格上。

「何もなかったらいいけどな。」


そんなことを思いつつ、南の街道付近のゴブリンを殺して減らしていく。


「とりあえず、今日はここまでだな。」


日が暮れてきたので、その日は高級宿に戻った。


「遅かったわね。聞いたわよ。訓練場で暴れたって。」


「いい勉強になりました。でも、次に訓練場に行くのは大会ですね。」


「そう。その時は見に行くわよ。」


「騎士見習いたちが張り切りますね。それより、最近、南の街道で何かありませんでした?」


「何かって?」


「ゴブリンが大量発生してるらしく、調査に行ったんですけど、何もわかんなかたんですよ。」


「そうね〜。何もなかったと思うけど。」


「そうですか。では何かの魔物が原因かもしれませんね。」


「そうね。気をつけなさいよ。」


「心配性ですね。大丈夫ですよ。」


「狩人は危険な職業だから。」


「確かにそうですね。だから給料がいいんですよ。自由にできる時間も多いですし。」


「私には給料は少ないように思えるけど。」


「そうですね。お嬢様にとってはそうかもしれませんね。それで、新作のお菓子を作ってきたんですが食べます?」


「食べるわ。」


俺が作ったのはベッコウ飴、食べ方を教えてあげたら、ペロペロなめてた。かわいいな。


それから、3日間街道を動き回っても、ゴブリンがいつもより、良く現れるだけだ。


「範囲が広いから、何処かに見落としがあるかもな。」


そう思いつつ、森を散策していると、


キャー!!


甲高い悲鳴が聞こえた。

何かあったのかと、全速力でそちらへ向かうと、村人達が引いている馬車が襲われていた。


襲っていたのは、武器を持ったオーク。

武器オーク。襲ってきた冒険者を返り討ちにして手に入れたと思われる武器と防具をしている。

運の悪いことに、数十匹以上の集団だろう。


「なるほど、あいつらがここらへんを荒らしてたから、ゴブリンが街道に出たのか。でも、なんで見つからなかったんだ?」


あれぐらいの集団なら、いくら範囲が広いといっても、見つけられるはずだ。


現場に到着した俺は、とりあえず、襲っている武器オークの頭を串刺しにした。

振り向きざまに1体、2体と瞬殺する。

武器オークといっても、鈍いオークの親戚だ。普通に遅い。

速度が売りの俺の槍の相手じゃない。


そうして、もう一匹殺そうとした時、奥から火の玉が三つ放たれた。

それらを、後ろの村人達を庇うように、ローブを広げ、魔力を通して火の玉を無力化する。

魔法の対処法を聞いといて良かった。


「魔法ということは、ゴブリンメイジかシャーマンか。村人ども、さっさと逃げろ。お前らを守りながらだと戦いづらい。」


村人達は動かない。というか、動けない。

馬が殺されている。なんて悪知恵だ。

しかも何故か、馬車には大人じゃなくて、子供しかいないのだから。

いや、一人血まみれの大人がいるな。


「おい、そいつにこれ飲ましとけ。」


収納袋からポーションを数本取り出して、血まみれの大人の近くにいた、少女に投げつける。

少女は、慌てて受け取り、急いで大人に飲ませる。


「悪いが、お前らは勝手に逃げてくれ、こいつらは俺が引きつけなくちゃいけないからな。」


俺がガキどもに話しかけている間にも攻撃は続いている。正直、余裕はない。

ガキどもは放心しているのか、全然動かない。

ふざけんな。

こいつらが背後に居なかったら、好きに戦えるのに。


「嫌、これも試練か。」


ふいにアリシアを守ってオークと戦った時を思い出した。


「これが、走馬灯にならなくちゃ良いが。」


後ろを守りながら、武器オーク達を殺した続ける。

途中から、俺が背後を守りながら戦っているのを気付かれたのか。

嫌なタイミングで、背後に魔法を集中させてきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る