第187話 星を侵し壟断す溶混弄呑6
〖属性〗、〖種族〗、【ユニークスキル】。
これら三つの異能をまとめて、星神は階梯能力と呼んでいた。
どれも〔
発露形式が異なるためそれぞれに特徴は異なるが、根っこは同じ。
そうであるからには互換性もある。
具体的には、魔法を強化する技術を【ユニークスキル】を強化する技術に転用できたりする。
「(
今から千年前、アーティファクトの開祖である大賢者は強大な魔獣を封印するべく、〔
〖亡獣〗すら封じる程の力を与えるが、使用者の安全を度外視した諸刃の剣だ。
タナシス達学者が開発したのはその後継機。
巫女の〔
負荷の軽減と引き換えに低下した出力を、マナクリスタルの品質と機構増設、そして機能の集約によって補った。
「(まさか間に合うとは思ってなかったけどな)」
決定打が【ユニークスキル】しかないと判明した時点でプロジェクトは動き始めていた。
当時の【ユニークスキル】のデータを取り、“極王”との戦いを経てからは【栄枯雷光輪廻】の検証と並行して情報を集めた。
「(〖マナ〗は結構食うが出力は
それに“魔王”の補助のおかげもあって、〖マナ〗には十二分に余裕がある。
有り余る〖マナ〗を
「(形質定義!)」
十の雷条が地を舐めるようにのたうつ。
蠢いていた植物達が凝固し、動きを止めた。凝固範囲はこれまでの比ではなく、性能の向上が如実に表れている。
「(〖コンパクトスラッシュ〗! ガンガン行くぜ!)」
古槍をぶん回して刈り取っていく。
【ユニークスキル】の強化で効率が上がった。その勢いを脅威に思ったのか、カオスが進行速度を緩めオレへと攻撃を集中させだす。
「(入れ食いだなァ!)」
とはいえ、枝も根も有効打にならないので獲物が向こうからやって来るようなものだったが。
差し向けられた枝根を返り討ちにしつつ暴れ回る。
そして黒い破片が飛び散る中、再び即死の雷を放った。
「(この状態でも即死は無理か……けど!)」
形質定義と即死を乗せた雷を幾度となく轟かせる。
カオスの肉体と、その内奥に在る〔
凝固の方は上々だが……即死させるのはやはり無理そうだ。
繰り返すごとに〔
それでも無心で雷を撃ち込み続け、ひたすらに練度を磨いた。
〖明鏡止水〗のもたらす静謐な集中の元、時を忘れて没頭するも……やがて限界はが訪れる。
「(──この辺りが潮時か)」
体の内側で何かが軋むような痛み。
事前に聞いていた、〔
強化率を抑え負荷を減らしたとは言え、完全にゼロになった訳じゃねぇ。
短時間に連発すればダメージは蓄積する。
だから、コイツが完成した時点で形質定義によって削り切るプランは捨てていた。
使用頻度を減らせば出来なくもねぇが、それじゃあ結局時間が掛かりすぎる。
『ポーラ、これから例の「奥の手」を使う。全員離脱させてくれ』
『分かったよ、〖エリアホール〗。……気を付けてね』
“魔王”やフィスと一緒に、ポーラの姿も孔の向こうへと消える。
何が起きるか分からねぇから、人間の大陸まで後退してもらったのだ。
足止めが居なくなったことで眷属達が意気揚々と駆け出すが、彼らが海に着くより早くオレの『奥の手』も終わるだろう。
「(試し撃ちは充分だ。まずは通電)」
自身にもう一度【ユニークスキル】の
そうして全身に伝わった雷を頼りに、自己に宿った〔
かつて〖王獣〗に〖進化〗した時同様、オレの〔
「(これで良し。あとは成功を神様に祈るだけだな)」
かつて神様は言った。オレがこの世界の生まれであれば〖王獣〗の〖
そうできなかったのは【ユニークスキル】に殺した相手の〔
「(他者の〔
動きを止めたオレへとカオスの攻撃が殺到する中、即死の雷撃を叩き込んだ。
より正しくは、転生に際して付与されたスライムとしての〔
〖レベル〗や〖スキル〗といったシステムを適用するため与えられたその〔
いや、ボーナスモンスターとしての〖経験値増加スキル〗を考えればそれ以上かもしれねぇ。
そんな極上の〔
死した獣の肉が土へと還り、次の生命の礎となるように。新たなる豊穣の支えとなるように。
それこそが、【栄枯雷光輪廻】の本懐。
「(ぐっ、あ゛あ゛ぁ゛ぁぁぁ……っ)」
まるで半身を捥がれるような激痛に霞む意識。荒れ狂う【ユニークスキル】の制御を必死に繋ぎ止める。
漏れ出た〖マナ〗は雷へと変換され、四方八方を蹂躙していた。
雷は刻一刻と太さを増し、輝きを強め、カオスの攻撃を近寄らせねぇ。
暴れ回る稲妻は徐々に指向性を持ち始め、束なって行く。
やがて天地を貫く一本の光柱となった瞬間、唐突に雷光が途絶えた──神への変容が完了した。
~非通知情報記録域~~~~~~~~~~~
>>白毫呈す珀陽玲瓏(?)、不破勝鋼矢が死亡しました。
>>不破■鋼矢(null)の瞬間流入エネルギー量が定命臨界点を超過しました。
>>階梯能力は柱真核に到達しています。
〔神化〕が発生しました。
>>■破■■矢(null)が変生します。
>>〔
身体との合一を観測しました。
>>〔
>>〔
>>■■■■■(解析不能)が〔
>>解析負荷増大が予測されます。観測及び解析を終了します。
・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ああ──窮屈だ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます