オークの

オーク。

ドラクエのトロールみたいな奴らだ。

脂肪たっぷりで肉は美味しいらしく、睾丸も滋養強壮のために売れたりする。

冒険者が大好きな魔物。

人も食うし、農作物も漁る。

耐久力が凄まじく。攻撃力も半端じゃない。

その代わり、動きは速くない。

俺が戦ったことのない格上の魔物。

その魔物が15匹は村に近づいてきてる。


「どいつもこいつも、酔っ払ってたしな。

どうしよ?」


酔っ払った大人と一緒に戦いたくないしな。

それに、酔っ払った奴らがパニックになると人死にが出そうだし。


「試練を超えるか。」


急に試練の時が始まった。

槍を新調して、気が大きくなったからだろう。

後、オークを食いたかったからだろう、覚悟を決めた。


「なんか、作戦でもあるかな?いや、間に合わなさそうだな。」


とりあえず、背後を奇襲することにした。

頭部を貫けたら、オークでも殺せるだろう。

逆にそれで殺さなかったら、流石に大人に頼ろう。


少し大回りして、オークの背後に近づき、最後尾にいたオークの頭部に魔力全開で一突きする。


!?


頭部を貫き、オークは声にもならない音を出して、崩れ落ちる。


「いけるなこれ。」


それから、現場から離れ少し隠れた。

オーク達が混乱しているのを確認して、また、一匹ずつ暗殺していく。

オーク達は木の上からの攻撃には無防備だ。

自慢の素早さを使い1匹ずつ、殺していき、1分もしないうちに9匹を殺す。


残り、六匹のうち全員村の方面に走り逃げ出した。


「まじか、やばいな。」


オーク達は意外速く、追いつけるは追いつけるが、一匹、一匹殺していくうちに、俺とオーク達と差が広がっていく。

4匹のオークを村への侵入を許してしまった。

魔力回復ポーション3本全て飲み込んで、魔力を全開させて、常に魔力を最大出力にする。


「最悪だ。二手に分かれるなんて。」


近い二匹を最速で殺し終わった時、


キャー!?


少女の叫びがが聞こえる。

嫌な予感がする。

全速力で走る。家の屋根を飛び越えて時間を短縮する。

屋根の上から見ると、アリシアが襲われてる。

予感が当たった。

このアリシアは腰を抜かしているのか動けない。

そんなアリシアに非情にもオークが襲いかかる。


「間に合わない!!」


屋根の上から、短槍を投擲して、アリシアに棍棒を振り上げたオークの頭部を串刺しにする。

しかし、もう一匹のオークもアリシアに襲いかかる。


「間に合え!!」


俺はオークとアリシアの間に割り込み、オークの棍棒の攻撃をモロに受ける。

魔力を攻撃場所に集中して、防御に専念するが、その上からも強い衝撃を受ける。

気絶しそうになったが、根性で耐えて、解体用のナイフを取り出して、大振りの攻撃をして、体勢を崩しているオークの首元に斬りかかる。

魔力をナイフに集中させて、最大の攻撃力で首を切ってやった。

オークは最後の力を振り絞って、俺に噛みついてくる。

尋常じゃない生命力だ。

俺は、残りの魔力をオークが噛み付いた場所に集中させて、防御に徹して、オークの力が弱まるまで、必死に耐えた。

20秒でオークは動かなくなった。


俺はその場に倒れ込んだ。もう体が動かない。

傷口がひどい。

残り少ない体力を使い、小さい声でアリシアに話しかける。


「アリシア、俺のバックの中にある緑の液体を俺に飲ませてくれ。」


そう言って、俺は意識を手放した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


「知ってる天井だ。」


目が覚めた俺は、有名なセリフを言ってみた。

上半身を起こそうとすると、重さを感じたので、そちらをみてみると、アリシアが寝ていた。


「アリシア起きろ。」


身体を揺らして、アリシアを起こす。


「ん〜」


「起きろって」


「ん〜」


「いや、さっさと起きろよ。この展開だったら、お前が泣きついて抱きついてくるんだろ。」


「ん〜、もうちょっと〜」


更に、強くアリシアを揺するが全然起きない。

めんどくさくなったので、こいつを布団で寝かして、俺は起きた。

リビングに行くと、アリシアのママのアリアさんが起きていて、抱きつかれた。

もしかしたら、俺のヒロインはアリアさんかもしれない。


「俺は3日ぐらい寝てましたか?」


「そうよ。よく分かったわね。」


アリアさんは大きい胸で抱きしめてくれる。


「こういう時は3日って相場が決まっているんですよ。」


それから、アリシアのパパにも感謝された。

外に出ると、英雄扱いされて、いい気分だ。

村長から、今回使った魔力回復薬とポーションのお金をもらっといた。

オークの素材は全部俺のもんだし。儲けだな。


夕方になって、アリシアが俺に泣きながら、抱きついてきた。

遅い。こいつにヒロインの才能は無いかもしれない。

ポーションを飲まなかったら、口移しで飲ましたらしい。

ベロチュー教えといてよかった。人生何が起こるか分からんな。



オークは数年に一度、村を襲うことはあるらしいが、まさか祭りの日に襲われると思わなかったらしく、酔っ払った大人達は俺に頭が上がらないので、俺を英雄扱いすることにしたらしい。

いい気分だ。今回は結構、アリシアが危なかったが。


「ステータス」

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