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「すごい熱狂ですね。みんな暇なんですね。」
「そうね。皆、暇なんでしょ。かくいうあんたもそうでしょ。」
大会当日、あらゆる人間に睨まれながら、お嬢様の隣で用意された美味しいご飯を食いながら観戦する。
「それにしても、みんな睨んでますね。気分がいいです。」
「気分がいいの?」
「そうですね。優越感という奴ですね。後、ご飯も美味しいですし。」
「リュウって本当に器がでかいわよね。普通ならもっと弱気になるはずよ。」
「僕の許嫁は弱気な男は好きじゃないですからね。」
「そうなの。私も好きじゃないわ。」
「僕は弱気な女の子好きですよ。強気な女の子も好きですけど。」
「あっそ。それより、開会式が始まるわよ。」
「ですね。」
今日の試合は、ジョセの専属騎士の5人を決める本戦だ。
本線出場者は、20人。
総当たりで、5人を残らせる戦いだ。
装備も道具も自前で用意するとの事。
死人は出さない。それも騎士の技術の一つだからだ。
逆に死人を出したら、そいつは失格かつ騎士、もしくは見習いを剥奪されてしまう。
「みんな強そうですね。」
「リュウも歳の割に強いんでしょ。」
「そうですね。一対一なら5分は持たせられますね。森の中なら、もしかしたら勝てるかもしれません。」
「そういうの分かるのね。」
「分からないと、狩人は務まりませんからね。」
「そうなのね。私にはさっぱりだわ。」
「おっ!一回戦が始まりますよ。」
「本当ね。」
第一回戦は、剣士の男同士の戦いだ。
どちらも、素晴らしい技と身体能力、そして魔力操作だ。
「すごいですね。勉強になります。」
「勉強になるの?」
「なりますよ。戦い方はそれだけで財産ですから。」
「そうなの。じゃあ、たくさん勉強しなさい。」
大会が続き、
夕方までには5人を決まった。
俺もお腹いっぱいだ。
「これで、あの人たちは専属騎士ですね。」
「違うわよ。」
「まだ何かあるんですか?」
「あんたも知ってる隊長と戦うの。」
「隊長と?なぜです?」
「これから私の護衛を任せるのよ。今まで私を守ってきた隊長に勝てなくてどうするのよ。」
「勝てるんですか?」
「無理でしょうね。あいつはバカだけど強いもの。」
「でしょうね。バカですけど強そうですし。」
「だから、5対1にするのよ。」
「なるほど、集団で護衛しますもんね。今までは個人戦の評価。次は集団戦の評価ですね。」
「そうよ。リュウから見てどう。5人は勝てそう?」
「無理ですね。」
「なんで?」
「直感です。勝てませんよ。」
「そうなの。じゃあ、今回も専属騎士が決まらないのね。」
「負けたら、専属騎士になれないんですか?」
「当たり前よ。どんなに強い相手でも5対1で勝てないなら、私の護衛は務まらないわ。」
「厳しいですね。」
「もちろん、程度ってものがあるわよ。でも今回の相手は人外ってほどでもないでしょ。」
「そうですね。街を歩いてたら、ごく稀にいますからね。あれぐらいの強さの人は。試合が、始まりますよ。」
開幕早々、隊長が突進して、5人に切り掛かる。5分は実力が拮抗していたが、
一人が隊長に思いっきり蹴られて、戦闘不能になったことを皮切りに、5人組は隊長一人に敗北した。
「強いですね。バカなのに。」
「あいつは、父親から強さだけを引き継いだって言われてるの。」
「そうなんですか。今回は決まりませんでしたね。」
「しょうがないわ。あの馬鹿が無駄に強いんだもの。」
「じゃあ、ずっと決まりませんね。」
「10歳になると、強制的に決まるのよ。」
「へ〜。でも、大丈夫でしょう。みなさん強そうでしたし。ああいう人たちと訓練したら、もっと強くなれますよ。」
「じゃあ、やってみる?」
「え?どういうことですか?」
「訓練に参加させてあげるわよ。」
「出来るんですか?騎士でもないのに。」
「出来るわよ。狩人なんだから。」
俺は、騎士に混ざって訓練できる権利を得た。元からあったぽいが。
それにしても、ジョセは俺の事好きすぎるだろう。試合中も俺の横顔良く見てたし。
気づかないふりしといてやったが。
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