群れを追放された俺、実は激レア種族でした ~俺だけ使える【ユニークスキル】でサクサク成長・最速進化。無双の異形に至ります~
第49話 役立たずの出来損ない、無能で空気な最弱〖属性〗と呼ばれた私ですが、賢者様(スライム基準)の教えで〖属性〗の真価を理解し、チート魔法を使えるようになりました~無敵の魔法を操って魔法学園(以下略
第49話 役立たずの出来損ない、無能で空気な最弱〖属性〗と呼ばれた私ですが、賢者様(スライム基準)の教えで〖属性〗の真価を理解し、チート魔法を使えるようになりました~無敵の魔法を操って魔法学園(以下略
『ほ、本当に弱いのか? 謙遜とかじゃなく……?』
〖空間属性〗であるというポーラに、オレは思わず聞き返した。
対する彼女は当然のように頷き、常識を語るみてぇに口を動かす。
「そうだよ。〖空間属性〗は使い道のないハズレ〖属性〗なの」
『そ、そうか……? 色々できそうな気がするんだが……』
「そうだとよかったんだけどね、でも実際は何の役にも立たないんだ」
きっぱりと言い切るポーラ。
エルゴも隣で気の毒そうな顔をしている。
「考えてもみてよ。例えば〖火属性〗なら火を飛ばして攻撃できる。〖地属性〗なら土を固めて盾にできる。でも、空間を飛ばしたり集めたりしても何にもならないでしょ? だってただの空間には何も無いから物を壊したり、攻撃を防いだりはできない。本当に使えないよね」
自嘲するような笑顔のまま、自傷するような言葉を吐くポーラ。
彼女の痛ましい様子に耐えられないという感じで、エルゴが言葉を発する。
「そんなことはないです……っ。僕は、ポーラさんほど優秀な斥候を他に知らない。凶獣域のすぐ傍でスライム殿を探せていたのは全部ポーラさんの〖空間把握〗があったお陰だ。〖空間属性〗は使えなくなんかないです」
「ありがとう。でも索敵しかできない斥候よりも、そこそこ索敵が出来て戦闘もこなせる斥候の方がずっと価値があるって皆言うけどね」
「それは……」
言い淀む青年を後目に少女は、
「分かったでしょ、コウヤ君。〖空間属性〗は無意味で無力な無能の〖属性〗なんだよ」
と言った。
今度は青年も唇を噛むばかりで何も言えない。
それを見てオレは思った。
(うん……あれ? これ、オレが間違ってんのか……?)
──いやいやっ、そんな訳ねぇッ!
雰囲気に騙されんな! 〖空間属性〗が弱いはずねぇだろ!
『……あー、何だ。さっき、攻撃には使えねぇって言ってたけどよ、その判断は早計なんじゃないか? 空間を引き裂くとかすりゃあ攻撃はできると思うんだが……』
取りあえず、パッと思いついたことを言ってみた。
しかしポーラは不思議そうに眉根を寄せるばかりだ。
「……空間を……引き裂く? ……ごめんね、よく分からないや。空間ってどういう時に裂けるの?」
『……あれ、どういう時だ……?』
たしかに、空間が裂ける原理って良く分からねぇな……。
つーかそもそも空間って何だ?
(オレは漫画とかの描写でふわっと認識してっけど、漫画でよくある感じーって言っても異世界人には伝わらねぇし。でも学校じゃ空間のことなんて習ってねぇから教え方も分かんねぇし……)
空間……空間……と考え込んでいるとx軸y軸z軸が飛んで来て頭の中でダンスを踊る。
……何も思いつきそうになかったのでまずは情報を集めることにした。
『ポーラはどんな〖属性スキル〗を持ってんだ?』
「〖空間把握〗って特性だけだよ。周りの地形とか物の位置とかがわかるんだ」
『なるほどなぁ、それで索敵してた訳か』
空間ごと把握できるならどんなに息を殺そうと音を立てなかろうと意味はねぇ。
索敵能力としちゃあ最強の〖スキル〗じゃねぇか?
(〖スキル〗……そうか、〖スキル〗か!)
そのとき脳裏に電光が走った。
この方法なら行けるかもしれねぇ。
『今からオレがすることをよく見てて……いや、〖スキル〗で把握しててくれ』
「うん? 分かった」
怪訝そうな顔をしつつも了承してくれたポーラ。
そんな彼女が見やすいよう鞭を伸ばし、
「(〖武具格納〗)」
〖スキル〗で武器を取り出した。
水面から浮かび上がるようにして、鉄製の棍棒が鞭の上に現れる。
「わー」
「さっきも使っていた〖スキル〗ですね」
エルゴが土特攻の槍を抱き締めながら言う。
アレを取り出すときにも使ったな、そういや。
『これは〖武具格納〗って言って武器を仕舞える〖スキル〗何だが……どこに仕舞うと思う?』
「うーん……ほっぺの中、とか?」
何かリスみてぇだな。
「でもそれだと外から見えなかったことに説明が付きませんよ」
「だよねー。それにさっき一瞬、別の場所と繋がってたって言うか、コウヤ君の向こうに空間があるみたいな変な感じがしたし」
『そこまで分かるなら大丈夫そうだな。正解は異
~スキル詳細~~~~~~~~~~~~~~
武具格納 武器を自身の体で完全に覆うことで、異空間に収納できる。
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『自分に紐づけられた自分だけの空間に武器を仕舞う、そういう〖スキル〗らしい。オレもよく分かってねぇけど』
「そんな〖スキル〗があるんだ」
「凄いですね! 武器限定とは言えその〖スキル〗があれば流通業界に革命が起きますよ!」
『あぁ、たしかにそういう面もあるかもだが……今は異空間に注目してくれ。この空間、ポーラの〖空間属性〗なら再現できるんじゃねぇか?』
ハッとしたように目を見開く少女。
けれどすぐに表情を曇らせる。
「ううん。どうせ無理だよ、アタシの力じゃ……」
『無理じゃねぇって! さっき〖空間把握〗で違和感があるって気付いてたろ!? ならその違和感を探ってそれを自分の力で再現すれば出来るはずだ!』
できるだけ強い言葉でそう言い聞かせる。
ポーラはたっぷり十秒以上は悩み、そして答えを出した。
「……………………じゃあ、やるだけやってみるね」
目を閉じて集中する体勢に入る。
突き出した右手に〖マナ〗が集い、それらが行き場を探すようにフラフラと揺れていた。
「……ごめんコウヤ君、もう一回収納するとこ見せてもらっていい?」
『一度と言わず何度でも見てくれ』
言いながら鉄の棒を連続して出し入れする。
異空間との行き来を何度も見せた方がイメージも掴みやすいだろうからな。
「………………」
「………………」
『………………』
しばし、無言の時間が流れる。
当事者のポーラや発案者のオレはもちろん、エルゴも邪魔にならないよう息を潜めて見守ってくれている。
鳥の
そう言った自然音に包まれて
「──行けそう」
ポーラが瞼を上げ、そして〖マナ〗が消費された。
「〖スペースストレージ〗」
変化は、起きない。
いや、違う。
空間そのものを認識できないオレ達には、変化が起きた事が分からなかったのだ。
「…………できた」
ともすれば聞き逃してしまいそうな声量で、ポーラはポツリと呟いた。
それから脇に置いていたバスケットを手に取り、〖マナ〗を集め、
「〖スペース、ストレージ〗……っ」
再度その魔法を使った。
今度はオレ達にも発動が分かった。
何せ手に持っていたバスケットが一瞬にして消失したのだから。
「やった……使えた……」
オレ達が祝福の言葉をかけるより先に、ポーラはその場に崩れ落ちた。
〖マナ〗の使いすぎか!? と思ったがよく観察してみればそうではない。
「アタシ、使えてる……。本当に、魔法が使えてる……っ。」
途切れ途切れの声には嗚咽が混じっていた。
自分の力を確かめるように何度もバスケットを出し入れしている彼女の手元に、パタリと透明な雫が地面に落ちた。
(魔法使えるのってそんなに嬉しいことなのか……?)
と、その反応に若干困惑しつつも、少女が落ち着くまで黙って見守っていたのだった。
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