第81話 【ユニークスキル】
ガーゴイル達との戦闘で違和感を覚えたオレは、採掘を中断して調査をしていた。
「(うん、やっぱおかしいな)」
鉱山の豪獣域に来て数度の戦闘を熟し、呟いた。
今も戦闘を終えたばっかりで、目の前には森鎖に〖捕縛〗された魔獣達が居る。
「ゴゴググッ」
「ゲギギッ」
「ギャギャッ」
口々に叫び、ジタバタと暴れる彼らは、明らかに〖捕縛〗した当初よりも力を増していた。
原因は分かっている。雷撃を浴びせた途端にパワーアップしたんだから考えるまでもねぇ。
「(雷撃……だよなぁ。他のも試したけど反応なかったし)」
もしかすると他の要因があるのかも、とも考えた。ダメージを受けると〖スタッツ〗が上がる〖スキル〗とかな。
なので雷撃を使わず瀕死にさせる等の実験も行ったが、そのどれでも強化は起きなかった。
「(それに、どの魔獣も同じ〖スキル〗を持ってる、とは考え辛ぇ)」
戦っている内に分かったが、ゴーレムとガーゴイルは全くの別種族である。
体内まで岩石で出来ているゴーレムに対し、ガーゴイルの肉体は有機的だ。表皮は石で覆われているが、骨があり、筋肉が付き、青い血が流れている。
また、この二種以外にも鋼の甲殻を持つ蟻の魔獣にも雷撃を使い、強化の発生を確認した。
別種の魔獣が全く同じ〖スキル〗を持っている可能性は低いし、だったら雷撃の方に原因があるって考えるべきだ。
「(でもそんな能力なかったはずだよなぁ……。もしかして〖制圏〗みてぇに効果が増えてんのか?)」
自身の内側に意識を向け、【ユニークスキル】の効果を確認する。
~ユニークスキル詳細~~~~~~~~~~
【
・収穫量を最大にします。
・大地を強化する雷を扱えます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
うーん、前に見た時と変わらねぇな……。
「(もしかすっと他の〖スキル〗が雷と変な噛み合い方を……ん?)」
【ユニークスキル】は原因ではないかもしれないと意識を逸らしかけたその時、とある表記に目が留まる。
二つ目の効果の『大地を強化する』だ。
大地に栄養補給する能力として使ってたが、もしかしてこいつ……。
「(〖レプリカントフォーム〗)」
模倣したのはしばらくぶりになる土特攻の槍だ。
琥珀色のその穂先で、捕らえたゴーレムを軽く小突く。するといとも容易く岩の体を突き破り、ゴーレムの体に亀裂を入れた。
土特攻が如何なく発揮されている。
岩石は土に埋まっている物だからか。
「(次はこっちだ)」
それからガーゴイルにも同様に攻撃。結果も同様で土特攻はきちんと作用した。
これは……ほぼ確定と見ていいだろう。
「(大地強化は生物にも有効なのか)」
故郷の森では土特攻の通じる魔獣とは滅多に出会わなかった。
そして鉱山に来てからはほとんどの魔獣を一撃で葬ってたから気付けなかった。
だが、【
「(お、効果が切れたか)」
その時、ゴーレムの抵抗する力が弱まり、強化時間の終了を知る。
実験の結果、強化は大体五分ほど持続することが分かっていた。大地への強化も同じくらいなのか、生物か非生物かで効果時間が変わるのかは今後要検証だな。
ちなみに、五分もあるとガーゴイルは抵抗を諦める。
初めに〖スキル〗を乱打し、〖マナ〗が尽きると今度は暴れ始め、そうして強化が切れる頃には体力を使い果たしているのだ。
ゴーレムが疲労しないのか、ただ単に体力が多いだけなのかは気になるところだが……今はそれはいい。
【ユニークスキル】についてもっと調べよう。
「(〖レプリカントフォーム〗)」
模倣したのは黄色い宝石で出来た斧。
この宝石は、〖マナ〗を込めると発光するっつう微妙な力を持った魔性鉱物で、斧にもその能力は引き継がれている。
〖マナ〗を注がれた斧は、日中でもそうと分かるくらいの光を放った。
注いだ〖マナ〗が尽きたことで十秒ほどで消灯する。
「(雷撃)」
ジジジジジッと一瞬、斧に電光が流れた。
そしてさっきと同量の〖マナ〗を込める。〖ステータス〗を見ながらだし計量はかなり正確だ。
斧の光量は……一度目よりも大きい。
よしっ、と心の中でガッツポーズする。
喜ぶ気持ちのまま斧を魔獣に振るってみると、驚くほど綺麗に斬れた。
この斧は元来、そこまで武器としての性能は高くないのに、だ。
雷撃の強化によって切れ味が一段階上がっているのだろう。
「(んでも、いつまでも『雷撃の強化』だと呼び辛ぇな……うん、こいつは『通電』って名付けるか)」
雷撃に続く【ユニークスキル】二つ目の技だ。
鉱物製の武器を強化できるなら、今後の戦闘にもさらなる発展が見込める。
「(けど、一番の収穫は──)」
そう、現状、通電を最も活かせるのは武器の強化じゃあない。
自身の内に集めた〖マナ〗を自分自身に解き放つ。
ビリリとした感覚の後、まるで〖進化〗した時みてぇに力が湧いて来る。
「(──オレ自身の強化だ!)」
溢れる力に押されるようにして森鎖の締め付けを強めると、〖捕縛〗していた魔獣達がまとめて握り潰された。
さらなる〖スタッツ〗向上手段を手にしたオレは、その喜びを表現するかのように高く跳び撥ねたのだった。
~非通知情報記録域~~~~~~~~~~~
・・・
>>戦火
・・・
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