第7話 帝人の本性

「召喚獣?、どういうことだ?」

「それは自分にでも聞けばいいんじゃないかな?」

「まぁ、何となく分かるが……」

「それよりもそこで倒れている『魔神』の女性は大丈夫かな?」

「ギーアのことか?『魔神』って?……」

「なんだ聞いてなかったのか?、君たちが『帝人』と呼んでいる変異体達は昔は『魔神』と呼ばれていたんだ。彼らはその身に宿ったスキルを使って世界の八割を統率していた。たった2人だけで……」

二人だけで世界の八割を統率していたって言うのか?いや待て、そもそも帝人たちはスキルを持ってないんじゃ?

「帝人たちはスキルを持ってないはずだ!」

「へー、そう言われたんだ?しかし真実は違う、魔神たちは途中まではスキルの一つもなく純粋な力で相手をねじ伏せていたんだ。けど、魔神の二人と旅をしていた人間がいて、その人間が魔神の暗殺を目的にした集団のせいで死んでしまった。その怒りでスキルを無理やり具現化させた、そのスキルの名前は2つ、『暴走竜』と『滅聖竜』。片方は怒りを吸収して魔力に強制変換させるスキル、誰かにその魔力を供給することもできる。もう片方は魔力を滅亡のエネルギーに変換して放出するスキル、技の名前は確か……『電拡滅聖砲』、パルスバスターとか言ってたっけな。確か雷の直線攻撃だ、その一撃で大陸の一つが消えたとの噂もあるほどさ」

「パルスバスターか……」

(俺もそんな感じの攻撃を持っているが魔神竜よりも負荷が高いから今まで1回しか使ったことはない、その一回ですらも町一つが限界だった。一体大陸一つ吹き飛ばせる威力って?……)

「スキル暴走竜は別の呼び方で『ベルセルク』とも呼ばれていて、もう片方のスキル滅聖竜の別名は『デストロイ』と呼ばれていたんだ。」

「で、その2つのスキルのことは分かったけど、なんでこんな話をするんだ?」

「それは、君が2つのスキルの内、片方を持っている可能性があるからだ!」

「はっ!?」

「それと……、これ以上は言わないほうがいいな。それじゃまた呼んでくれよ?」

そう言ってアルファは虚空に消えた。

「そう言えばアルファって召喚獣だったな。」

(ってそれよりもギーアたちは!?)

アルファとの会話で忘れていたけど戦闘した後だったな。

俺は急いでギーアが倒れているところに向かった。

「ギーア大丈夫……!?」

倒れたギーアを見てみると片腕がなかった。

「ギーア?……」

「…………」

返事はなかった、ギーアの身体に触れると魔力の流れが尋常じゃないことが分かった。

(あとでギーアに殴られるかもな)

「とりあえず他の奴と一緒に町へ連れて帰ろう!」

周りを見ても俺以外意識がある奴は誰1人いなかった。

ったく、どうやってこの人数を連れて帰れってんだよ!

そうやって考え、気付いたら1時間ぐらいの時間がたっていた、そのうち意識がなかった他の冒険者が4人目を覚まして全員を運んだ。

連れて帰った冒険者のなかには亡くなった冒険者もいた。ギーアたちは今治療を受けているはずだ、

「まさか、二人も死ぬとはな……」

1人言のように言った。その日から4日がたったが、いまだにギーアは目を覚まさない。ほかの奴らはとっくに目覚めたと言うのに。

「相変わらず師匠はまだ帰ってないし!ギーアは目覚めないしでもう災難だ~!」それからもギーアの隣で騒ぎまくっていると

「……りゅうま、うるさい」

「えっ?」

「どうしたの、涙がでてるよ?」

「……い、いや。なんでもない」

俺はあわてて後ろを向いたしかし涙があふれでてくる。

(ないてるのバレバレだよな……)

「りゅうま、今の状況は?」

「俺が地竜を倒してギーア達を運んだ。」

「……そうか、何て言うかありがとう。」

「……気にしないでいい。」

俺は落ち着きを取り戻して隣の椅子に座った。

それからはどれだけギーアが起きなかったか、それと絶竜乱舞が初めて使えたことを話した。

「すごいね、あの魔神竜の奥義を使えたなんて、私なんかまだ第六式までが限界なのに……」

そりゃおれが作った技でもあるからな。

「本当はね、怖かったんだよ?自分よりも強い地竜と戦うなんてのが、Aランク冒険者でも苦戦するような竜を相手に立ち向かえるりゅうまはすごいよ……」

「俺は、それほどすごい人間じゃない。俺は完璧な人間じゃないんだ……」

俺は無意識のうちに恐れていたのかもしれない。あの時、アルファが契約を持ち掛けてこなかった俺自身も死ぬことになっていたかもしれないから。

「りゅうま、ちょっと来て?」

「えっ!?わ、分かった」

俺がギーアの近くによると俺に抱きついてきた。

「!?…………」

「別に完璧になろうとするのは悪いことじゃないはず。けど、どう足掻いたって完璧になれる人なんていないんだよ?つまり私が言いたいことは、1人で抱え込まないでってこと!」

心のそこから安心する言葉だった、

「……ありがとう」

「で、早速聞きたいんだけど……その剣は何?」

「ぐっ!?、いやいや、この剣はちょっと、魔剣というか、なんというか……」

「はぁ~、魔剣!?」

「えっ!?」

どうやらあとで聞いた所によると魔剣は『超絶』がつくほどレアな装備で超大規模な古代遺跡の中で二本も見つかれば十分なほどの価値があるそうだ。

「いやー、魔剣ってそんなにレアだったのかー?」

「当たり前でしょ!今では作れる職人もいないし、第一魔剣の材料がないしでものすごい価値がつくのが魔剣なの、売れば最低でも40億金貨ほどの価値なんだよ?」

「そんなこと言われても持ってるものは持ってるし……」

「とにかくその剣は人前には出さないほうがいいと思う、魔剣を盗もうとする奴は絶対いる!」

「気を付けるよ」

それからはギーアは眠りについた。ギーアは全く触れてなかったが片腕の傷をみる限り誰かが切ったような感じだった、だがだれがやった?

「考えてもしかたがない。」俺は家に帰ることにした、

「来いよ、暴走の化身『暴走竜アルファ』!」

いちいち呼び出すときにこの言葉を言わないといけないのは正直恥ずかしいかもしれないな。

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