フィーネも悲しいだろ?」


「かなしいです。リュウおにいちゃんはいのちをかけて、こどもたちをまもったとききます。」


「だよな。フィーネはかしこいな〜。」


頭をわさわさ撫でてあげる。


「こどもあつかいしないでください〜」


抵抗するが、頭を撫でられて嬉しそうだ。

ついでに、別のお菓子をあげたらパクパク食べてた。

俺の武勇譚を道中聴かせといて良かったぜ。


「それでいくらだ?」


「なんで奴だい。フィーネ様まで手懐けるとは。」


「まあな。」


今度は優しく撫でてあげると、目を細めて抵抗もしない。


「それで、討伐報酬だが。武器オークのお肉は回収出来なかったよ。死んでから解体まで時間がかかりすぎた。」


「それ以外は出来たんだろ。睾丸も武器も。

それで、討伐報酬を足していくらになる。」


「80万リンだね。」


「もう一声。」


俺はフィーネを抱っこして、ババアに向ける。


「90万リン。これ以上は無理さね。」


これはしょうがない。ババアも中間管理職みたいなものなので、勘弁してやろう。

ババアから金を受け取った。


「それでいい。フィーネ、10万リンで何かお菓子を作ってやる。何が食べたい?」


「クッキーがいいです。こうちゃにあうクッキーがいいです。」


「そうか、じゃあ、ジョセが来るまで、一緒にクッキー作りでもするか。公爵の家なんだから材料ぐらいはあるだろ。」


「あんないします。」


フィーネは、嬉しそうに俺の手を引っ張る。

遊び相手ができて嬉しいのだろう。








  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る