強くね

先手必勝と思い、背後からホブゴブリンの腹を二突きする。

硬い部分を避けるため、出血量を増やすために柔らかい腹を選んだ。


「グギャ!!?」


怒ったホブゴブリンが俺に振り向きざまに腕を思いっきり振り上げた。

その速度に驚いた俺は、魔力全開で短槍にも魔力を這わせ、ガードする。


ガンッ!!


5mは吹き飛ばされ、背後にある木にぶつかった。短槍が折れてないか確認して、安心した時、ホブゴブリンがすごい速度で襲ってきた。


「ふざけんな!!」


身体能力が違いすぎる。魔力を避けるときだけ、全開にして守り、避ける。

明らかな防戦一方だ。こいつの出血で動けなくなるのが先か、俺の魔力がなくなるのが先か。


「俺の魔力がなくなるのが先か。」


俺の魔力が先になくなった。0ではないが1、2ぐらいだ。これ以上なくなると気絶する。

しかし、ホブゴブリンの動きも鈍くなってる。なぜか、傷口が塞がってる。こいつの生命力か。えぐいな。


「攻めるしかないか。」


逃げる選択肢はなぜかなかった。直感で今、攻撃したら勝てると分かってたかもしれない。この世界に来てから攻撃的になったからかもしれない。

狙うは、喉。横から突けたら最高


ホブゴブリンの遅くなった突進と腕の大振りを避けて、崩れた体勢の真横から、今の俺の最速の突きをお見舞いしてやった。

ホブゴブリンは突進の勢いを殺せず木にぶつかり、絶命した。


死体を放置して、森を走って抜けた。2時間ほど休憩した後、川で血を洗い匂いを消しといた。


「無茶苦茶強かったな。これならレベル上がってるだろ。」


「ステータス」


名前 リュウ


レベル 1


力   :71

身の守り:60

素早さ :101

器用さ :85

魔法力 :26


「レベルは上がってないけど、ステータスが無茶苦茶上がってる。」


帰宅して、アリシアパパに聞いてみると、試練を超えると、レベルも上がるが、ステータスも上がるらしい。

ゴブリンを殺してもステータスが上がらなかったことを聞いたら、7歳がゴブリンを殺しても試練と捉えられなかったんじゃないかと言ってた。

そういう判定なのか。


「明日から、ホブゴブリン狩りとしたいが短槍がボロボロだ。アリシアパパに頼んどこう。」


なんで、ボロボロなのか聞かれたが、訓練と誤魔化しといた。多分バレてるが。

今度、街に行ったとき直してくれるらしい。

その間は、魔力の訓練でもしとくか。

俺が短槍を持ってないことを聞きつけた、ゴラン達が絡んできたのでボコボコにしといた。ホブゴブリンと比べたら雑魚だったな。


「剣の訓練でもしとくか。」


アリシアパパからもらった短剣を振り回して、時間を潰しといた。

2週間後、直った短槍をもらいはしゃいだ。やっぱり手に馴染むな。

明日から、ホブゴブリンを狩ろうと夜布団に入ると、アリシアに抱きつかれた。


「アリシア、どけ暑苦しいぞ。」


「嫌だよ。パパが言ってたもん。リュウが無茶してるって。」


「だからどうした。お前には関係ないだろ。」


「関係あるもん。家族だから。」


「前はそんなこと言わなかっただろ。急にどうした?」


「なんとなくだよ。分からないけど、リュウに無茶して欲しくないの。」


なんだこいつ。俺のことが急に好きになったのか?


「分かったよ。無茶しない、無茶しない。」


「本当に?」


「本当に。」


「約束して。」


「キスでいいか?」


「キス?」


「最大の約束だよ。」


「分かった、それでいいよ。」


無知な美少女にキスしといてやった。これから俺が性教育しとくか。

翌朝、ホブゴブリン狩りに森に出かけた。


「無茶するに決まってるだろ。味が薄いんだよ。塩が欲しいんだ。」


森の少し奥に行って、1匹のホブゴブリンを探して、前と同じように背後から2突きして、ホブゴブリンの攻撃を短槍が壊れないように攻撃を捌き切り、喉を一月で殺した。

ステータスが上がったおかげと、ホブゴブリンの攻撃パターンが似ているので今回は簡単に殺せた。


そして、ステータスを開くと、全開より明らかにステータスは上がってなかった。試練とはみなされたが、簡単な試練と見做されたんだろうな。

そして、一日一匹殺してたら、3匹目で完全にステータスが上がらなくなったから、一度に二匹連続で倒してみたり、それでも上がらなくなったら、数匹連続で倒し続けて、最終的にはボブゴブリンでステータスが上がらなくなった。

試練とみなさせなくなったのだろう。


「ステータス。」



名前 リュウ


レベル 1


力   :93

身の守り:84

素早さ :132

器用さ :103

魔法力 :52


「これぐらい、強くなったら街に連れて行ってもらえるだろ。」

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