第2話 能力確認
「(クソッ、あいつらめ……)」
森を進みつつ、転がっていた石を脇に蹴飛ばす。
心の中の苛立ちもこんな風に
けどそんな事は出来なくて、オレはグルグルグルグル下らねぇ事を考えちまってる。
あ゛あ゛ぁぁチクショウっ! 止めだ止めっ!!
あんなアホ馬鹿ボケおたんこなすな単細胞生物共の事に思考を割いても無駄だ!
今はオレの今後に目を向けるべきじゃねぇか。
「(ん?)」
──そこまで考えて、ふと疑問が湧く。
さっきの思考は、まるで自分がスライムではないみてぇじゃなかったか?
オレだって同じスライム……いやオレは人間だろ!?
一つ気づくと連鎖的にいくつもの記憶が蘇る。
何で今まで気づかなかった。
手や足があったし、体はもっと大きかったし、スとラしか発音のないイカレ言語は使っていなかった。
オレは、たしかに人間だったはずだ……!
「(落ち着け落ち着け、とりま分かってっことを整理しよう。そうすりゃ原因も分かるかもだ)」
自分に言い聞かせるように呟き、記憶の整理を始める。
まずは人間だった頃の記憶からだ。
オレが生きていたのは日本という国。時代は二十一世紀。
名前は
オレは学校に通っていて、それで下校中、歩道に車が突っ込んで来て──そっからの記憶がない。
「(これは転生って奴……か?)」
死んで生まれ変わったのだから転生なんだろうが、生憎とついさっきまで記憶を失っていたのだ。
それに、スライムに生まれてすぐの記憶も朧気である。
輪廻に沿って転生したのか、謎の秘密結社にスライムの体へと改造されたのか、はたまた全く別の理由なのかは判断できない。
「(……まっ、今はんな事よりどうやって生きていくか、だな)」
行き詰まったので思考を打ち切る。
てか、よくよく考えてみりゃスライムになった理由とか今のオレには割と関係ないしな。
大事なのはこれからだ。
はっきり言ってスライム一匹で森に居れば食料コース一直線。
せっかく手にした第二の人(?)生、むざむざ死ぬのは勘弁だし生き残る方策を練ろう。
己を知れば何とやら、手始めに〖ステータス〗を確認すっか。
スライムに生まれてから何度も確認してるが、前世の記憶を取り戻した今なら何か新しい発見があるかもしれねぇ。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
種族:ラフストーンスライム
獣位:
スタッツ
ライフ :5/5
マナ :1/1
パワー :1
タフネス:152
レジスト:4
スピード:1
スキル
溶解液 自己再生 方向感覚
カバー 投擲
ユニークスキル:
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
相変わらず偏りまくったスタッツだなぁ。
他は目を覆いたくなるほど貧弱なのに〖タフネス〗だけは突出してる。
ま、おかげでこれまで怪我一つせずやって来れたんだけどな。
スキルも変化なしだ。
〖カバー〗や〖投擲〗は仲間を庇ってたり投石の練習をしている内に取れた。
が、仲間がいない状況じゃ防御範囲を広げる〖カバー〗は意味がないし、投擲はオレの攻撃力じゃ有効打にならない。
困ったなぁ、〖溶解液〗も戦闘ではあんま役に立たねぇし、戦いは避ける方針に……ん? 何だこの【ユニークスキル】って。
こんなの前まで無かったぞ。
よく分からないが取りあえず確認してみよう。
『ステータス』は該当箇所に意識を集中させると詳細を確認できるのだ。
……地球での記憶を取り戻した後だとなかなか奇異な仕組みに見えるなぁ、これ。
意識しただけで自分の〖ステータス〗が見られることからして地球の常識から外れている。
いや、常識云々で言えばスライムになってることだって充分常識外れか。
うん、考えても埒が明かねーな。
──と、話が脱線した。
【ユニークスキル】の確認だったな、どれどれ……。
~ユニークスキル詳細~~~~~~~~~~
【
・収穫量を最大にします。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
んー……農業用〖スキル〗、ってとこか?
どうせなら戦闘用のが欲しかったが、まあ、ある意味こっちのが割り切れていいかもな。
戦闘は極力避けつつ木の実などを食料にする、ハイドアンド採取でこの森を生き抜いてやるぜ!
敵を倒せば〖レベル〗が上がって強くなれるが、強さに拘る必要はないのだ。
草食の魔獣だってたくさん居るし、オレもそいつらの仲間入りをすれば当面は生きて行けるだろう。
それに、【
目指せ田舎でスローライフ! 農業王にオレはなる!
──そんなオレの
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