第9話 Sランク冒険者

師匠たちと一緒に街へと戻った俺はいろいろ質問を受けていた、魔術師からはエンシェントフレアのことを、師匠から聞かれたのは俺の以前とは比べ物にならないほどの身体能力だ。あと、暴走竜との関係も一応聞かれた。

「話しは大体分かった、それでお前の名前は?」

「…………」

おれが黙っていると、

「そいつの名前はりゅうま、おれの弟子でもある」

「へぇー、この子がリュディアさんの弟子ですか?リュディアさんの弟子と聞いて思った印象とだいぶ違いますね。もっと、後先考えないタイプかと思いました。」

「それもそうだな。」

俺をほったらかしにして仲良く話しやがって、

「おっと、自己紹介が遅れたな、おれはSランク冒険者のカイト。獣戦士だ!」

「私は同じくSランク冒険者のルナ、魔術師」

もう二人一緒に帰ってきたのだが今、治療中だ。この雰囲気だから自己紹介するべきか?、

「俺はCランク冒険者、りゅうま」

それぞれの自己紹介が終わりそれからはアルファのことを隠ぺいして話してから解散した、帰る所が一緒だから師匠が一緒にいるのは分かるが、なんでルナって奴までついてくるんだ?

「なに?さっきからずっと私のこと睨み付けてくるけど……」

「別に『エンシェントファイア』すら使えないやつがよくSランク冒険者やっていけるなって思っただけだ!……」

「うっ、そ、それは……」

「まあまあ、それよりもりゅうま、ギーアはどうしてんだ?」

「師匠がいない間にいろいろあって入院中!」

「入院!?、なにがあったんだ!」

「別に、地竜を倒しただけだ……」

俺は転移魔法で先に帰った。

「ねぇリュディアさん、あの子『バケモノ』なの?」

「はぁ、初めてあった時はそこらのEランク冒険者よりも弱かったのになぁ」

「異常すぎるわね、それに無詠唱でエンシェントフレアを発動させた、もっと強力な魔法が使えると考えたほうがいいかも。」

「第一、地竜を倒せたとなるとAランクの実力は余裕で越えてるだろうな。」

(本気でやりあえば運任せになるかもしれねぇな。)と思ったリュディアだった。

すでに家に帰ったりゅうまはと言うと……、

「全く、いくら僕が暴走竜だからっていきなり攻撃してくるとは。」

「それよりも気になるのはあの魔術師がエンシェントフレアぐらいで驚いていたのが不思議だったな……」

「あのさぁ、君を基準にしたらだめだろ?普通はエンシェントファイアを放つのだってAランク冒険者の魔術師が30人がかりで詠唱して使えるほどの魔法なんだよ。その魔法の一段階上の魔法を1人で、しかも無詠唱で発動させたんだ、そりゃ驚くだろうさ……」

「ふーん、俺の全力の魔法を使う時は訪れるかなぁ。」

「さぁね、もしかすると一生使うことがないだろうね、まぁそれさえも『パルスバスター』と比べたら……」

「それは言ったら負けだ!それにしても、お前が前に言ったスキル、ベルセルクが気になる!」

「あれを発動するにはまず念じることが第一、そのあとは相手を喰らうことをイメージすればいい。なんでも喰える訳じゃないみたいだったけどね!」

「喰らうというイメージか……」

文字通り『イメージトレーニング』をしていると誰かが家の敷地にはいってきた気配がした。

外へ出るとSランク冒険者のカイトが立っていた、

「やっぱりここだったか……」

「なんのことだ?」

「単刀直入に言う!、冒険者りゅうま。俺と戦え!」

「はっ?」

「それじゃ、いくぞ!」

「おいまだ承認してな……」

チッ、お構い無しか!。だったらこっちも、

「相手になってやるよ!」

次の瞬間、音が鳴り響くよりも先に俺の剣とカイトの双剣の片方がぶつかり合って衝撃波を撒き散らしていた、

「なかなかやるじゃねぇか、俺の一撃を受け止めるとはな」

「……Sランク冒険者って言うほどだからどれほどかと思えば、大したことないな!」

直後、俺は竜魔(魔剣)を呼び出した、

「……なんだその剣は?」

「ただの魔剣だ!」

もちろん嘘だ、古代遺跡で見つかった神玉、これは触った時にイメージした種類の武器に変化するアーティファクトだと判明した。この武器には『自分の意思』がある。所有者との絆、信頼によって性能が上がる聖剣でもあり、魔力をまとわせられる魔剣でもある。竜魔の最大の特徴は、文字通りほぼ全ての物を切る。

「まぁいい、俺の魔双剣に勝てる武器はリュディアの剣だけだからな!」

「そうか、そろそろこの剣の力の一部を見せてやろう、術式発動、『エンシェントノヴァ』!」

俺が放った魔法は竜魔がすべて纏い、燃え盛る煉獄の剣となった。

「くらえ!『エンシャントバースト』。」

「なっ!?」

(ヤバいこのままじゃ死ぬ!)

と死の危険を感じたカイトだった。

「くそっ!、バーストクロー!」

カイトの拳が闘気でできた爪を纏う、なんとかエンシャントバーストを受け止めたカイトだったが全身ボロボロになっていた、もう戦うことはできないだろう。

「どうした?天下のSランク冒険者様がCランク冒険者に負けるとは……」

「……ああ、俺の負けだ!」

「えっ?」

案外あっさり負けを認めるんだなぁ、

「あーあ、負けちまった。……お前、ちわらはわSランク目指せるぜ?」

「……興味もないんだ。」

「お前、変わった奴だな。リュディアとは正反対だな。あいつは誰よりも早くSランクになって人を助けていた。わずか4ヵ月の期間でな」

(俺は3ヵ月で皇帝になれたんだがな!)

「……用がすんだなら帰れ!」

そう言いながら俺は僅かに殺気を放つ、その僅かな殺気だけでカイトは引き下がった。

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