第151話 白イタチ2
「(〖コンパクトスラスト〗、〖コンパクトウィップ〗!)」
赤鞭と
未だ氷の大地は揺れており、動揺した隙を突いたこともあって白イタチに回避の余地はねぇ。
「キキキ……ッ!」
だが白イタチは氷鎌を巨大化させ、二足立ちになってオレの〖ウェポンスキル〗を受け止めた。
同時、空から魔弾が降って来る。
魔弾の威力はかなり減退しているはずで〖亡獣〗の防御〖スキル〗ならば容易に防げるだろうが、白イタチは生憎オレの武器を防ぐので手一杯。
〖
「キキィィィーっ!?」
「(〖呪縛〗!)」
魔弾に毛皮を抉られながらも必死に巨大氷鎌を構える白イタチへ、鞭状に変形させた体を伸ばす。
しゅるりと巻き付き〖呪縛〗が発動した。
~スキル詳細~~~~~~~~~~~~~~
呪縛 捕縛時、拘束力に補正。捕縛対象の〖スタッツ〗に逆補正を与えられる。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
〖捕縛〗が上位化したこの〖スキル〗には捕まえた相手を弱体化させる効果がある。
十中八九〖レジスト〗で無効化されるけど拘束のついでとしちゃ充分。
縛ろうとしている間に白イタチは氷の盾を生み出す〖スキル〗で魔弾を防ぎ始めたが、この状況に持ち込めた時点で王手だ。
「(雷撃!)」
「ぎぎぎぃっ」
電撃が白イタチの全身を駆け抜ける。
攻撃はそれだけでは終わらず、何度も何度も稲妻の瞬きが周囲を照らした。
さしもの〖亡獣〗と言えど度重なる雷撃には筋肉が萎縮するようで、僅かに氷鎌の力が緩む。
「キーっ!?」
氷鎌を押しのけ、赤鞭と蛟矛を白イタチに巻き付ける。
そして模倣を解いた。二つの武器はオレ本来の無敵ボディに戻り、これで逃げられる心配はほぼほぼ消えた」。
「(悪い、最期に少し付き合わせるぜ。【
逃げることの出来なくなった白イタチへと、即死の雷撃を何度も見舞う。
当然白イタチも抵抗し、吹雪を吐いたり風の刃を飛ばしたり雪崩を空から降らせたりして来たが、拘束が破られるより早く彼は事切れたのだった。
~非通知情報記録域~~~~~~~~~~~
・・・
>>遠き光輝の
・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ガクリ、と白イタチの体から力が抜ける。
巨大氷鎌の表面が剥がれ、元の大きさの氷鎌が姿を現した。
これまでのは巨大化と言うよりは、新たに氷を生み出して覆っていたのか。継ぎ足すみてぇな感じで。
取りあえず剥がれた氷も何かに使えるかもしれねぇし貰っとこう。
それから少し遅れ、かつてない程の力が湧いて来た。
「(うおっ、〖レベル〗が百以上も上がってやがるッ。今なら何でも出来そうな気がするぜ!)」
まあ気がするだけなんだけどな。カオスや〖王獣〗と言った最上位の存在にはまだ届かねぇだろうし、全能感に浸ってる暇はねぇ。
とっとと食って武器作って“極王”の元を目指そう。
「(〖激化する戦乱〗……うぅん、氷鎌以外はそこまででもねぇな)」
解析してみた結果はそれだった。
一応、毛皮の防寒性能は断トツなので幅広な盾にしてみるか。
「(さて、問題はこの鎌をどんな武器にすっかだよなぁ)」
小柄な白イタチの素材なので結構小さめだ。
俊足で翻弄するって戦闘スタイルなのもあるだろうな。
「(継ぎ足してた時の残骸を使えば刃も伸ばせっけど、それだと劣化しちまうしなぁ……)」
〖スキル〗で生み出されたらしき追加の氷刃は、白イタチが本来有していた氷鎌より諸々のスペックが落ちる。
だからこそ白イタチは攻撃には素の氷鎌を多用してたんだろうしな。
「(凍結攻撃はここの魔獣にはあんま効かねぇけど、単純に性能高ぇし使い勝手のいい武器にしてぇ…………あっ、そうだ)」
ぐるぐると悩みの渦巻く頭の中に一つのアイデアが浮かんで来た。
早速〖武装の造り手〗で白イタチの氷鎌達を弄って行く。
「(ここを……こうして……細かく編んで……こうッ!)」
そうして出来上がったのは氷の
最近はめっきり使わなくなったが〖豪獣〗時代はよく鎖鎌を模っていた。そこから着想を得たのだ。
鎖の部分は継ぎ足しの氷を使っている。
強度の向上と鎖部分の伸長のため、所々に鉱山で手に入れた非常に堅固な金属を仕込んでみた。
また、刃は元の物より若干大振りになっている。二つの鎌刃を一つにまとめたからだ。
根元ほど刃幅が広くなる関係上、単純に刃渡り二倍! とはならなかったが元のままよりは断然いい。
最後に追加効果だが、凍結効果には手を加えず、武器としてのリソースは全て基本性能の強化に割いた。
多分、この大魔境じゃ同じ凍結効果の素材は今後も入手できるだろうし、そっちを強化するよりはまず次の〖亡獣〗を少しでも早く倒せる武器にすべきだろう。
「(ふぅ、ご馳走様でした。……と、そうだった。こいつも忘れず回収しねぇとな、〖
~スキル詳細~~~~~~~~~~~~~~
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
〖
それを使い、戦闘中に発生したオレの壊死細胞を回収する。
壊死細胞はマナクリスタルの性質を失うが、〖煌廠〗の力を浴びると最上級マナクリスタルに変質する。
腐っても〖亡獣〗の肉片って訳だ。
しかも元がオレ自身の体だからか、〖煌廠〗がすぐ浸透するのもグッドだ。他の〖亡獣〗だとこうは行かねぇ。
「(よっし、今度こそ出発!)」
そうしてオレは空へ飛び立つ。
さらに〖亡獣〗を、延いては〖王獣〗を倒すためには長い休憩は取れねぇ。
白イタチの〖制圏〗が解除され、吹雪が弱まった雪原をオレは翔けるのだった。
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