第8話 リュディアの帰還

ギーアがいないところでアルファを呼んだあとアルファに聞きたいことかあったから聞いてみることにした。

「なぁ、お前らは暴走竜って呼ばれてるんだろ?それなのに暴走の概念の欠片もなくないか?」

「今の僕は自我を解放させている状態だ、戦闘になると自身を抑えられなくなり暴走状態にはいる、しかしこれぐらいなら他の魔物でもありえることではある、僕らが暴走竜と呼ばれる理由は正気でいる時間よりも暴走状態でいる時間のほうが2倍ぐらい長い、しかも個人としての強さも相手を絶望させるには十分な力を持っている。それゆえの暴走竜さ……」

「なるほどな……」

(俺も昔は怒りの感情をどうしても抑えることができなくて大変だったな。)

「さて、これからどうするつもりだ?」

「まぁ、ギーアが復帰するまでは1人でベータドラゴンでも狩るつもりだが?」

「それはそうと地竜を倒したことを冒険者ギルドに話さなくていいのか?一瞬でランクアップできるぞ?、おそらくAランクにはなれると思うが?」

「いいよ俺は、まだCランクでも……」

俺が話しているとアルファに止められた、

「この気配は、……誰かが僕の本体と戦闘を始めた!」

「本体と戦闘、一体誰が!」

「場所は……、帝国の郊外だ!」

行くしかない、今の俺なら相手が誰だろうと負けはしないだろう。

俺はアルファに教えてもらった転移魔法で移動した。転移魔法は便利だなぁ、と思いつつ周囲の気配を感じ取っていたら竜の咆哮のような音が聞こえてきた、

アルファはすでに本体に戻ったからここにはいない、

「待ってろよアルファ!」

その頃アルファの本体と戦闘をしていたのはリュディアたちSランク冒険者たちだった、

「こいつはヤバい!……全員離れろ!今から放つ俺の技に巻き込まれるぞ!」リュディアの一声で全員がその場で防御の構えを取った。

「ったくよ、相変わらずむちゃくちゃな野郎だ」

「そんなあいつでも冒険者最強なんだから尊敬ものだよ。」

「それより、来る!」

リュディアはアルファの後ろに回り込んで、

「魔神竜第七式、雷神破斬!」

その一撃でアルファは一時的に体勢の崩した、

「やったか!」

「……いや、まだだ!」

再びアルファが咆哮した、

リュディアたちがアルファと戦闘してる間にりゅうまはアルファの気配をたどってやっと半分の距離を移動した。

「チッ、転移魔法で跳べる距離の限界がなかったら!……」

俺はスピードを上昇させたがすぐ立ち止まった、

「あれを使うか……、魔神竜第五式、次元裂断!」

魔神竜の次元裂断は次元を切り裂いて歪みを作り移動先の次元を切り裂いて強制転移する技(ゴリ押しとも言う)

「待ってろよ、アルファ!」

俺がアルファのいる場所に移動すると冒険者の集団が複数人いた。

この時リュディアはけがをした奴らの手当てをしているため後方で待機中。

相手の冒険者の1人が

「こいつ硬い、これが暴走竜か!?」

「ここはあの魔法で……」

「古より呼び出されし炎よ、かの者をその炎で焼き付くして灰と化せ!『エンシェントファイア』!」

俺はその魔法を妨害するように技を放つ、

「やめろー!!、魔神竜第一式、破天斬竜!」

俺がとっさに放った破天斬竜の一撃は周りの木を凪払い、相手の魔術師をぶっ飛ばした。しかし一瞬で風魔法を展開し衝撃を極限まで吸収させた。

「クッ、誰?」

「名乗る意味は?」

「たしかにないけど、」

「おい、大丈夫…か……」

その時に現れたのが師匠リュディアだった。

「師匠……」

「お前、何やって?……」

「知り合いですか、リュディアさん?」

「そこのガキはなにもしてこねぇが暴走竜のほうは止まる気配がねぇ!」

そう言って魔法陣を展開させようとしたが、

「させるか……『エンシェントフレア』」

「あれは!?みんな避けて!あれは危険すぎる!」

「それもそのはずだろ?『エンシェントフレア』は『エンシェントファイア』の一段階上の魔法だ。」俺はなぜか正気を失っていた。実はアルファの人格の一部が俺の中に侵食していたのだ。

「くらえ、エンシェントフレア!」

「りゅうまやめろ!」

俺は寸前で動きを止めた、その時自分の人格を完全に取り戻した、

「ハッ、俺はいったい!?」

「りゅうまなのか?」

「えっ、なんで師匠がここに……」

お互い驚きでテンパっている様子だ。りゅうまのほうは記憶の一部が欠けている。

「ねぇ、どう言うことなの?……リュディアさん?」

「はぁー、こりゃだめだ、完全に放心状態だこっちのガキも固まって動かねぇ上に、暴走竜にはにげられた」

「まぁ、とりあえず帝国に帰りましょうそこで詳しい話しを……。」

こうして放心状態の師匠と硬直状態の俺を連れて帝国に向けて出発していくSランク冒険者達なのだった。

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