💤
「リュウ君、塩を大事に使うんだよ。」
「分かってます。ウサギを塩で味付けできるなんてワクワクします。」
「ほどほどにね。他の村人はお肉をあまり食えないんだから。」
「思ったんてけど、なんで森に狩りに行かないんですか?」
「普通に危ないからだよ。リュウ君が森に行けるのだって、運がいいだけかもしれないんだよ。」
「そうですか?森の浅いところなら魔物も少ないじゃないですか。」
「そう思って油断してると、死ぬものさ。安全にご飯が食えるんだから、普通は危険を犯さないものだよ。」
そうらしい。親が農業で生きてきたら、子供も農業をするか。
農業してる奴らなんて、安全思考なやつばっかだし。
「望むことらですよ。それも試練です。」
アリシアパパは難しい顔を少ししたが、アリシアにもお肉をあげると言ったら、少し顔が綻んでた。
「とにかく、無茶は程々にね。急ぐ必要なんてないんだから。」
「そうですね。ゆっくり頑張ります。」
特に、急ぐ理由もないのでこの助言には素直に従うことにした。
森で狩った獲物や川魚に塩をかけるだけで急激に美味しくなった。
さすが、万能調味料だ。
アリシアにも食わせてやったら、アホみたいに喜んでた。
こいつ顔はいいが、お転婆すぎて品がない。
訓練しながら、日常を暮らしていると、
一週間後小さい事件が起こった。
ゴンス達が日が暮れても帰って来なかったらしい。
俺も捜索に参加して、ゴンス達を探していると、森の少し奥にある岩陰に隠れていたらしい。
話を聞くと、俺が急に強くなったから、自分達も森に行くと強くなれるって勘違いしたらしい。
そして、勘違いしたまま意気揚々と森に入って、村への帰り方を忘れて、迷子になったらしい。
よく生きてたな、こいつら。
こいつらの家族にはしこたま怒られてた。
後日、ミリーヌには感謝された。弟も中にいたらしい。
寝不足な俺は一日中寝た。子供の体だしね。
後日、なぜか村長に呼び出さされた。
村長宅にアリシアパパと一緒に行き、適当にもてなされながら、村長(厳ついおっさん)から話を切り出された。
「リュウ、お前は夜の森で走れるらしいな。」
「はい。この前初めてだったんですけど、出来ました。」
「そうか。聞けば、ホブゴブリンにもその年で勝ったらしいな。」
「ギリギリでしたけどね。」
「そうか。そんなお前に仕事を任せたいと思っている。」
「仕事?」
「森の魔物を間引いて欲しいのだ。守衛達だけでは手が回らんからな。」
この言葉にアリシアパパが反論する。
「村長、リュウ君は年不相応に強いですが、まだ7才です。早すぎます。」
「しかし、実力的には問題なかろう。」
「それでも早すぎます。普通なら仕事は10歳から任されるはずです。」
この村では子供は、10歳からは小さい大人として扱われる。つまり、仕事を任されるのだ。
「いくら貰えますか?」
「リュウ君そういう問題じゃない。」
「どっちみち森に入るんだから、同じことじゃないですか。」
「それはそうかもしれないが。」
アリシアパパの心配は有り難いが、お金がもらえるなら喜んで仕事する。
「それに、お金を貯めたら防具が買えるじゃないですか。それでもっと安全になります。それで、いくら貰えますか?」
「ゴブリン1匹で500リン。ボブゴブリン1匹で3000リンだ。ちなみに討伐証明は耳二つだぞ。」
高いのか安いのか分からんが、アリシアパパが反論しないあたりそれでいいのだろう。
「それ以外の魔物を殺したら?」
「その場合によるな。」
「そうですか、じゃあそれで。」
7歳にして職が決まった。
みんなより、早く大人の仲間入りだな。
帰り道、難しい顔をしているアリシアパパにお金の相場を聞く。
「500リンってどれくらいですか?」
「そうだな、家族が一日食事できる値段かな。慎ましやかな食事ならだけど。」
「へー」
独り身だった俺には現代との比較が出来ないが、まあ、職を得たので、大手を振って森に入れる。
「それにしても、何で急に、職にありつけたんでしょうね?」
「他の子供達に言い訳する為だと思うよ。これからもゴンス君達みたいに森に入る子供が出てくるからだろうからね。」
「なるほど。僕が職を得てるから森に入れると子供達に言い聞かせたいんですね。」
「それだけじゃないと思うけどね。」
「というと?」
「本当に人手が足りないんだよ。良くも悪くもここ最近は農場を広げたからね。」
「へーそうなんですね。だから、休みが少ないんですね。アリアさんが寂しいって言ってましたよ。」
「アリアがそんなこと言ってたのか。」
その夜、アリアさんの喘ぎ声が薄い壁を通して聞こえてきた。
アリシアに妹か、弟ができるかもしれない。
子供の俺には、性欲をあまり感じないのが良かった。
「明日から、仕事だし。さっさと寝よ。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます