カバ
一日、野営したのち翌朝。
まあまあの高さの壁が街を覆っていた。
門番と一言二言交わしたのち、街に入った。
そこには予想通り、中世の風景が広がっていた。
「本当に獣人っているんだ。」
ケモ耳や尻尾をつけた人を何人も見かけた。
エルフらしき美人も見かけた。
「あれは奴隷ですか?」
「そうだね。村にはいないけど、肉体奴隷だね。」
「肉体奴隷?」
「危険な場所で働く人達だよ。犯罪者がほとんどだね。」
「へー」
「ここら辺は領主様の統治のおかげで奴隷は少ないけどね。」
「何か奴隷用の道具が何かあるんですか?」
「ないよ。ただ、手と首を繋いでるだけさ。」
「じゃあ逃げられるじゃないですか?」
「そうだね。逃亡奴隷も存在するよ。肉体奴隷は体に奴隷紋が焼きゴテで入っているからすぐ分かるけど。」
「一生奴隷なんですか?」
「そんなことはないよ。数年仕事して生き残ったら、釈放さ。」
この街では、知らないことに良く出会う。
それから、守衛達が農作物を換金した後、俺の獲物も換金してくれた。
守衛のおっさんと農家のおっさんに露店のタレのついた肉串を奢ってやったら嬉しそうに食ってた。
それから、俺はいくつかの露店をハシゴして満足したので、守衛のおっさん達と村に帰って行った。
途中、一晩、野営して翌日の昼には着いた。
「結構、美味かったな。次も付いてくか。」
アリシアにお土産の甘い豆をあげたら喜んでた。単純なやつだ。
村の他の少女達にも渡しといた。
好感度稼ぎだな。男子は知らん。
それから、数ヶ月街に行ける機会があれば、全て行った。
そうすると、街に何があるかわかるようになってきた。
俺が使っている武器を売ってた場所に冷やかしに行ったり、高級料理店に冷やかしに行ったり、街のあらゆる場所に冷やかしに行ったからだ。
冷やかしに行った中で一番意味があったのは、薬屋だろう。
そこには、魔力回復薬や傷が治るポーションが売っており、高そうなやつは買えなかったが、安いやつは買えた。
これで、何かあった時に、役立つだろう。
この街で冒険者ギルドには冷やかしにはいけない。
ガラが悪そうだったからだ。
「いいな、リュウは街に行けて。」
「アリシアも大きくなったら、連れて行ってやるよ。」
「本当に!?ありがとう!!」
テンションの上がり用が半端ない。
祭りが明日だからかもしれない。
そう、明日は一年を無事に過ごしたと皆で祝うのだ。
そして、強制的に一年歳を取る。
誕生日じゃなくて誕生年でカウントするのだ。
「8歳になるのか」
「そうだね。今年は、リュウが変わった年だったね。」
「そうだな。アリシアも来年はもっと家事を手伝えよ。そしたら、もっとお土産買ってくるから。」
「本当に!頑張る!」
はしゃいでいるアリシアにベロチューしとく。
「これ好き〜。」
アリシアはキスが好きらしく、特に頭を撫でられながら、されるベロチューが好きだ。
早く大人になれ、アリシア。
今日は、明日の祭のための準備に無茶苦茶時間を取られた。
翌日、
大人達が朝から酒を飲んで、はしゃいでいた。
少し、豪華な料理も出るので、みんなはしゃいでいた。
「アリシア、お酒は飲んだらダメだからな。」
「わかってるよ。私もそこまで馬鹿じゃないよ!」
「そうか。それならいいんだけど。」
俺は祭りの喧騒から離れ、森で狩りをして時間を潰していた。
この一年頑張った自分へのご褒美として、短槍を新調しといた。
全財産使って買った、俺にとって贅沢品だ。
最初の使っていたやつの2ランクは上だな。
「さすが120万リンなことはある。魔力の伝達効率が半端ないな。なんでも貫けそうだ。」
新しい武器にはしゃいで、夢中で1時間振り回していて、何も気づかなかった、
村の近くまで、オークの集団が近づいていることに。
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