夢の幕間 一の夢

よし、今日はここ迄にしようか


 満足したように怪物は鏡を閉じる。

 そして決まったように、私を囲うようにとぐろをまく。

 今は蛇の気分のようだ。


君はどんな夢が美しいと思った?


 美しいか,,,鏡に映るのは実際に起きた事なのか、可能性の1つに過ぎないのかどうかは分からない。

 ただ、少なくとも自分の生き方を貫けるのは美しいと思った。

 結果がどうであれ、目標が何であれ。

 命を懸けても、日和見主義でも、自分で生き方を決めるというのは美しい。

 それを伝えてみる。


はははっ!確かにそうだね、僕も姿も目的もコロコロ変えてしまうから自分だけの生き方を進むのはとても美しく見えるよ!


 確かに確かに!っと大声で体をくねらせながら饒舌に笑う。

 正直うるさい。


まぁ、僕としては君の物語も気になるんだけど、、、、、折角の親友だ。

これからも一緒に鏡を見ようじゃないか。


 突然笑うのを止め、私の顔を舐める。

 暫く考えた後、笑顔(恐らく)を浮かべとぐろを巻き直した。


また明日、次はもう少しホラーなものでも見てみたいね。


 まるで映画を見るかのように話す。

 ここに明日や昨日という概念があるかは分からないが、少なくとも今日は平和な一日だったと思う。

 そして抗えない微睡みに沈んで行った。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る