日常と

「魔力か。全然コツがつかめんのだが。」


ステータス欄にある魔力。これの使い方をアリシアパパにいくら聞いても、よく分からない。曰く、魔力とは体の一部だからそれを意識できないと何も始まらない。曰く、感覚だから説明できない。地道に頑張るしかないらしい。


今、俺は足に魔力をためて、速く走るイメージで動いている。別に速くならんが。


「全部の動作に魔力を意識するか。」


俺は日常のあらゆる動作に魔力を意識した。本部以蔵になった気分だ。

日に数度、魔力から心が離れます。

アリシアパパに来る日も来る日も、魔力を使っているところを見せてもらったがよく分からん。


「おい!リュウ!お前、昨日アリシアに喧嘩で負けたらしいな〜。俺たちが鍛えてやろうか?」


外で短槍振り回していると、ガキ大将みたいな奴に絡まれた。

数人の子分を携えて。


「誰だお前?」


「ゴランだ!!何回も言ってるだろうが!!」


「知るか。それより、修行だっけ?いいよ、一人でやるのも飽きたし。」


「おいおい、お前が俺達に勝てると思ってるのかよ?」


ニヤニヤしながら、煽ってくる。


「そうか。じゃあ初め!!」


俺は槍の刃のない方で、ゴランに、突進していった。

ゴランの顔に当てるフェイントをして、弁慶の泣き所に槍をカチ当てる。

ゴランの取り巻き達は、この攻撃が想像外だったのだろう。アホヅラ下げて、驚いてる。

そんな、奴らも槍でボコボコにしてやった。


「弱いな。全然修行にならん。」


「お前!?武器を使うのは卑怯だぞ!!」


ゴランが泣きながら、俺を非難する。


「アホか、鳥が羽を使うように、犬が牙を使うように。俺は槍を使っただけだ。」


「そんなん知るか!!」


「それじゃあ、また明日な。」


喚く、ガキどもを置き去りに家に帰って、家の近くで短槍を振り回しといた。


「訓練相手が欲しいな。アリシアの父親は日中仕事で休みの日しか相手してくれないし。いや?そうだ。守衛なんて日がな一日ボーとしてるだけだし、守衛達の仕事場に行けばいいのか。明日から、そうしよ。」


守衛なんて、施設警備員みたいいなもんなので、暇な時間が基本多い。

定期的に村の周りの魔物を駆除するか、訓練するかの二つぐらいしかやることないだろ。


それから、朝に軽く運動したのち、昼ご飯まで守衛達が集まる場所で訓練相手をしてもらって、昼ご飯を食ったのち、森で軽く腹ごしらえをしてから、夜ご飯まで守衛達に訓練してもらった。


「一日にステータス、全部で合計3上がればいい方だな。魔力もいまだに分からんし。」


一日のステータス上昇幅が合計、2上がる時もあれば3上がる時もあった。

コツコツ強くなってるな。基礎を鍛える時期ってやつだな。

成長促進剤とかねぇかな〜とか思って聞いてみたが、そんなものないらしい。

当たり前だよな。


「川魚に飽きてきたし、肉が食いたい。後、塩っ気も足りない。胡椒も欲しい。」


塩はまあまあ高価なので、家から盗めない。岩塩でも探そうかな。

胡椒って自然に生えているって聞くし、もしかしたらそこらへんにあるかもしれない。

植物図鑑が欲しい。NPCジジイに聞いてみるか。

森の植物を採取して、 NPCジジイにその都度食べられるか、聞いといた。

ほとんど食えんかった。森の奥に行かないとないのだろうか。


「矢が使えたらな〜。ウサギも鳥も狩れるのに。子供用の弓が欲しい。

アリシアパパに頼めないしな。森に行ってることがバレたらまた怒られるし。」


悩んだ結果、石を思いっきり投げることにした。

しかし、俺の手の大きさで握れる石なんて多々がしれてるので、

投石具をイメージで作ることにした。


「でも、こんなもん森の中で振り回せなくね。意味ないじゃん。」


といううか、普通に音でバレるから。もっと意味ない。戦争の時しか役に立たないのか。


「俺がウサギより足が早ければ。魔力の使い方さえわかれば、どうにかなるかもしれないのに。」



魔力を足にためると、瞬発的な速度が出せるので、魔力さえ使えれば。

魔力って、自分の中にあるエネルギーだろ。感知することなんて普通に考えて無理じゃね。天性の感覚なのだろうか。


「アリシアパパとそれ以外でも、差があるしな。熟練度的なものがあるのかもしれん。ある一定の熟練度に達したら、魔力操作ができるのかもしれん。」


そして、2月後魔力を使えるようになった。













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