ええ

村への帰り方は、日が沈む前に街と街を走ってつないで、宿に泊まる。

これでいいだろ。

走り込みを増やすか。手始めに、道の途中まで行って、引き返す。

これを繰り返すか。

子供の俺でも、魔力を使えば、マラソン選手ぐらいには速くなるだろ。


「ステータス」


レベル 1


力   :163

身の守り:150

素早さ :252

器用さ :195

魔法力 :142



「狩りを続けて、魔力回復薬も買うか。」


俺は、狩りのババアの元に行き、獲物を教えてもらう。


「魔力回復薬ってもらえないのか?」


「自分で買いな。」


「じゃあ、儲かる獲物はなんだ?」


「あんたの強さなら、オークじゃないのかい?」


「討伐報酬は出るのか?」


「一応でるよ。ゴブリンと同じ額だけどね。」


「そうか。ちなみにオークの素材はここで売れるのか?」


「もちろん。高値で買い取ってやるさ。」


「そうか。森の奥に行けばオークに出会えるか?」


「出会えるさ。せいぜい気をつけな。」


「分かったよ。」


森を走って、オークを殺し回った。めんどくさいことにオークの重量が半端ないので、金になる場所だけ解体しても、一匹ずつが限界だ。


「ババア、なんかないのか?持ち運びが楽になるものが。」


「あるにはあるが、高いよ。」


「何があるんだ?」


「収納袋だよ。ダンジョンからたまに出る。」


「ダンジョン?ここら辺にあるのか?」


「ここから1週間、馬車に揺られたところにあるさね。」


「遠いな。いくらぐらいなんだそれ。」


「一番容量の小さいもので1000万リン。今のあんたじゃ無理さね。」


「確かに、高いな。じゃあ、少しずつ狩って少しずつ持ってくるしかないのか。」


「そうさね。あんたの体が大きくなってから悩むんだね。」


オークは一匹で8000リンになった。お肉は以外に高値で売れる。

魔力回復薬の一番安いやつは1万リンだが、効果が薄いので、5万リンのものを買うことにした。

ちなみに一日の稼ぎは2万リン行くか行かないかだ。


「ジョセお嬢様のお小遣いってどれくらいなんです?」


「そんなものないわよ。欲しいものがあったら、買ってくれるもの。」


「じゃあ、僕に高い装備買ってくださいよ。」


「実力以上の装備をつけても、奪われるだけよ。」


「それもそうですね。もっと早く体が大きくなりたいです。」


「リュウは大きい方じゃない。」


「お肉をたくさん食べると、大きくなんですよ。」


「そうなの?」


「多分、そうです。あとは、森であらゆる物を食べてきましたからね。」


「いいわねそういうの。」


「良くないですよ。毒性の植物も食べたんですから。」


「それは、大変ね。死にそうになった?」


「一度だけです。それ以降はちゃんと村の物知りな人に食べれるか聞くようにしてましたから。」


「そうなの。じゃあ、植物には詳しいのね。」


「それなりには。」


ジョセお嬢様は本当に暇なのだろう。どんな話にも興味を持って聞いてくる。

キャバ嬢の才能があるなこいつ。


「前払いで、収納袋を買ってあげてもいいわよ。」


「やめときます。コツコツ頑張りますよ。」


「なんでよ?」


「何を要求されるか分からないからです。」


「何もしないわよ。いつも私のお喋りに付き合ってるお礼よ。」


「なおさらいらないですよ。僕はジョセお嬢様みたいな美少女と話てて楽しいですし。」


人と喋れるだけで、かなりのストレス発散になる。

特に、知り合いがいないこの街では。


「リュウはそういうことわざと言ってるの?」


「当たり前ですよ。だから僕はモテるんです。」


「平民のくせにその年で許嫁がいるのも納得ね。でも、素直に嬉しいわ。」


「そうですか。それでさっきの話ですが、2倍の値段を払いますよ。」


「2倍?」


「1000万の収納袋を2000万で買いますよ。後払いで。」


「リュウに返せるの?」


「もちろん。」


「そう。なら、私にプレゼントし続けて。」


「プレゼント?」


「2000万リン分なんでもいいから、私のことを思いながらプレゼントして。」


「お前も、結構モテるだろう。」


「まあね。許嫁同士が争って仕方ないわ。」


「許嫁が複数人もいるのか。」


「18人よ。今の許嫁代表が、悲しいことに私の一番嫌いな奴だけど。でも、話は分かったわ。明日、狩人のおばあちゃんに私とくよう言っとくわ。」


リュウは収納袋をゲットした。


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