第6話

その夜、レティシアは自分の部屋でローレンと会った。レイチェルとの会合がどうだったか知りたかったのだ。しかし、ローレンの返事は落胆させるものだった。


「全てを台無しにしてしまったと思う!」と彼はため息をついて嘆いた。「私にはこういうのは向いていない。春の王国の本でも借りてくるべきだった。」


「あなたは素晴らしい男性よ、ローレン。きっと彼女もあなたを気に入ったわ」とレティシアは慰めた。


「ありがとう、レティシア」とローレンは少し元気を取り戻して答えた。話題を変えようと、彼は付け加えた。「ところで、君が言っていた騎士、アレフに会ったよ。」


「アレフはあなたの部下になったの?」とレティシアは興味深そうに尋ねた。


「そういうわけではないんだ。でも、驚いたことに、彼は以前私がした城での訓練の招待を受け入れてくれたんだよ。」とローレンは満足げに微笑んで明かした。


翌朝、ヘイデン国王は堂々たる騎士の一団を伴ってレティシアを呼び出した。選択の時が来たのだ。レティシアが正式な騎士を選ぶ時が来たのだ。


「レティシア、これらは王国で最も勇敢な戦士たちだ。」とヘイデンは自分の後ろに立つ男たちを指差しながら言った。「サー・リッツを選ぶことをお勧めする。彼は私の最も信頼できる部下の一人だ。」


レティシアはプレッシャーにもかかわらず冷静さを保ち、外交的に答えた。


「ご提案は検討させていただきます、陛下。しかしながら、決定を下す前に各候補者を注意深く評価する機会を頂きたいのです。」


「期限を与える、レティシア。」とヘイデンは反論を許さない口調で宣言した。「期限内に選択しない場合は、私が君に代わって選択する。」


「たとえ彼が選んでも、私は母の教えに背くことはできない。私だけに忠実な騎士を見つけなければならない。」とレティシアは決意を新たにした。


ヘイデンは焦っていたものの、彼女の要求を受け入れた。そして、彼は付け加えた。


「しかし、秋の王国への旅の安全を確保するために、君の個人的な騎士だけでなく、完全な護衛隊が君を守るために任命される。」


信頼できる騎士を見つける緊急性は日増しに高まっていた。そこでレティシアは、アレフの能力を徹底的に調査することにした。彼女はまず王国の市民から情報を集め始めた。


菓子店では、若い女性店員たちがアレフの洞察力と紛争解決における賢明さを褒めているのを聞いた。しかし、レティシアにはもっと多くの情報が必要だった。彼の戦士としての能力について知る必要があったのだ。


近くの居酒屋では、数人の男たちが活発に話していた。レティシアは会話が聞こえる程度にこっそりと近づいた。


「あのアレフは女たらしだぜ!」と男の一人が悪意のある笑みを浮かべて言った。「毎日違う女と出かけてるんだ。」


「それはどうかな」と別の男が反論した。「俺の女友達が言うには、彼は何もしてこなかったらしいぜ。彼女の方から誘ったのに、断られたんだってさ!俺なら絶対断らないけどな!」


テーブルは笑いの渦に包まれた。


街の噂話は役に立たなかった。そこでレティシアは、アレフをこっそり尾行することにした。勤務中の彼を観察し、暴力に頼ることなく、争いを仲裁し、高ぶった感情を鎮める彼の能力に感銘を受けた。また、勤務終了後には必ず女性に声をかけられていることにも気づいた。しかし、これらの会話の内容は謎のままであった。アレフは間違いなく女性に人気があり、街の男たちとも良好な関係を築いていた。


興味を持ったレティシアは、アレフとよく話す若い女性の一人に質問した。彼女は、女性たちが提案した場所によってはアレフが同行することもあるが、たいていは王国の習慣に関する情報を求めているだけだと説明した。新参者として、彼は早く街に溶け込みたがっていた。そして、恋愛感情を持たずに、純粋な好奇心と彼女たちの話への関心で人々の共感を得ていたのだ。


しかし、アレフの人気はレティシアが求めているものではなかった。彼女は彼の戦闘能力を評価する必要があった。そのためには、もっと抜本的な対策を講じなければならなかった。


レティシアは冬の王国の王女として王室の戦闘訓練を受けていたが、母のエリザ王妃の死によって中断されていた。彼女は自分の腕を鈍らせないために、街の騎士たちと時折訓練をしていた――城の騎士たちは彼女を甘く見て、訓練の試合で真剣勝負をしてくれなかったので避けていたのだ。そこで彼女は、街外れの森にある騎士たちの訓練場に行くことにした。


「アレフの能力を試す時が来た」と彼女は決意を込めて思った。

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