ゴブリンと書いて、戦闘力5と読む

「槍の基本は突いて、払う、そして戻す。多分こんなんだな。そして、着く時にひねるとさらに良い。」


短槍に振り回されながらも、俺は槍の基本を俺の保護者、アリシアのパパに教えたもらった。

これで、アリシアにやり返せる。まだ、時間が必要だが。

泣かせてやる。あのガキを!!

そう思い、来る日も来る日も短槍を振り回しながら、筋トレや体力作りの日々、

子供の体はすごい。すごい吸収率だ。もしかしたら異世界だからかもしれない。


「それでも、やっぱり筋疲労を感じる。食事に肉が足りない。」


ちゃんとストレッチをして疲労回復に努めているのに、筋疲労を感じる。

タンパク質が足りてない。絶対に足りてない。

アリシアのパパはこの村の数少ない守衛らしく、そこら辺の農民よりは生活は豊かだが、それでも肉が足りない。タンパク質が足りない。


「狩りをしよう。鳥だな。鶏肉が低脂質でいいと思う。刃牙でそんなこと言ってた気がする。」


それから、森で狩りをするが、一向に獲物を捕まえることができない。

一週間、腹をすかしながら森を走り回っただけだ。

たまに、見かけるウサギや鳥に石を投げるが当たらない。当たったとしても威力が足りない。

しかも、森の生き物は無茶苦茶逃げ足、速いし。


「良し、罠を仕掛けよう。それなら大丈夫だろ。」


罠と言っても、落とし穴しか思いつかなかったので、よくウサギを見かけたところに落とし穴を仕掛けるが全然引っかからない。

ゴブリンしか引っかからない。


「ゴブリンって食えるんか?」


アリシアのパパに聞いてみると、森に入っていることをしこたま怒られた。

子供なのに、何かあったらどうるんだ!!ということらしい、正論だな。

しかし、俺が今聞きたいのはゴブリンが食えるかどうかだ。

さっさと教えろ。正論なんて聞きたくねぇ。

結局教えてくれなかったから、近所の暇そうなジジイに聞いてみた。


「じじい、ゴブリンて食えるんか?」


「え?なんじゃ?聞こえんの〜?」


少し大きな声を出してやった。


「ゴブリンって食えるんか?」


「え?なんじゃ?聞こえんの〜?」


さらに大きい声を出してやった


「ゴブリンって食えるんか!?」


「え?なんじゃ?聞こえんの〜?」


こいつNPCか。

それからNPCジジイに話しかけること20分。ようやく俺の話が通じた。

どうやら食えるらしい。クソまずいが。森に生えてるヨモギみたいな草を使うと、肉の臭みが取れて、味もマシになるらしい。

亀の甲より年の功。物知りだなジジイは。


「解体用ナイフを家から盗んで、森に行かなくては。」


それから、ゴブリンが落とし穴に土を戻して、埋め殺した後、ゴブリンを解体した。なんちゃって解体だが。

ゴブリンの器官ってほとんど人間だから、抵抗感はなくはなかったが、この世界に来てからなぜかそこまで忌避感を感じない。


「それにしても、正解だったな。水辺の近くに穴を掘って。」


川の近くに穴を掘ることで、より多くの獲物を罠にはめ、さらに解体の時に血を流せる。

俺は天才かもしれん。


「どこの肉を食えばいいんだ?腹か?腕か?足なのか?」


悩みに悩んだ結果、腹にした。一番脂が乗ってそうだし。

家から盗んできた、火打ち石で焚き火に火をくべ、ゴブリン肉を食べた。

味は最悪だった。ゴムみたいに噛みきれないくせに一口一口、全てにゴブリンの悪臭が口内を広がり、味もひどい。ゲロ吐きそう。


「ジジイの言ってた葉っぱってこれだよな。」


ジジイの言ってた葉っぱと一緒に食べると、かなりマシになった。まずいはまずいが、食えなくはない。悪臭がなくなるのがいい。

今度、ジジイにもプレゼントしてやろう。ゴブリン肉を。


「これで、タンパク質問題も解決だな。早く、美味い肉が食いたいが。」


ちゃっちゃと火を川の水で消して、日が暮れる前に家に帰った。

翌日、体がいつもより軽くなってた。やっぱり、タンパク質は偉大だな。

そう思い、短槍を振り回していると天才的な閃きをする。


「思ったんだが、川の近くに穴を掘ってゴブリン殺すんじゃなくて、川の魚を取ればいいんじゃないか。」


ゴブリン肉は一日で卒業して、川魚を食べることにした。

NPCジジイとババアが一緒に住んでる家から、使わなくなった籠を使い、簡素な罠を作って、魚を取って、適当に捌いて焼いて食った。塩が欲しくなった。


「YouTubeで見た、ドキュメンタリー知識が役立つ時が来るとは。」


一月後


「ステータス」


名前 リュウ


レベル 1


力   :35

身の守り:30

素早さ :38

器用さ :40

魔法力 :5


「これで、アリシアをボコれる。」

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